文献詳細
原著
婦人科外來患者に対する子宮癌篩別検診(Screening Test)5,000例
著者: 和田一男1 髭一男1 遠藤吉彦1 屋代定夫1 千保潔1 中川嘉雄1 村山行信1 塚原進1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
ページ範囲:P.314 - P.319
文献概要
悪性腫瘍である癌の治療的効果は,その発見,治療が,早期な程良好であることは勿論であり,従来,多数の学者達が癌の早期診断に不断の努力を続けて来た。癌の早期診断に対する見解は時と共に変化し,以前は臨床癌—可視癌を早期に診断する為,自覚微候(異常出血)を重要視していたのであるが,現在では何等自覚微候の発現しない時代の癌,即ち臨床前癌—不可視癌を対象とするのである。
Papanicolaou (1943年)により創始された塗抹細胞診は,現在各方面に於ける悪性腫瘍の重要な診断法となつているが,特に産婦人科領域に於てAyreの擦過塗抹細胞診は,不可視癌に対する最も適確な発見方法と云えよう。塗抹細胞診による子宮癌の診断についての報告は実に多数にのぼり,現在迄Papanicolaouは7,000例,Traut 10,000例,Ayre 4,000例,Isabell 1,000例,Wechtel 2,550例,水野1,255例,石川3,000例尾島1,425例,中村3,500例,河野875例,長内205例,Cuyler等は15,267例について塗抹細胞診を行つて何れも適中率90%以上であり,この方法の優秀性を示している。
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