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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻7号

1954年07月発行

文献概要

原著

貧血患者に於ける腰麻の再檢討

著者: 秦淸三郎1 稻富重夫1

所属機関: 1東京医科大学婦人科教室

ページ範囲:P.375 - P.380

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I.まえがき
 貧血殊に急性貧血例えば子宮外妊娠の手術の場合,麻酔は一般に局所浸潤麻酔かエーテル全麻又は静麻が良いとされ,腰麻は禁忌とされている。
 その理由は,貧血によつて血圧が下降して居る所に腰麻によつて更に平均20-30mmHg下降し,循環障害を来し,次で急速に腰麻死を来し易いというのであるが,何の程度の貧血以下が禁忌でありその危険は何の位であるか等はわかつて居らない。安井氏は昭和27年12月の東京地方部会に於て,慢性貧血患者の場合はHb40%までは腰麻は禁忌でないと云い,木村氏は血圧60mmHg以下のショック状態では腰麻は勿論,外妊手術も禁忌であると主張し,故岡林教授は子宮癌手術はHb60%以下,血圧100mmHg以下では腰麻は危険であるとのべられて居るにすぎない。勿論輸血をして貧血を恢復してから,腰麻をするのが常識であり,多くの人が多くの場合に実施して居るのであるが,輸血をしても引続き出血して一般状態の恢復するまで待つことが有害無益である頸管裂傷や悪性絨毛上皮腫,費用や給血者の関係上もう輸血の出来ない貧血患者や,又地方に於ては給血者が居らないために貧血のまま手術をせねばならない外妊患者等も,決して少なくない現状であつて,こういう場合に先ず問題になるのは麻酔である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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