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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻7号

1954年07月発行

文献概要

原著

腟内諸点のpH測定とその意義

著者: 室岡一1 宮崎知惠子1

所属機関: 1関東逓信病院産婦人科

ページ範囲:P.383 - P.388

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1.緒言
 従来腟のpH測定並にその意義に就いてはR.Schröder以来数多くの報告があり,腟の清淨度,Döderlein桿菌の消長,帯下の問題,特にその病的微生物,例えばトリコモナス,カンデイダ等と関連して種々検討されてきた。即ち此等微生物の至適pHはTrussel,細谷其の他の報告では5.5〜7.0であり,之に反しデ桿菌のそれは4.0〜5.0と遙かに酸性側に移動しているため,正常婦人の腟内pHは4.2〜5.0(平均4.6)で,外来細菌の侵入並に繁殖を不可能ならしめるとされている。デ桿菌の消退があると腟内pHが弱酸性乃至アルカリ性に傾き,外から細菌が侵入繁殖し易くなつて病的帯下が増すことはLoeser,Menge,Krönig,Döderlein,真柄,無量井等数多くの報告からも明かてある。一方子宮頸管に於けるpHは弱アルカリ性で,この部分の粘液は細菌の侵入を防ぐ働きがあるといわれるが,その一部分は除々に腟内に下降して腟帯下と混合するとも云われている。その場合腟内pHはどのような変化を蒙るかが問題となるが,従来の考えでは唯莫然と正常婦人の腟内が4.2〜5.0,頸管から上は6.2〜7.0とされ,その間は明かに境されるか又は層状段階的にpHが移行するのであろうと考えられている程度である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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