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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻7号

1954年07月発行

文献概要

原著

妊娠惡阻に対するネストンの効果

著者: 久保內美智子1

所属機関: 1警友病院産婦人科

ページ範囲:P.406 - P.408

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まえがき
 元来妊娠悪阻は日本婦人においては約半数に現われるといわれ,その原因は現在なお明かではないが,一般に精神因子により左右きれるというもの,或は胎児側から分泌する或種の化学的物質が母体に毒素として作用するというもの,乃至は脳下垂体前葉の機能亢進並に副腎皮質の機能低下が原因であるとするもの(Anselmino及びHoff—man等)等区々である。したがつてその治療法も種々で,とくに藥物療法の種類に至つては,枚挙にいとまがないが,大別して(1)鎮吐鎮静を目的とした蓚酸セリウム,塩酸コカイン,ルミナール,沃度加里,重曹。(2)肝臟疵護のためのインシュリン並にブドー糖法,及びチオ硫酸ソーダ。(3)アチドーヂスに対する重曹水注射。(4)ホルモン説に基いた,副腎皮質製剤の投与等が試みられ,最近はまたイオン交換樹脂の陰イオン剤の内服も賞用されてきた。
 扨て私はこれらのうちで経験上,最も効果を認めているものは肝疵護を目的とした療法で,インシュリンとブドー糖及びチオ硫酸ソーダ製剤たるハイポン等の投与を推奨してきた。ところが最近これ等に対し,更に強力且合理的な作用を持つメチオニン剤が現われたので,そのビタミンB1との混合剤であるネストンを採用し治療面と予防面とに用いたところ,従来に優る成績を認めたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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