icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻9号

1954年09月発行

原著

硬レ線照射を受けた子宮頸癌骨盤淋巴節の組織学的変化に就て

著者: 藤田長利1

所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.523 - P.528

文献概要

第1章 まえがき
 子宮頸癌治療に於て,手術と放射線療法との軽重は容易に決定し難いが,我国では少くとも手術療法に比し,放射線療法が低調であることは事実である。我々が根治手術に併用する硬レントゲン線(以下レ線と略する)照射の主目的とする淋巴節遺残癌の破壊的効果に疑問を持つ学者,更には無効と推察する学者等あり,近時,広汎性子宮剔除術後のレ線照射は価値が少いと述べる人もある位で,即ち200K.V.前後の我国のレ線装置では,淋巴節転移癌には奏効しないのではないかとの考えが多い。然し,最近,アメリカのH.E.Schmi-tz2)3)19)は800〜1000K.V.の装置で,我国の広汎性根治手術成績より,良好な治癒率を報告している。亦,TubingerはMeyerクリニークに於ける治療結果から,根治手術と放射線治療の治癒率の平均が殆ど同等に近くなつていることを報告している。今,最近の内外放射線治療成績を第1表にし参照したい。即ち2〜3の報告者にみる高い治癒率は,放射線が手術と同等,或はそれ以上の治癒能力を持つものと考えて良く,この優秀な成績の原因を,橋本1)はレ線装置の高圧化,放射量の増加によると述べている。即ち,頸癌治療上最も重要とされている子宮旁結合織及び骨盤内淋巴節への破壊的効果を意味すると考えて良いと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら