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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻9号

1954年09月発行

特別寄稿

不妊性問題

著者: W.T.Pommerenke1 尾島信夫2

所属機関: 1Rochester大学 2慶応義塾大学産婦人科

ページ範囲:P.561 - P.564

文献概要

 不妊問題は非常に複雑多岐に互つているので,医師をはじめ他の医療に直接たずさわる人々にとつて興味深い懸案である。直接の問題としては通常の状態では自己の意志によらない不妊は2人の人の幸福を脅かすという事実である。不幸にして最近に至る迄は,一般の見解は直接婦人に罪をきせることが多かつた。婦人は不妊について,実際女性側の負うべき責任範囲以上に汚名をあびて来た。そして個人的或は家庭的な悲劇が集積して国家的なスケィルに達すると,この問題は大きい社会病の一部を形成する。
 真の不妊症の頻度に関する確かな数字を集めることは困誰である。先ず第1に必しも不妊症でなくて子供のない夫婦がたくさんあるに違ない。その中には経済上・健康上或は他の個人的理由からわざと妊娠を避けている夫婦が含まれる。その外に,本当は妊孕性があるのに,性的行為が異常であつたり,その時期を誤つているためにのみ子供のできない夫婦もあるであろう。合衆国では妊孕性のあるべき年令の夫婦の約12%に子供がないものと見られている。実際の数になおしてみると,300万乃至400万家族が子供を持つていないことになる。私と同じ研究者達は,フランス,イギリス及び印度についても凡そ同数の子供のない夫婦のあることを教えて呉れた。日本についても同じ頻度があてはまるものとみなされ,従つて此の国では150万乃至200万の子供のない夫婦があるに違ない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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