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速報
マウス惡性腫瘍の発育に及ぼすステロイド・ホルモンの影響
著者: 齋藤幹1 谷內泰寬1
所属機関: 1東京医科歯科大学産婦人科教室
ページ範囲:P.913 - P.914
文献購入ページに移動 動物の或る種の癌発生に性ホルモン殊にestro-genが主役をなしているという考え及び実験的証明は古くから存在している。Lathrop & Loeb(1916)は高率に乳癌が自然発生する純系雌マウスを生後間もなく卵巣別出を行うことにより乳癌の発生率が著るしく減少することを認め,卵巣機能と乳癌発生に関連性のあることを示し,Lacass—agne (1932)は純系マウスに発情ホルモンの長期注射を行い乳癌を発生せしめ,Gardner (1948)は同じく発情ホルモン投与により子宮癌を,Evans(1950)は下垂体生長ホルモン投与により雌ラツテにリンパ肉腫,副腎皮質腫瘍を発生させている。このような実験的並に自然発生的腫瘍をステロイド・ホルモンで治療しようとする試みも又多数行われている。即ちモルモット子宮類線維腫に対するtestosterone,progesterone投与(Lipschutz &Vargas.1928),自然発生マウス乳腺線維腫に対するtestosterone投与(Lacassagne 1939),ラツテ悪性乳腺腫瘍に対するprogesterone投与(Noble&Collip 1941),ラツテ移植白血病に対するD.O,C.A.副腎皮質エキス投与(MurPhy&Sturm1943),マウス移植悪性リンパ腫瘍に対するCom-pound E.投与(Heiman & Kendall 1944)等である。
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