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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科9巻7号

1955年07月発行

原著

メチール・アンドロステンジオールの新生児発育に及ぼす影響(その1)

著者: 佐々木寿男1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.661 - P.669

文献概要

緒言
 1.研究の目的
 生活力の薄弱な新生児特に前熟児(premature infant)に対する哺育は非常に難しい問題で,現在では児に対する保温,酸素の添加,感染予防等に留意して,カロリー源としてブドー糖・インシユリン液を補給する方法が最も普及しているようである。しかしこの方法は児の未発育な諸臓器の発育を待つて初めて奏効するので,治療法としては消極的な手段であると云わなければならない。また代謝の面から考えると,従来の方法は内藤1)等の研究に基いて主として糖代謝の改善へ向けられており,その他の栄養素の代謝については殆んど無関心であつたと云つてよい。
 しかるに最近の研究では前熟児の蛋白質,含水炭素の腸管からの吸収は極めて良好で摂取の約90%であると云われているが(Gordon等2))蛋白質の吸収は必ずしもそうではないようである。従つて腸管から吸収した蛋白質を組織に同化させて体重増加を促進させる男性ホルモンを哺育に応用することは適切な処置であると思われる。殊に1935年にRuzicka3)が合成したMethylandrostene-diol(以下MADと略する)は男性ホルモンとしての作用が比較的弱く,しかも蛋白質同化作用が強いので,哺育の目的には最もよく合致した男性ホルモンであると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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