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文献詳細

雑誌文献

臨床検査1巻6号

1957年09月発行

文献概要

高級技術講義

すり合せガラス器具

著者: 原一郎1

所属機関: 1東京大学医学部血清学教室

ページ範囲:P.341 - P.343

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 すり合せガラス器具は,本来の名称を万国共通摺合硝子器具といい,一般にオールジヨイントと呼ばれている。その特徴は,すべてのガラス器具をすり合せによつて連結し,一つのセツトを組み立てられるように,各部分部分がうまく設計されている。オールジヨイントを用いる第一の利点は,ゴム栓,キルク栓,あるいはゴム管などを必要としないことである。たとえば,蒸溜装置を組んだ場合に,ゴム栓で蒸溜フラスコと精溜塔をまた精溜塔と冷却管をつなぐとき,もし,ベンゼンやクロロホルムのようにゴムを犯すものであると溜出物,ゴムが溶けて出てくるおそれがある。その代りキルク栓を用いると,犯されることはないが,減圧を保つのがむつかしい。このような場合にオールジョイントは威力を発輝するのであつて,真空を保つことも,またいくらかの高圧も保つことが可能である。
 以前からソツクスレー抽出装置(Soxhlet's extractor)にはすり合せが用いられているが,これが全面的に拡張された訳である。第二の利点はゴム栓などに穴をあけたり,その他ガラス管を曲げたりするような手間がかからないことである。時間的には,非常に経済であつて,また人による装置の組み方の上手,下手がなくなつて,誰でも同じものが組み立てられる。それにともなつて,細工をする場合の怪我などなくなつた。第三に装置全体が概してこじんまりと端正にでき上り,内容物もきれいであるから,この点は満点である。しかし,オールジヨイントの欠点は先ず高価につくことである。もつともその利点と差引きすると,これは問題にならないけれども,安くないことは事実である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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