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文献詳細

雑誌文献

臨床検査1巻8号

1957年11月発行

文献概要

〈検査室メモ〉

複糖寒天培地の理論

著者: 高橋昭三1

所属機関: 1東大細菌

ページ範囲:P.481 - P.481

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 クリクラー培地,ラツセル培地には,乳糖1%,ブドウ糖0.1%の二つの糖が入つています。これを半斜面,即ち高層部と斜面部のあるようにかため,斜面部に菌を接種すると共に,高層部に穿刺培養を行います。
 この場合,斜面部の菌は,空気が充分供給されますから,盛に発育しますし,物質代謝も盛んです。したがつて,ペプトン,プロテオーゼ等の,アミノ酸化合物が盛に分解され,その結果,pHは上昇し,培地表面はアルカリ性にかたむきます。しかも,アンモニアのように,小さい分子のものでなく,緩衝液の働きをするプロテオーゼ,ペプトンの存在の下で,アルカリ性になると,pHの変化はごく表面丈に止ります。このような状態の場所を,酸性にするためには,糖を分解して産生する酸がかなり必要であり,1%程度の糖が含まれた培地でないと,充分な酸は生じない事になります。したがつて,1%に含まれる乳糖を分解しない限り,斜面部は酸性になりません。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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