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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査10巻10号

1966年10月発行

雑誌目次

グラフ

正常胃および胃炎の形態

著者: 佐野量造

ページ範囲:P.966 - P.967

 胃を解剖学的に区分するには,いろいろな方法があるが,一般には図1のようにわけられている.胃は消化管の一部として,機能的に食物を消化し,胃液を分泌する.分泌腺の種類によって,胃は図2のように3種の領域にわけられる.幽門腺領域は胃の全体の1/3を占め,胃体部腺領域は2/3を占める.また,食道に接する噴門部には,狭い範囲の噴門腺領域がある.

血清検査と自動分注器

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.969 - P.973

 分注器の特徴は,一定量の溶液を多数の容器に,正確に,能率よく分注ができる点にある。原理は2組の弁を相対的に作動させ,吸入と分注を連続的におこなえるようにしたもので,正しく操作をすれば誰でも正確に分注することができる。分注器は手動分注器と自動分注器がある。手動式は分注作動を手でおこなうもので,分注量に応じたセット(0.15〜10ml)が用意されており,操作が簡単でどこででも分注がおこなえる。自動分注器は液量調整範囲が広く,分注速度も自由に調節することができるのと労力が少なくてすむので,多数の分注に便利であろう。血清反応では同じ溶液を多数の試験管に分注することが多く,特に補体結合反応における補体液と感作血球浮遊液,その他血清希釈用の食塩水,試薬,血球浮遊液等いろいろな溶液の分注に用いられる。
 分注器の操作は簡単であるが,正しい扱い方をしないと,その性能を十分に発揮することができないから次の点に注意しよう。

恒温水槽

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.974 - P.976

 恒温水槽は槽内の水の温度を常に一定に保つための装置である。熱源にはガガスを用いるものと電気を用いるものがあるが,一般に電気が用いられている。
 従来の古い型の恒温装置は温度計を見ながら調節しなければならなかったが最近の恒温装置は自動温度調節器や攪拌装置がつき,さらに温度警報用のブザーがついており,温度精度が良好で安心して使用できるようになった。

綜説

電気生理検査室の設計

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.977 - P.982

 最近の急速な医用エレクトロニクスの発達で臨床電気生理関係の検査に有用な機器はしだいに数を増しつつあるが,ルーチンの検査に最もよく用いられているものは心電図・心音図・脳波・筋電図である。ベクトル心電図・心臓カテーテル検査・超音波診断などはまだまだ一般的ではない。
 これらの検査の中で,検査室の設計に特に注意を要するものを中心に述べて参考に供したい。それは医学とエレクトロニクス,さらに病院建築の3者にまたがるいくつかの間題を含んでおり,しばしばこの盲点がトラブルをおこすからである。

技術解説

血清検査と自動分注器〈グラフページ参照〉

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.983 - P.987

 臨床検査に分注器が広く使われるようになったのは中央検査制度になってからである。分注器の特徴は,一定量の溶液を正確にしかも能率よく連続的に多数の容器に分注ができる点にある。血清反応では液の測定,稀釈,分注などメスピペットを用いる検査が多く,検査技術の中でもピペット操作は大切な手技である。特に補体結合反応における補体液や,溶血系統(感作血球)の分注は,正確に能率よく処理しないと正しい結果は得られない。しかしながらメスピペットによる分注は,熟練した技術者でもかなりの誤差が伴うものである。多数の検体を扱う検査室では,かぎられた時間内に能率よく処理するため分注器が使われるようになってきた。
 分注器は従来輸入品が使用されていたが,近年国産品が普及して安く購入できるようになってきた。輸入品はかなり高価であり,また注文や部品の取換えも長期間を要するので不便なことが多い。国産品もかなり改良されて使い良くなり,精度も高く,一般の検査に用いるには十分と思われる。

細菌検査における検体採取から提出まで

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.988 - P.990

 どれほど立派な設備と,優秀な技術者が検査にあたったとしても,検査材料の採取法が適当でなく,また検体を採取してから検査をはじめるまでの保存が適当でなかったら,出る結果についての信頼性は,いちじるしく低下するであろう。検査の結果は,材料のとりかた,検査のための実験技術,実験を行なう環境,さらに検査をはじめるまでの材料の保存法といった,いろいろの要因のつみかさねによって,影響をうけるものである。しかし,主治医は,結果の報告をうける時,このような条件のことは知らない。それで,納得のいかない結果の出た時,しばしば検査室の技術者にクレームが持ちこまれがちである。ここで,検査のための実験が行なわれる以前の,結果に影響をおよぼす要因について,考えてみたい。

腎外性蛋白尿の検査法

著者: 藤井暢三

ページ範囲:P.991 - P.995

はじめに
 あたえられた課題は,上のように腎外性蛋白尿の検査法であるが,便宜上,腎外性蛋白尿にはまずどんなものがあるかを,筆者なりに述べてみてから,一般検査法に移ろうと思う。
 さて普通に"蛋白尿"といえば,まず腎疾患を連想し,ついで,尿沈渣の顕微鏡的検査へと考えが進んでいくのが,ほとんど常識である。しかし,厳密にいえば,人の尿中には,本来つねに蛋白質は含まれているものである。その量は,1日の尿(全尿)中に30mgから75mngにおよび,普通の検査法の"加熱酢酸法","硝酸法"や"sulfosalicyl—酸法"などでは,検出され得ないだけのことである。

座談会

梅毒血清反応のバラツキ—第1回全国国立大学中央検査部梅毒血清反応精度管理報告を終って

著者: 福岡良男 ,   松橋直 ,   鈴田達男 ,   丸山京子 ,   堀越晃 ,   橋爪一子 ,   樫田良精

ページ範囲:P.996 - P.1010

 このほど第1回全国国立大学中央検査部梅毒血清検査の比較実験が23大学の参加のもとに行なわれた。この仕事に直接たずさわられた,先生方にその苦労談と集計の結果をうかがってみよう。

講座 やさしい数学

推測統計入門(1)

著者: 高垣東一郎

ページ範囲:P.1011 - P.1015

 新しい数学序説(1)〜(3)(集合,論理,線型計画),確率入門(1)(2)(基本定理,二項・正規・ポアソン分布など)に続いて,統計入門(1)〜(2)では,次の各内容を学んできた。
 統計入門(1)……統計学の起源,統計調査の新しい方式(EDPS),指数と比率(CPI,人口動態率,医学的測定値),算術平均など。

第8回衛生検査技師国家試験—昭和41年度問題および模範解答(A)

ページ範囲:P.1025 - P.1029

公衆衛生学
 問題1燃料が石炭から重油にきりかえられた場合,大気中にもっとも増加するものは次のうちどれか。
1.イオウ酸化物(亜硫酸ガス)

2級臨床病理技術士資格認定試験—昭和41年度第13回(東京)第14回(大阪)問題および模範解答(A)

ページ範囲:P.1030 - P.1032

細菌学
1次の()の中に適当な数値を記入せよ。(15点)
aクリグラ培地:ブドウ糖()%

2級臨床病理技術士資格認定試験—昭和41年度第13回(東京)・第14回(大阪)総括および講評(A)

著者: 内海邦輔 ,   富田仁 ,   土屋毅 ,   三輪谷俊夫 ,   矢島権八 ,   寺島寛 ,   茂手木皓喜 ,   小延鑑一 ,   鈴木鑑 ,   小谷尚三

ページ範囲:P.1033 - P.1037

2級試験を終りて
 昨年度に引続き,実行委員長としてお世話させていただいた。本年度の2級試験には次の3大変化があつた。すなわち,
①2級試験の関西実施

外国雑誌より

4種類の尿中細菌検査法の比較/C. C. F. の迅速判定法

著者: ,   ,   ,   中甫

ページ範囲:P.1038 - P.1039

 尿中の細菌数の定量的計算が臨床的に意義があることを実証するために数多くの尿中細菌定量法が考案されてきた。最初に考案され現在最も広く行なわれている方法はシャーレ中に培地と共に流し込む混釈法であるがコロニーを数えることを目的としている他の方法も満足な結果を与えている1)3)7)9)10)。尿中細菌数を定量的に計算するのに価値があるもう一つの方法はグラム染色法である。この方法は染色によって菌の存在が立証されるには尿中に細菌が約100,000/ml存在しなければならないという原理に基づいている5)。最近尿中細菌定量に簡単で再現性のよい方法として2種類の方法が報告されている。まず第一の方法は2, 3, 5, triphenyltetrazolium chlorideが活発な代謝作用を行う細菌により赤色不溶性のtriphenyl formazanにまで還元されることを原理とする方法である8)。第二の方法は尿中から一定量の細菌を取りだすために濾紙を採用しその細菌のついた濾紙を寒天ブロックの一定の場所におく方法である6)。この論文の目的はコロニー数算定法,グラム染色法,テトラゾリウム塩法,濾紙法による尿中細菌数定量法の正確度および便利さを比較することである。

研究

Thymol混濁試験に関する2,3の検討—特にReinhold法とHans Popper法との比較

著者: 猪子恵司

ページ範囲:P.1041 - P.1045

 昭和37年末以来,長崎市内11施設における生化学検査室の検査検討会が毎月1回開催され,各種の検査項目がとりあげられているが,その肝機能検査の部で検討したThymol混濁試験に関する検討を以下に述べる。
 Thymol混濁試験はKunkel氏硫酸亜鉛試験と同じく,標準液の混濁度,試薬のpH,イオン強度,ならびに放置温度など,種々の因子による影響が論じられている。これらの因子の影響について二,三の検討を試み,またReinhold法とHans Popper法とを比較し試みたのでここに報告する。

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Glossary≪9≫ フリーアクセス

著者: 横山芳郎

ページ範囲:P.1040 - P.1040

arterial obstruction動脈性閉塞
arteriolar lesion細動脈病巣

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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