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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査11巻11号

1967年11月発行

雑誌目次

グラフ

酵素の組織化学

著者: 大谷武彦 ,   鈴木裕

ページ範囲:P.768 - P.769

 最近の酵素化学の進歩はいちじるしく,臨床分野においては,癌の補助診断,血液疾患の諸検査にも酵素反応が広く応用されるようになっていることは周知の通りである。組織化学領域で酵素反応を扱う場合,その生化学的なメカニズムをすぐ形態学的に観察して理解する為にはあまりにも技術的に困難な問題が山積している。たとえば従来の鉛などの重金属塩沈澱法ではしはしば組織細胞と結合し,基質を含まぬ場合であっても何らかの反応結果と誤認するような非特異的着色反応の幣害があった。現在では幸いにも電子顕微鏡による細胞の微細構造が明らかにされつつあることと同時にナフトールをbaseにした基質,およびアゾ色素の合成技術の進歩により酵素反応産物を特異反応として適確に捕捉し顕微鏡下で観察し得るようになった。しかしながら実際の臨床面に酵素組織化学を応用する場合,たとえば癌組織における酵素活性の変動から,癌を補助的に診断し,予後を判定しまた治療効果の判定を試みようとするには生化学的な酵素反応の結果とはまた異った観点から,慎重な検索と"意味づけ"をする必要があるように思われる。ここではただ単にわれわれが行なっている加水分解酵素を中心にした酵素染色方法(技術解説の項参照)の内から代表的な二,三の酵素反応を生検材料および実験動物例について紹介するに止めたい。

院内血液銀行紹介—東京医科歯科大学付属病院輸血部

著者: 福岡良男 ,   安藤清平

ページ範囲:P.771 - P.773

 昭和37年に,輸血部設置の方針が臨床科長会議で決定され,42年3月に完成した。その間国内,および欧米ソ聯の輸血部を視察し,予算上許される範囲内で長所をとり入れた。従来忘れられがちであった献血者の立場を考え,できるだけ明るい感じの輸血部をつくろうと努力した。また大学という立場から研究的の内容をもつように努力した。業務を円滑に行なえるように,中検の生化学検査室と血清検査室と隣接した位置に輸血部をおいたことも本学の輸血部の特徴であろう。

欧米の輸血部

著者: 福岡良男

ページ範囲:P.774 - P.775

クライオスタットマイクロトーム—構造とこれを用いて作った組織切片

著者: 下里幸雄 ,   砂田みな子

ページ範囲:P.776 - P.778

 図9〜11は,標本をフォルモール・カルシュームで固定した後クライォスタット・マイクロトームで薄切し,酵素組織化学的反応を行なったものである。核はメチルグリーンで染めてあるが,緑のフィルターを使い撮影してあるので不明瞭である。

綜説

骨髄腫蛋白

著者: 河合忠

ページ範囲:P.779 - P.785

 表題は「骨髄腫蛋白」となっているが,ここでは「骨髄腫患者に認められる血清蛋白の異常」ということについて簡単にまとめてみよう。というのは骨髄腫蛋白というと狭い意味で,後述するような特定な種類の蛋白を指し,しかもそれらの蛋白は骨髄腫の患者にのみ認められるというものではない。

技術解説

酵素組織化学染色法の技術

著者: 鈴木裕 ,   大谷武彦

ページ範囲:P.786 - P.792

緒言
 最近,生化学的方法の臨床検査への導入は目覚しいものがあるが,酵素組織化学の応用は,白血病の鑑別診断を除けばきわめてかぎられた範囲にとどまっている。しかし近年の基礎的研究の発展による新しい方法の確立と,生検技術の進歩により,今後の努力によっては形態学的な面からの疾病の追及に有力な手段となる可能性が期待されるので,今回は,各酵素の病理学的意義や結果の解釈は省き,われわれの経験に基づいて生検材料に応用しうると思われる資料の処理法ならびに各種加水分解酵素,脱水素酵素の証明方法について解説を試みたい。

濾紙と尿試験紙

著者: 小延鑑一

ページ範囲:P.793 - P.798

I.はじめに
 臨床検査の一部門として尿成分の化学的分折があるが,これは普通検尿と呼ばれ広く実施されている簡易検査である。現在の臨床化学分析は各種の分析機器が導入され,自動化,高能率化,高精度を目指しているが,一方ではなんらの機器をも用いずに試験紙や錠剤やあるいは簡単な検出試薬のみにて行なうところの簡便,迅速および微量を目的とした分析方法も急速に発展し,緊急検査やスクリーニング検査に広く用いられてきている。
 尿の試験紙とは尿中の成分を濾紙上にて各種の検出試薬を駆使して,特異的に鋭敏迅速な定性ないし半定量の反応を行なうことを目的としたものである。すなわち濾紙に尿をつけると水分の吸収拡散に従って溶質が濾紙上に固定されるのを巧みに応用した分析法であり,その溶質の確認限界は通常の溶液での分析では到達しえない鋭敏度を有している場合があり,その上反応の確実性もかなり高い。そしてこの濾紙上にて検出反応を行なうことにより容易にえられた利点の一つは保護層効果protective layer effectともいえるものがある。それは適当な検出試薬をしみこませて乾かした濾紙を適当なマスク剤で表面をカバーすることにより,濾紙上に塗布した検体中の妨害物質の影響をさけることができるのである。この効果を利用したものに血糖用試験紙のデキストロスティックスがある。

クライオスタットマイクロトーム—薄切法とその組織学的検査への応用

著者: 下里幸雄 ,   砂田みな子

ページ範囲:P.799 - P.803

はじめに
 外科病理,病理解剖にたづさわる者でも,凍結切片といえば卓上にとり付けたマイクロトームと炭酸ガスをまず思い浮べ,"Cryostat microtome"は酵素組織化学的研究や螢光標識による抗元抗体反応といった免疫組織化学的研究などに必要なものと思いがちである。しかし1960年頃より,これが手術時の迅速凍結切片診断だけでなく,手術材料の診断に,さらにまた,解剖材料の組織学的診断にさえ使用され始め,外国のある病院では病理組織診断のための重要な位置を占め,パラフィン包埋は診断困難な症例や組織の永久保存のためにのみ用いられている。
 外科病理における手術中の迅速診断の目的は治療方針の決定である。したがってできるだけ短時間に確実な診断を下し,麻酔時間の不必要な延長や,診断不能による再手術を極力避けなければならない。このための必須条件は,パラフィン切片に劣らない美しい標本をきわめて短時間に作ることである。もちろん,従来の炭酸ガスとサルトリウス型凍結切片用マイクロトームを使用する方法で多くの場合目的は達せられるが,この方法の最大の欠点は,薄切後一度は水槽に移さなければならないことで,この結果,壊死物質や水に可溶性の物質が脱落することである。このような部分的欠損を伴う標本は病理診断のための最良の標本とはいえない。

私のくふう

マジックインキスタンド/ホールピペットホルダー

著者: 石川浩子

ページ範囲:P.798 - P.798

 日常私達が,検査を行なっていて,意外に「書く」「記す」という作業が多いように思われます。氏名,番号,記号など検査には必ず,ついてまわり,ボールペン,鉛筆,サインペン,そしてマジックインキ等が盛んに,使用されていますが,なかでも試験管にはその特徴からマジックが一番多く使用されている。しかしマジックは意外に使用動作に無駄が多く,一見なんでもない動作に不便を感じる時があります。先ず手にとりキャップを左手ではずし,試験管を持ち,そして「書く」。次に再び左手でキャップをする。必要な時には,何処かへころがり手近な所になく,「マジック,マジック!」とさがすこともしばしば……である。又キャップを忘れた時には,乾燥してしまって使用に耐えない等,度々経験することである。そこで私達はその動作をなるべく省略する為に,次のようなものを作りました。ありあわせのアクリル樹脂板(厚さ1cm位)にマジックインキのキャップが入る位の少し斜めの,赤,黒用2コの穴をあけ,キャップをエポキシ樹脂でその穴に半分程,うめこみ接着し,マジックインキの軸をその中にさしこみインキスタンドの様な形にしたものです(図参照)。使用してみると,①キャップをとる時片方の手で,用が足り(軸を軽く右手で廻せばよい),②左手には最初から試験管を持つことができ,書く動作が簡略化されました。

座談会

職業病と臨殊検査

著者: 久保田重孝 ,   西川滇八 ,   橋田学 ,   天木一太

ページ範囲:P.804 - P.810

 職業病の診断に臨床検査が占める位置は,他の疾患にもまして重要である。にもかかわらず,臨床検査に従事するものの,"職業病"および"職業病と臨床検査"に対する認識は,十分とはいえないのが現状であろう………。

入門講座 血液

凝血機序

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.811 - P.811

 出血傾向を招来する因子としては,血管,血小板,凝血因子,抗凝血素,線維素溶解現象などの5つのものがあげられ,これらのうちのいずれに異常があっても出血が起ってくる。
 しかしこれら因子の唯一つの障害によって出血が起ることは少なく,多くの場合2つ以上の因子の障害による。例えば血小板が高度に減少すると凝血異常や毛細管抵抗の減弱が起ってくる。

細菌

平板からの集落のとりかた

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.812 - P.812

 多くの菌は,平板培地を用いて分離培養をおこなう。そこに独立して生じた菌集落から菌をひろい,他の培地にうえ,または染色標本をつくる。それで,平板上の集落から菌をとる平板は,重要なものの一つである。
 平板培地を左手に持ち,右手で白金線をつけたエーゼを短く,ペンを持つように持ち,平板上の,なるべく孤立した集落をえらび,その頂上に,白金線をふれる。これで菌がとれたから,それを次の新しい培地にうえる。染色標本をつくる時は,のせガラスの上に,1エーゼの水をとっておき,そこに,白金線の先についた菌をとかしてひろげる。

血清

螢光抗体法

著者: 松橋直

ページ範囲:P.813 - P.813

 抗体が抗原物質と反応して結合していることは,前回までの種々の血清学的反応で推定することができるが,もっとも具体的な方法は,抗体に螢光色素や放射性物質を標識したものを抗原と反応させ,抗原が螢光を発したり,放射性になったことを判定する方法である。螢光色素を標識した抗体で抗原あるいはそれに関係ある物質を探ぐる方法を螢光抗体法(Fluorescent antibody technique)とよび,放射性物質を標識した抗体をもちいる方法を放射免疫学的検査法(Radioimmunological technique)とよんでいる。今日臨床検査法に導入されているのは主として螢光抗体法であるので,今回は主にこれについてのべることとする。
 原理および術式:直接法,間接法,補体法などに分類されている。直接法は,ある物質に対する抗体をフルオレッセイン,ローダミンなどの色素で標識しておく。この抗体(螢光抗体)を抗原が存在すると思われる塗抹標本,組織標本にかけると,もし抗原が存在すれば螢光抗体が結合する。こうした標本に螢光色素が吸収して螢光を発する波長の光,たとえばフルオレッセインなら495mμの光をあてると520mμの波長の螢光が抗体が結合している抗原の部位から発せられるので,顕微鏡で観察することにより,抗原に抗体が結合したことを知ることができる(図参照)。

生化学

加温のしかた

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.814 - P.814

 化学反応の速度は温度により著しく変わる性質がある。化学検査で温度をやかましくいうのはこのためである。多数の試料を扱う臨床化学検査室では加温の条件がどの試料についても同一の状態になる必要があるが,この目的を達するために種々の装置や道具が用いられている。
 臨床化学で多く用いられる加温の条件は酵素試験の時には37°〜45°で30分〜60分,発色試験のときには95°〜100°で10分〜2扮というのが多い。30分以下の場合はとくに必要なことはただちに所望の温度になることであって,試料を入れたために加熱器の温度が下がるようではいけない。そのために熱容量の大きな装置が用いられる。

生理

心音計の扱い方(2)—心音図のとり方

著者: 森杉昌彦

ページ範囲:P.815 - P.815

1.心音図記録を行なう室
 第1条件は静かであること。防音装置が施してあれば理想的であるが,この設備がなくては心音図がとれないわけではない。私の経験では,特殊な設備が施してなくても,静かであれば大丈夫である。ただし,足音,話し声,ドアの開閉音,クーラーやガスストーブの音,電話のベルなどには注意を要する。

病理

特殊染色<1>

著者: 畠山茂

ページ範囲:P.816 - P.816

 H・E重染色はもっとも普遍的な染色法で常用されるが補助的なものとして結合織染色がある。アザン染色マッソントリクローム染色,ワンギーソン染色などがそれであるが結合織線維のみを染めるだけでなく核・細胞質は勿論のこと筋線維・膠原線維を異なる色調で染別し,細胞内分泌顆粒を染め出す場合もあり見慣れたらかえってH・E染色をしのぐ利点を持っておりH・E染色に代わりうるものであろう。ただH・E染色のごとき一定した染色結果と簡便さを有していないのが欠点である。
 各染色とも二ないし三種類の酸性色素から成り主として染料分子の大きさの違いによる組織網孔浸透性の差によって染別するのが原則である。

一般

寄生虫検査<その2>

著者: 浅見敬三

ページ範囲:P.817 - P.817

 いよいよ検査にとりかかるにあたって,糞便内の虫卵の分布状態,種々の検査法の信頼度など知っておくべき基本的な問題がいくつかある。

検査室メモ

ふたたび洗浄について(2)—メランジュールの洗浄

著者: 広明竹雄

ページ範囲:P.818 - P.818

 メランジューは,血液の秤取と希釈に用いるガラス器具であることはいうまでもない。
 また,血液が付着して乾いたガラス器具の汚れは,洗剤や水で洗い落せない事も衆知の通りで,その主な原因は血液中の蛋白にあり,これが曲者なのである。成書のメランジュール洗浄法をみると,どれも一様に,水洗→希酢酸→アルコール→エーテル→空気を通して洗浄,乾燥する方法が記載され,それでも落ちない汚れは馬尾毛で機械的に取って可性カリを通すか,クロム硫酸を用いるように述べている。

講座 臨床血清学講座XIII

各論(10)—慢性関節リウマチの血清学

著者: 福岡良男 ,   安藤清平

ページ範囲:P.819 - P.826

歴史
 Meyer(1922)は肝硬変症,および慢性気管支炎患者の血清中に抗ヒツジ赤血球ウサギ血清で感作したヒツジ赤血球(以下感作ヒツジ血球と略記する)を凝集する因子を発見し,Agglutination fordernde Substantzと名付けたが,このような凝集因子が慢性関節リウマチ(リウマチ様関節炎,以下RAと略記する)患者の血清中に存在することを発見したのはWaaler(1940)である。Waalerはこの因子をAgglutination activatingfactor(AAF)と名付けた。これが今日のリウマチ因子(RF)である。
 その後,Rose(1948)もWaalerと同様の成績を発表し,これが後にWaaler-Rose反応(Rose反応)として臨床に広く用いられるようになった。しかしWaaler-Rose反応は患者血清中に含まれているヒツジ赤血球に対する正常異種凝集素の影響をうけるので,Jawetzら(1949)はウシ血球とモルモット腎を用い,またHellerら(1949)とSvartzら(1952)はヒツジ赤血球を用いて患者血清中のヒツジ赤血球に対する正常異種凝集素を予め吸収し,それに感作赤血球を加えて凝集素価を測定する方法を考えだした。Hellerらの方法がHeller-Svartz法として現在広く用いられている。

臨床生理学講座Ⅰ

脳波<1>—臨床脳波

著者: 吉井信夫

ページ範囲:P.827 - P.831

脳波の歴史
 いうまでもなく脳波は生物に脳が発生したときからあったはずである。しかし脳から発する電気が存在することには誰も気がつかなかったし,また想像もできなかった。何千年いや何万年前のむかしから,てんかん患者は今日では広く知られている,棘波(スパイク)や棘—徐波を示していたであろう。電気活動は脳ばかりでなくわれわれの体の内外(胸,腹,手,足)でも常に微小な電気が変化し動いているわけである。これらをキャッチするには特別の器械が必要で,そのために必要な科学,ことに電気科学が進歩するまで待たなければならなかった。脳波は電気現象であるが体の中のほかの部分の電気現象とくらべて非常に微小なので,一番遅れてその存在することが証明された。
 世界で初めて動物(ウサギおよびサル)の脳から脳波を記録したのは英国のCarton (1875年)であるが,その後いろいうな学者が光刺激を与えたり,そのほか種種の刺激を加えた際の脳波について研究を行なった。しかしその頃の電気器械の感度が悪かったのであまり良い記録はできなかった。このような動物での実験のつみ重ねがあったのち,現在臨床脳波の父といわれるHansBerger (図1)が1900年代初めより脳波について研究を始め,ついに1924年に人間の脳波を記録することに成功した。

研究

螢光抗体を用いたインフルエンザBの迅速診断

著者: 海老沢功 ,   牧野正顕 ,   武内安恵

ページ範囲:P.833 - P.836

 螢光抗体を用いるインフルエンザの迅速診断はLiuら1)2)3)の報告に始まり,オランダ4)5),日本6)〜10),チエッコスロバキア11)12)など各国の研究者により追試されその有効性が確認された。しかしこれらの実験は主としてA (A2)型インフルエンザにおけるものでB型インフルエンザに関する研究は少い1)4)5)7)。LiuはB型インフルエンザで26人中10人陽性(38%)という成績を出しており,B型インフルエンザにおける本法の有用性は未だ確立されていない。他方A2型インフルエンザではわれわれの行なつた実験3)6)9)10)で螢光抗体法所見が陽性で血清反応が有意の上昇を示さないという例がインフルエンザ流行中にかなり多く見られた。馬インフルエンザウイルス13)あるいはヒトのインフルエンザウイルス14)15)を人口的にヒトに経鼻感染させると2週後の血清では有意の抗体上昇を示さない例があると報告されているので,上記のA2型インフルエンザにおけるパラドックスな所見は必らずしも螢光抗体法の非特異性を示すものではないであろう。しかし螢光抗体法では特異性が最も大切であるからこの点についてはさらに検討する必要がある。
 1966年1〜3月の間に東京とその近郊茨城県下におこったインフルエンザBの流行は以上の二つの残された問題について検討するよい機会であった。

尿酸測定法の検討—その2—紫外部吸収を利用したウリカーゼ法について

著者: 屋形稔 ,   士田雅子 ,   富山八重子 ,   吉沢洋子

ページ範囲:P.837 - P.840

 前報(その1)において,リンタングステン酸還元法(以下リ法)について述べたが,今回はウリカーゼ法について若干検討した成績を述べ,御参考に供したい。

Acid Phosphatase-Testによる血清酸phosphatase測定法の検討

著者: 目黒邦輔 ,   小田島秀夫

ページ範囲:P.841 - P.844

 日常臨床的に測定しているphosphataseは,燐酸monoesterの水解にその触媒として参与するという共通の特性によって一括されるもの,すなわち燐酸monoesteraseという総括名をもつものであるが,決して単一なものではなくこの酵素は各種のphosphomonoesterに対し全くかあるいはほとんど同一に作用し,いずれも基質たるphosphomonoesterを水解させるという同一の結果を生ずるものである。したがって他の酵素のように特殊な基質に対する作用によってこれを分類することは困離なため,至適酸度によって酸phosphataseとアルカリphosphataseとに大別されている。酸phosphataseとはpH7.0以下(大部分は3.4〜6.0の問にある)に至適酸度をもつphosphomonoesteraseと定義される。
 この血清酸phosphataseは主として前立腺癌の診断に用いられ,その定量方法は現在数多く発表されている。

血清GPT,GOT活性の鋭敏な測定法—約350Karmen単位までの

著者: 福島豁行 ,   佐々木禎一 ,   永井龍夫 ,   安藤宗八 ,   半渡洋子

ページ範囲:P.845 - P.848

緒言
 現在臨床検査室で血清中のGPT,GOTの活性測定に広く用いられている日本消化器病学会肝機能研究班試案のReitman-Frankelの変法(以下R-F法と略記1))は100Karmen単位2)以上の高単位血清の活性測定時には,血清の希釈を行なわなくては正確な値は期待しえないのみでなく,測定法自体の感度が悪く正確な値をえ難い。われわれは従来のR-F法を改良して,従来の方法より感度がいちじるしくよく350Karmen単位までのGPT,GOT活性をより正確に測定しうる札幌医大変法(以下札医大法と略記)を考案したのでその実施方法およびその実験中にえられた知見を報告する。

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Glossary≪20≫—肝臓・胆道系疾患(1) フリーアクセス

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.832 - P.832

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A bile A胆汁
A virus A型ビールス

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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