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文献詳細

雑誌文献

臨床検査11巻3号

1967年03月発行

文献概要

入門講座 血清

抗体

著者: 松橋直1

所属機関: 1東大医学部血清学

ページ範囲:P.206 - P.206

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 一言でいってしまえば,抗原と特異的に反応する動物のグロブリンである。たとえば,前回例にあげたチフス菌やコレラ菌と特異的に反応する患者血清中の物質は抗体である。また,ABO血液型を判定する時にもちいるA型やB型と特異的に反応する抗血清中の物質も抗体である。ただ,ここで注意すべきことは,抗原と特異的に反応する物質であっても,動物以外の植物由来の物質とか,化学反応を特異的におこす物質を抗体とはよばない。たとえば,Dolichos diflorns (インド原産,アズキに似ている)の種子からとったグロブリンはヒトのA1型と特異的に反応するけれども,これを抗体とはよんでいない。植物凝集素(Phytoagglutininあるいはlectin)とよんで抗体とは区別している。
 以上をまとめると,「抗体とは,抗原が動物を刺激してつくりだされたもので,何らかの形の試験管内または生体内反応をひきおこすもの」ということになる。しかし,ヒトのABO血液型の抗A,抗B抗体のように,正常に存在するものもあり,前述の抗体の定義の後半だけを満すものもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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