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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻11号

1968年11月発行

文献概要

入門講座 血清

細菌凝集反応

著者: 松橋直1

所属機関: 1東大・血清

ページ範囲:P.811 - P.811

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Widal反応
 スルフォンアミドやペニシリンなどの発見をきっかけとする,化学療法ないし抗生物質療法のすさまじい発展により,腸チフスや発疹チフスなどはちかごろ非常に少なくなってしまった。とはいえ,発熱を伴う疾患で,その原因がつきとめにくいときは,どうしても微生物の感染を疑い,細菌やリケッチアなどの血清反応も行なわなくてはならないので,今日でも依然として,細菌を抗原とする反応が用いられている。
 細菌を抗原とする凝集反応の最も典型的なものは,Widal反応である。すなわち,腸チフスにかかると,チフス菌としか反応しないような抗体が,患者血清中に見いだされるようになる。ところが,腸チフスと似たような症状を呈するものにパラチフスAとBがあり,しばしば3者を鑑別できないので,パラチフスAとB菌も抗原として用いる。その原理は,抗原抗体反応の説明によく引用されるものである。この反応は,Gruberが前世紀の終わりに伝染病患者の血清中に,その病気の原因となる細菌を凝集する抗体(凝集素)があることを発見し,Widal(1904)がこれを腸チフスの診断に応用したことに始まるものである。そのため,Gruber-Widal反応と呼ぶこともある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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