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夏期における結核菌の螢光染色について
著者: 山本五郎1
所属機関: 1国立京都療養所研究検査科
ページ範囲:P.1102 - P.1102
文献購入ページに移動 昭和28-30年ごろ,結核菌の螢光染色は多くの病院,療養所で採用され,また厚生省の衛生検査指針にも記載されるようになった。ところが現在,結核菌の螢光染色をルーチンに行なっている所は,厚生省の近畿医務局管内では,おそらく当所だけではないかと考えられるほどに減少している。この理由は,衛生検査指針にも記載されてあったように,夏期に結核菌の染色力が落ち,陽性率が著しく低下する点にあると考えられる。
それで螢光染色について考えてみた。図に示すように,オーラミン染色だけでは染色状態はAの位置にあって,結核菌,その他の菌,細胞,背景などすべてが染まってしまう。これに3%塩酸アルコール,あるいは10%蓚酸などで分別操作を施すと,Bの位置となって,背景および一部細胞の染まりが落ちてくる。このままでも染色状態の強弱によって,経核菌をその他の雑菌から見分けることもできるが,さらにメチレン青などで後染色を施すと,Cの位置となって,結核菌のみが染め出されてくる(一部細胞の輪郭も染まるが,邪魔にならない)ことになると思われる。
それで螢光染色について考えてみた。図に示すように,オーラミン染色だけでは染色状態はAの位置にあって,結核菌,その他の菌,細胞,背景などすべてが染まってしまう。これに3%塩酸アルコール,あるいは10%蓚酸などで分別操作を施すと,Bの位置となって,背景および一部細胞の染まりが落ちてくる。このままでも染色状態の強弱によって,経核菌をその他の雑菌から見分けることもできるが,さらにメチレン青などで後染色を施すと,Cの位置となって,結核菌のみが染め出されてくる(一部細胞の輪郭も染まるが,邪魔にならない)ことになると思われる。
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