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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻2号

1968年02月発行

文献概要

入門講座 生理

腎機能II

著者: 前田貞亮1

所属機関: 1東京大学医学部吉利内科

ページ範囲:P.122 - P.122

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1.クリアランス試験
 腎機能検査といえば必ずといってよい像ど,クリアランスという言葉が出る。今ある物質(A)が含まれる血液が腎を通過するさいに,Aが腎から排泄されるとする。Aが一定時間に排泄される全量(a)は尿中のAの濃度(UA) X一定時間の尿量(V)である。これが一定時間に血液から尿に排泄された量である。したがって血液のAの濃度(PA)でAの尿中の全排泄量(a)を除すると,A物質のagが排泄されるために用いられた血液の量が求められる。つまりA物質のagはUA×V/PA(ml)だけの血液から集められた量であり逆にいうとUA×V/PA(ml)だけの血液からagが除去されたことになる。この値が腎におけるAのクリアランスである一定時間は種々だがVは毎分尿量を用いる。A物質がもし血液が1回腎を流れる問に全部尿に排泄されてしまい,腎から出ていく血液中にもはや残っていない物質であれば,Aのクリアランス,換言すればA物質を排泄するために用いられた血液は腎を流れる血液の量と同じである。かかる物質としてはPAH (パラアミノ馬尿酸ソーダ)がある。PAHクリァランスで腎血流量を求めることができる。
 また尿が糸球体から出て尿細管を流れる間に種々の物質が吸収されたり,分泌されたりするが,尿細管でかかる吸収,分泌が行なわれない物があれば,そのもののクリアランスは糸球体で濾過された量を示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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