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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻9号

1968年09月発行

文献概要

特集 成人病検査

腎の簡易機能検査

著者: 阿部信一12 加藤暎一1

所属機関: 1慶大・内科 2国立東京第二病院内科

ページ範囲:P.643 - P.649

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はじめに
 腎は生体内の不要な代謝産物を尿路を介して排泄する一方,生体に必要な物質を保持して,体液の量・組成・浸透圧を調節し,さらに酸塩基平衡をはかって,生体の内部環境を一定の範囲内に保つよう常に調整を行なっている。そのためには多大のエネルギーが必要とされ,およそ心拍出量の1/4の血液が腎臓に供給されている。腎の重量が左右合わせて2509程度であり,体重の1/200−1/300に過ぎないことから考えていかに機能の面から腎が重要な臓器であるかということが理解される。
 近年老齢人口の増加に伴って成人病・老人病が注目をあびるようになり,とりわけ血管硬化と関係の深い脳・心・腎など重要臓器の障害の早期検出には十分注意を払わなければならないが,各個人の自覚とあいまって,職場・保健所などが積極的に成人病対策にとりくんでスクリーニング検査を行なっていることは好ましいことと思われる。特に腎の疾患の場合は早期には無症状のものが多く,ある程度進んでからはじめて体の異常に気がつく場合がしばしばあり,検査で早期に異常を発見することが非常に重要な意味を持ってくる。このような情勢のもとに今後ますます検査室への腎機能検査の依頼が増えるものと予想されるので,検尿,簡易腎機能検査について述べ,あわせてふだん,見のがされがちな検体採取時の注意事項,検査結果の評価に当っての注意などについても2,3触れてみようと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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