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入門講座 細菌
IPA反応とPPA反応
著者: 橋本雅一1
所属機関: 1東京医歯大・微生物
ページ範囲:P.676 - P.676
文献購入ページに移動 腸内細菌のProdeus-Providence群だけに陽性で,他の菌群とこの菌群の鑑別に重要な性状のひとつにIPA(indol pyruvic acid)反応がある。この反応は,SIM培地にこの菌群の菌株を穿刺培養したときに,培地表面から約5mmくらいの深さのところまでに褐色を帯びた変化が出現する現象として観察される。硫化水素を産生する菌株の場合で高層の部分が黒変しても,この培地の表層部の2mmくらいの厚さの部分で,黒変とははっき一り区別できる褐色帯が出現する。
SIM培地でこの褐色帯が形成される反応がIPA反応,またはSinger反応とよばれる現象で,この現象が発現する仕組みは次のようなものであると説明されている(図1)。すなわち,この培地のペプトン中に含まれているトリプトファンがこの菌群の産生する脱アミノ酵素によってインドール・ピルビン酸というα—ケト酸に変わり,これが,この培地に加えられているクエン酸鉄アンモニウムの鉄イオンと結合して褐色を呈することになる。
SIM培地でこの褐色帯が形成される反応がIPA反応,またはSinger反応とよばれる現象で,この現象が発現する仕組みは次のようなものであると説明されている(図1)。すなわち,この培地のペプトン中に含まれているトリプトファンがこの菌群の産生する脱アミノ酵素によってインドール・ピルビン酸というα—ケト酸に変わり,これが,この培地に加えられているクエン酸鉄アンモニウムの鉄イオンと結合して褐色を呈することになる。
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