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文献詳細

雑誌文献

臨床検査13巻12号

1969年12月発行

文献概要

特集 血清学的検査—その本質と実際 免疫血液学的検査

不完全抗体の検査法

著者: 小暮正久1

所属機関: 1群大病院輸血部

ページ範囲:P.1037 - P.1041

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 LevineとStetson(1939)は8カ月の胎児を死産したO型の婦人の血清中に,生理食塩水に浮遊したO型血球104例のうち,80例を凝集する抗Rh凝集素(食塩水凝集素)を発見した.その後新生児溶血性疾患で母子間のRh式血液型の不適合が原因となりうると考えられる場合でも,その母親の血清中にしばしば抗Rh凝集素が認められないことが経験された.RaceとWienerは,この現象をそれぞれ独立に研究し,その原因が抗Rh凝集素(食塩水凝集素)によるRh陽性血球の凝集反応を阻止する,特殊な性質をもつ抗体によることを明らかにした.この抗体をRace1)は不完全抗体(incomplete antibody)と呼び,Wiener2)は遮断抗体(blocking antibody)と名付けた.この抗体は生理食塩水に浮遊した対応する血球と結合するが,凝集反応を起こさないことが特徴である.
 Levineらによる抗Rh。(D)抗体の発見に続いて,D因子に関連しているC,c,E,e因子に対する各抗体,さらにKell,Lewis,Duffy,Kiddなどの各抗体が発見されるにおよび,不完全抗体の検出法はおおいに進んだ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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