健康人の痰,咽頭粘液は,非病原性ナイセリア,緑色レンサ球菌が大部分を占め,大腸菌,ブドウ球菌,コリネバクテリウムなどの少量を含むことが知られている.痰の細菌叢の異常は,ここに現われることのない病原菌の出現とか,常在菌中の通性病原菌の激増として観察される.
病原菌としてはA群の溶血レンサ球菌,ジフテリア菌などであり,大腸菌群,ブドウ球菌,カンジダなどではそれが著しく増加し,時には純培養状となって現われる場合が多い.肺炎球菌の場合は多量に出現することが多いが,時には,全体として最も多数というにすぎない場合がある.ヘモフィルスも同様である.