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文献詳細

雑誌文献

臨床検査13巻4号

1969年04月発行

文献概要

研究

脳波検査と平均不関電極

著者: 吉井信夫1 呉進益1 西尾いと子2 降旗八重子2 石井久江2

所属機関: 1慶大中検脳波室脳・神経外科 2慶大中検脳波室

ページ範囲:P.346 - P.349

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 脳波を記録するには2つ以上の電極が必要で,2つの電極間の電位差の変化を一定の速度で流れる紙の上に書かせるか,ブラウン管上に描かせる.この2つの電極の一方を,脳の電位に対して電位が0または0に近い点におけば,ほとんど脳の電位変化そのままを記録できるわけになる.このような電極を不活性電極(inactive electrode)または不関電極(reference electrode)と呼び,反対に頭皮上においた電極を,脳の電気活動を記録するという意味から活性電極(active electrode)と呼んでいる.単極導出(また単極誘導)はいうまでもなく,活性電極と不関電極の間の電位差の変動を記録するものである.したがって,もし常に0電位にある不関電極を使って単極導出を行なえば,脳の電位変動の絶対値が得られるわけである.脳波の周波数や振幅,波形,その他を正確に知るためには単極導出が基準になるわけで,活性電極と活性電極を結んだ双極導出は,この点信頼度が少ない.そこで高名な脳波学者の中には,双極導出を全く用いていない人すらいる.このように,脳波検査では単極導出の占める地位は非常に大きなものがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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