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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査13巻5号

1969年05月発行

雑誌目次

代謝経路と臨床検査・5

好気的解糖経路

松村 義寛

pp.360-361

 ペントースサイクル,五炭糖回路,リングルコン酸酸化経路,ヘキソースモノリン酸経路などいろいろの名称でよばれているが,同じものである.研究者の名前をとって"Warburg-Dickensのサイクル"ともいわれる.

 嫌気的解糖経路では,酸素の消費がないので,急速な筋肉運動など酸素の補給がふじゅぶんのときに,多量のエネルギーを発生するためには,必然的に嫌気的解糖が行なわれ,その結果,ピルビン酸や乳酸の発生があるわけであるが,ここに述べる好気的経路は酸素を消費するので,じゅうぶんに酸素を供給しうる条件でないと進行しない.したがって,肝・脳・心筋など常時酸素補給があり,分圧の高いときに行なわれるものである,

カラーグラフ

腸内細菌培養検査

善養寺 浩

pp.366-367

 腸内細菌の検査といっても,その中の病原菌を確実に検出同定することが重要であって,正常菌叢のすべてを熟知する必要は日常の検査にはない.さて,腸管系病原菌といえるものは数種にのぼるため,同様な培養法でそれらを鑑別・同定できない.そこで,腸内細菌科に属する赤痢菌,サルモネラと病原大腸菌に限って,新しい鑑別培地の使用法を含め,述べてみたい.特に後2者の病原菌は赤痢菌に代わって,いまでは重視されている菌である.

グラフ

検査伝票

斎藤 正行 , 松村 義寛

pp.369-375

 検査室と病棟との情報伝達の手段として伝票が使用されている.誤りをなくし,記入事項を少なくし,手間のかからないようにアイディアが結集されている.

現行の検査伝票の代表的なものを集めてみた色紙・色刷りで一見して区別されるわけだが,紙面の都合でモノクローム・グラフにした.これは記載事項を判りやすくと考えたからである.百聞は一見にしかず.それぞれの長所を生かすように活用されれば幸いである(座談会参照).

初の細胞検査士の試験行なわる

pp.376

 第1回細胞検査士資格認定試験(日本臨床病理学会,日本臨床細胞学会共催)が特殊臨床検査資格認定制度に基づき,3月10,11日の両日,東京の順天堂大学病理学教室で行なわれた,初めての試験のためか,受験資格の厳しさもあって,受験者は8名(女性2名)試験官(橋本敬祐主任試験委員)13名というかたちで予定どおり実施された.

 癌の診断に直結する細胞診という仕事をする人を選ぶだけに,その試験方法は慎重かつ厳格で,受験者ひとりひとりに試験官が直接問いかける,いわゆる"man-to-man方式"がとられ,"良性細胞ですか,悪性ですか"の質問に,受験者は顕微鏡をのぞきながら慎重に答えていた.

総説

補体

田村 昇

pp.377-381

 補体に対する研究は,1899年のBuchnerの論文が発表されて以来,免疫学の一分野としてすすめられてきた.特に最近10年間の補体研究は,他の免疫化学の分野の進展と呼応して,顕著なものがある.今日では,すでに"補体学"(Complementology)という新しい学問の分野が展開されようとしている.そこで,補体の本態とその作用についての現状を紹介することにする.

技術解説

血中ビリルビンの検査法

石戸谷 豊 , 伊藤 忠一

pp.382-387

はじめに

 血清総ビリルビン(総「ビ」)の定量は,黄疸の程度を知るうえで,欠くことのできぬ基本的検査である.また,血清ビリルビンにはジァゾニウム塩の添加により,直接紫紅色を呈する直接ビリルビン(直「ビ」)と,メタノール処理後はじめてジァゾニウム塩によって呈色を示す間接ビリルビン(間「ビ」)とがあり,これらを分別定量することは,黄疸の鑑別診断にとって,きわめて重要である。

間「ビ」はまた,ヘモビリルビンないしは遊離ビリルビンともいわれ,水難溶性であるが,肝に至り側鎖の2個のプロピオン酸基がグルクロニールトランスフェラーゼの作用でグルクロン酸抱合をうけ,ジグルクロナイドになると水溶性に変化する.ビリルビンは,肝以外でもグルクロン酸抱合をうけるが,このとき生ずるものは,モノグルクロナイドである。これらグルクロナイドは,コレビリルビンともよばれる.ジグルクロナイドのすべてと,モノグルクロナイドの大部分は直「ビ」として定量される.

救急検査

富田 仁

pp.388-395

はしがき

 各大学・各病院に中央検査室制度が設けられ,衛生検査技師法(昭和33年)が確立されてから,すでに10年以上が経過した.それまでは,大学においては,検尿,検便,血算などのいわゆる一般検査といわれるような検査は,各科病棟,各科外来内にて行ない,ややむずかしい検査は,研究室ないしそれに準ずる所で,医師自らが,たいてい自分のアルバイトとしてやっていた.したがって,その医師が転任すると,その検査はしばらく中止するというような時代であった.

 中央検査室制度ができてから,そのような臨床検査は,中検で専門の衛生検査技師が行なうようになった.多種類の多検体が専間の技師によって行なわれるので,各科からは非常に喜こばれたものである.

ひろば

Original deviceを書く

村田 徳治郎

pp.387

 仕事に夢中になっている時ほど,また追われている際これはと思うような考えが閃めくものである.そのような一瞬,メモなり何なりにキャッチライティングしておくと,思わぬ技術的収穫ともなり,またヒントになるものであるが,とかくこのような時にかぎって種々な理由があるにしても,不用意にもせっかくの機会を失いがちにしてしまう.後からなどといっても,多忙な時間なので忘れがちとなり,私どもはちょっとの間に貴重なOriginal deviceを日日おろそかにしてはいないだろうか.日々休むことなく刻々進歩する技術水準―私は無限の広さと大きさに眩暈する.これを生み育成した先人の汗と血の出るような努力に武者ぶるいせずにいられない.なぜならこの内にある技術的創意性とくふうの平衝が巧みに妙を得ていることである.しかしこれらは,さらにわれわれの知恵でもっと進歩させねばならぬ義務があるのではあるまいか,その意味において,日々のどんな小さなことにも敏感に反応し,またそれを生かす蓄積が必要であろう.結局どんなことでも,ちょっとした創意くふうが小さなメモ帳から生まれることは珍しいことではない.むしろその時を出発点とし,大きなOriginal researchとして発展していくと同時に,真の技術的向上になってはいまいか."白衣のポケットには常にメモ帳を"これは私のモットーである.書くということの面倒をどうしてもこの際克服することが条件であるが,しかし書くという習慣を身につけてしまうと,どんな多忙の間にも書く技術を会得できるもので,またこれを整理するのが楽しみとなるものである.そしてそれが自分の修練ともなるし技術の積み重ねともなり,検査業務に応用し使用して,自分の技術を生かすことになるのではあるまいか.そして同時に,広く批判評価を積極的に求めたらどうであろうか.そのようなことに本誌のごとき専門機関を利用・使用させてもらおうではないか.小さなくふうから大きな発明ということもあるように,お互い検査技術をおし進める仲間として琢磨していこうではないか.

臨床検査の問題点・5

心電図

長尾 透 , 根岸 勇 , 近藤 淑子

pp.396-403

 心電図は,手軽に操作できるようになったが,電気を用いる危険度の高い検査であることに変わりはない.そこで"心電図の電気知識"について,日ごろの疑問点をズバリきいてみよう.

主要疾患と臨床検査・5

腎疾患と臨床検査(2)—腎機能検査

波多野 道信

pp.404-409

 腎の機能は,生体内の不要物質を排泄し,酸塩基平衡を正常に保ち,細胞外液の量と組成を最終的に調節することにあるが,このような腎の機能が正常に保たれているのは,いろいろ複雑な機能がそれぞれ相互に調和しながら働いているためである.したがって,その機能検査についても代表的な2,3の検査だけでは,とうてい腎の機能障害を把握することは困難であり,臨床上できるかぎり多くの検査を施行する必要がある,このことは,初診時において疾患の診断を下すうえに必要であるばかりでなく,罹患腎がどの程度の障害をうけているかを推測する手がかりになる.これは同時に,その後の疾患の進行状態を把握するための基礎的データとなるものである.この腎のもついろいろの機能は,罹患腎においてすべて平等に低下するとは限らず,腎疾患のあるものでは,疾患の初めから治癒に至るまで,あるいは腎不全を経過した後死亡に至るまでの全経過のうちには,一部の機能にのみ障害が集中し,その他の部分ではあまり障害されていないという現象が起こる.その障害される機能の内容は,疾患の種類,あるいは進行の時期,または寛快の程度により異なっている.

 腎機能検査の目的は,このような腎障害の内容と程度を明確に把握することにより,その患者の質的および量的な障害程度を明らかにすることである.また,このような腎機能検査を各病期において反覆施行し,それぞれの時期におけるデータを比較検討すれば,これが疾患の予後を決定するうえに重要な示唆をあたえることにもなる.

1ページの知識 生化学

重量分析法

永井 諄爾

pp.411

1."真実の値"への接近

 たとえば血清コレステロールの定量には,いろいろの方法がある.ぞれらの方法の中でどれが最もすぐれているかを決めるとき,また新しい力法を発見開発したとき,その方法が従来の方法よりもすぐれているかどうかを決めるとき,いろいろの判定法がある.臨床検査の側からいえば,手早くできてしかも正確な方法が,最もすぐれた方法といえるであろう.しかし,臨床検査についてどうかすると,むりに正確でなくてもよい,手早ければそれで結構だという俗論がないでもない.ただしいわゆる簡易検査やスクリーニング・テストが全く無意味だというつもりはない.

 では正確とはどういうことか.たとえばある方法で血清コレステロールが200mg/dlと定量されたとき,それが果たして正確であるかどうかを決めるためには,"真実の値"を知らなければならない.

1ページの知識 血液

血球計算の誤差をなくすには(5)

大橋 辰哉

pp.412

塗抹標本と血液像の見方

 血液像を正確に知るためには,まずよい標本を作る必要がある.

 図1のごとく,引きガラスで塗抹するのであるが,この引きガラスの移動を,早くすれば塗抹は厚くなり,遅くすれば薄くなる.また角度αを大きくすれば厚くなり,小さくすれば薄くなる.これらを巧みに組み合わせて適当の厚さにする.

1ページの知識 血清

Coombs消費試験

安田 純一

pp.413

 白血球・血小板・組織細胞など,そのままで凝集反応として観察するには不向きな細胞を抗原とする抗原抗体反応の証明には,いろいろの術式が考え出されている.その1つに,抗グロブリン(またはCoombs)消費試験がある.

 これには,大別して,直接法と間接法とがある.直接法は生体内で,すでに感作されていると考えられる抗原に用いられ,間接法では既知の抗体または既知の抗原を用いて生体外で感作を行なう.すなわち,直接法は自己抗体による感作の証明に,間接法は同種抗体の証明または細胞の型分類・同定に用いられる.

1ページの知識 細菌

腸内細菌科の菌(1)

木村 貞夫

pp.414

 この科の菌は,"細菌の形態からの同定(2)"(本誌2月号)で述べたように,形態からの同定が不可能で培養を必ず必要とする群である.しかも,培養では普通寒天に容易に生える菌であり,この科の菌の中には腸チフス菌,赤痢菌,大腸菌などの腸管系の伝染病の病原体が含まれていることと相まって,昔からわが国ではこの科の菌について多くの研究がなされている.検査すべき項目も,ほかの菌に比べて大へん多い.このおのおのの検査項目の詳細については成書に譲り,ここでは腸内細菌科の菌の概略と臨床細菌検査として最低限行なわねばならぬことについて述べたい.

1ページの知識 病理

パラフィン・ブロックの薄切

川井 一男

pp.415

ミクロトーム

 わが国で最も広く普及している型は,滑走式ミクロ卜ームで,そのほとんどがユング型であるが,外国では回転式ミクロトームもかなり多く使われている.ミクロトームを使う要点は,(1)滑走面の完全な平滑さ,(2)ミクロトーム刀の適切な角度と傾斜,(3)ブロックの確実な固定および(4)正確に作動する微動送り装置にある.

1ページの知識 生理

サイリスタ(Thyristor)

宇都宮 敏男

pp.416

 水銀蒸気などを封入した熱陰極形の放電管のうち,グリッド電極を備えており,それに加える電圧で放電の起動を制御できるものをサイラトロン(Thyratron)といい,従来電子的な制御装置の要素としてよく用いられてきた.サイラトロンとは門のように開閉する電子管という意味である.

 サイラトロンと同様な作用目的でつくられた半導体素子を,固体サイラトロンあるいはサイリスタといい,近ごろは小形の電子的制御装置はもちろん,製鉄における大形圧延機や交流式電気機関車のような大電力制御にもしだいに応用されるようになった.

1ページの知識 一般

テスターの使い方のいろいろ

高原 喜八郎

pp.417

1.テスターの種類

 検査室には心電計,光電光度計,pHメーター,電気泳動装置などのような弱電機器から,超音波洗浄機,電気恒温槽,遠心機などのようなセミ強電的な機器に至るまでの種々な装置がある.これらがスムーズに動作しなくなった場合,技師としては通常2とおりの場合を想定する.1つはユーザーでもできる簡単な手入れで再び使えるようになる場合(電源プラグ接触不良,ヒューズ断,電極リード線接触不良,可変抵抗器不良など)であり,いま1つは内部特殊部品の交換を必要とするような事故の場合である.トラブルの原因が前者か後者かをチェックする段階までは,少なくとも現場の技師がなすべきであろう.そのために使用するポピュラーな測定器がテスターである.テスターには市販1100円ぐらいから1万円以上の高級品があるが,どれでも電圧計,電流計オーム計の最低機能は保有している.

検査室メモ

管理会議

大橋 経雄

pp.419

器材購入の第1関門

 私どもの国立療養所では,第1,4半期ごと管理会議が開かれる.この会議の構成メンバーは所の幹部をはじめ各職場の主任係長,あるいは婦長,現場長などで,会議の進行係は主として事務長もしくは補佐が行なう.会議のテーマとしては厚生省関東信越地方医務局で行なわれた所長,事務長,医務課長,婦長会議などの指示,伝達が主でそれにつづいて次4半期の示達予算の討議が行なわれる.この討議が出席者の腕の見せどころで,むこう3ヵ月の必要備品(あるいは主な消耗品)をわがものにするわけである.とはいえ要求額の1/3あるいは1/4にもみたない示達額から,自分の職場の必要分を獲得しようというのであるから,矢おもてに立つ会計主任は容易でない.

 それでもこのころでは医療備品関係はその中の一定額を医務課長にあずけ,医務課長の判断によって必要度のランクをつけるようになったから,以前ほど"けんけんがくがく"の騒々しさはなくなった.このように国立関係の病院療養所では,いかに自分の職場で器械器具が必要だとしても,先だつものが本省(地方医務局)から流されてこないことにはどうにもならないことで,その点私はまだ民間の医療機関のほうが,器材は案外希望するものが入手できているのでないかと思う.私はいつかも述べたように,他の施設に出張や見学した際には,決まって器材はすぐ買ってもらえるかどうかをたずねている.すると決まってなかなか買ってもらえないというのが国立で,特に療養所にいたってはあきらめているというのもある.

論壇

毎日の検査から

丹羽 正治

pp.420-421

 検査で日を送っている間に気づいた2,3の点について,皆さんと一緒に考えてみたい.

座談会

検査伝票—コンピューター時代の伝票の運命

吉田 光孝 , 樫田 良精 , 斎藤 正行 , 松村 義寛

pp.422-430

コンピューター革命のささやかれる昨今,伝統的な"伝票によるデータ処理"は,いまや風前の灯,そこで,この機会に,伝票の目的と意義,これからのありかた……などについて,洗いざらい検討してみることにする.(グラフページ参照)

海外だより

検査の自動化とコンピューターの導入—欧米の血液銀行と検査室

三輪 史朗

pp.431-432

 昨年9月上旬,ニューヨークで第12回国際血液学会が開かれ,出席する機会を得たので,その前後を利用していくつかの病院の研究室・検査室・血液銀行・輸血に関する研究施設などを見学した.ひと月ちょっとの短期間の旅でもあり,また欧州の旅行は私にとって初めてであり,その上ひとりぼっちの旅だったので,まことに強行軍になってしまい,1つの施設をじっくり見学するという余裕がなく,したがって,ここに示す印象記もはなはだ個人的な表面的なものであることをおことわりしておきたい.

研究

梅毒血清反応の検討(1)—緒方法,凝集法,ガラス板法,RPCF,FTA,TPHA 6法の比較

吉岡 秀雄 , 磯部 淳一 , 西条 英次 , 田原 順子 , 伊月 豊度 , 山中 学 , 住友 健治

pp.433-436

 現在,梅毒の血清学的検査法は,カルジオライピン(以下CLと略)を抗原とした緒方法,凝集法,ガラス板法の3法の併用が標準法として用いられている.しかしCL抗原は梅毒トレポネーマ(以下TPと略)に由来する特異性抗原でないために,しばしば生物学的偽陽性反応(以下BFPと略)を呈することがある.

 近年このBFPの問題を解決するために,TPを抗原とした特異度の高い検査法の開発・検討が進められており1-5),すでに非病原性TPであるReiter株のタンパク分画を抗原としたRPCFはルーチンの臨床検査にもとり入れられており6-15),さらに螢光抗体間接法を適用したFTA4,5,12,14),また1966年に富沢らによって考案されたTP感作赤血球凝集反応15,16)(以下TPHAと略)も漸次実施段階に至っている.

梅毒血清反応の検討—特にRPCFを中心として

後藤 大九郎

pp.437-440

緒言

 Pangbon(1941)により発見されたCardiolepin-Lecithin(以下CLと記す)が,一定の力価をもつきわめて安定した梅毒抗原としてその価値が認識されるや,従来の補体結合反応や沈降反応の創案者はこぞって本抗原を採用し,その精度が一段と優れていることを報告した.わが国においては緒方1)により,CL抗原を用い抗原抗体最適比を応用した抗原減量法が発表され,理論的にもまた比較実験においても最もすぐれた術式として,凝集法ならびにガラス板法とともに一般に常用されている.

 CL抗原の出現により梅毒血清反応の鋭敏度ならびに特異度は西村2)の報告するごとく,単なる牛心抽出液を抗原としたときに比し,きわめてすぐれたものとなった.しかし梅毒以外の疾患に非特異的な陽性反応を呈する率は低下したとはいえ,松橋3)は癩,エリトマトーデス,原発性非定型肺炎,リウマチ性疾患などにおいて相当数の偽陽性を呈するものがあり,これら梅毒とは無関係に偽陽性を呈する反応を生物学的偽陽性反応(BFP)とよび,これにはほとんど生涯続く慢性のものと,急性疾患のとぎ一過性に偽陽性となるもののあることを指摘した.BFPについて松橋3),水岡4),勝又5),富沢6)らはCL抗原は病原体そのものからとりだしたものでないためBFPはその発現必至であり,このBFPを鑑別する意味において,Treponema-Pallidum(以下TP)そのものを抗原とする術式を用いて決定すべき必要を強調する.

Aut Analyzerによる血漿,尿および髄液中ブドウ糖定量法の検討

宮原 洋一 , 北垣 良憲 , 野口 斉 , 臼井 敏明

pp.441-442

 Auto Analyzer (以下AAと略す)による臨床化学検査の自動化は,検査件数の急増と検査技師の不足に伴って,年々その範囲を広めつつあるが,なかでも血糖の自動化が最も普及しており,AA1台による2種目以上の組み合わせスケジュールでは,血糖と尿素窒素の組み合わせが最も多い1)

 われわれの検査室では,これまで血糖,尿糖,髄液糖を,3,6-dinitrophthalic acid法(百瀬法)2,3)によって測定してきたが,その自動化に際してTechnicon N−2b法,N−9法4)が尿糖測定不可能なこと,および日常化スケジュールにおいて尿素窒素と連続して測定する必要から・尿素窒素(N−1b法)のManifoldをそのまま使用することを目標として,3,6-dinitrophthalic acid法についてくふうし,毎日の運転スケジュールの中で,能率的に好成績を得ているので報告する.

私のくふう

剖検臓器・組織の保存法/検鏡カバー

上田 房子 , 鈴木 盛雄

pp.443

 私たちは臓器の保存法として10カ月ほど前から次の方法を試みており,見学者からの問い合わせが多いので,ここに紹介いたします.

 近頃店頭ではビニール包装しているところをよく見かけます.これにヒントを得て考えてみました.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

今月の特集1 生理検査における医療安全
今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

今月の特集 血管エコー検査 まれな症例は一度みると忘れない

63巻2号(2019年2月発行)

今月の特集1 てんかんup to date
今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

63巻1号(2019年1月発行)

今月の特集1 発症を予測する臨床検査—先制医療で5疾病に立ち向かう!
今月の特集2 薬の効果・副作用と検査値

62巻12号(2018年12月発行)

今月の特集1 海外帰りでも慌てない旅行者感染症
今月の特集2 最近の輸血・細胞移植をめぐって

62巻11号(2018年11月発行)

今月の特集1 循環癌細胞(CTC)とリキッドバイオプシー
今月の特集2 ACSを見逃さない!

62巻10号(2018年10月発行)

増刊号 感染症関連国際ガイドライン—近年のまとめ

62巻9号(2018年9月発行)

今月の特集1 DIC診断基準
今月の特集2 知っておきたい遺伝性不整脈

62巻8号(2018年8月発行)

今月の特集 女性のライフステージと臨床検査

62巻7号(2018年7月発行)

今月の特集1 尿検査の新たな潮流
今月の特集2 現場を変える!効果的な感染症検査報告

62巻6号(2018年6月発行)

今月の特集1 The Bone—骨疾患の病態と臨床検査
今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

今月の特集1 症例から学ぶ血友病とvon Willebrand病
今月の特集2 成人先天性心疾患

62巻2号(2018年2月発行)

今月の特集1 Stroke—脳卒中を診る
今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

今月の特集1 知っておきたい感染症関連診療ガイドラインのエッセンス
今月の特集2 心腎連関を理解する

60巻13号(2016年12月発行)

今月の特集1 認知症待ったなし!
今月の特集2 がん分子標的治療にかかわる臨床検査・遺伝子検査

60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
今月の特集2 脂質検査の盲点

60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

今月の特集1 睡眠障害と臨床検査
今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

60巻8号(2016年8月発行)

今月の特集1 好塩基球の謎に迫る
今月の特集2 キャリアデザイン

60巻7号(2016年7月発行)

今月の特集1 The SLE
今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

60巻6号(2016年6月発行)

今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病
今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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