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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査13巻9号

1969年09月発行

雑誌目次

特集 ディスポーザブル検査器具

カラーグラフ

輸血用プラスチックバッグ

安藤 清平

pp.722-723

 現在,わが国で使用されている輸血用血液の容器の大部分はガラス瓶であるが,アメリカではプラスチックバッグが盛んに使用されている.わが国でもすでに厚生省の許可がおりており,2-3の国産品がある.最近注目されている冷凍血液輸血にはプラスチックバッグは必須のものであり,近い将来にバッグが普及するものと思われる.プラスチックバッグにはガラス瓶にないいくつかの長所があるので,ここにその一部を紹介する.

ディスポーザブル(Disposable)の理念と条件

斎藤 正行

pp.738-740

Disposableの登場

 物質文明のめざましい発展とともに人間の価値が再認識され,向上してきているのが現代の特徴かと思われる.今まで人間はその価値以下の仕事に,あたかも野牛のごとく黙々と働き,貴重な1日1日を消費していた.しかし科学の進歩は同じことの反覆作業は入間より機械のほうがより正確かつ多量に生産できるものだということを教え,外観上大して経済的負担になっていないような人件費が,物価決定の非常に大きい因子であることを目ざめさせた.

 実際,検査室を見ても,1つの検査を行なうにあたって,まず容器の洗浄,乾燥,必要によっては消毒滅菌が必要で,その準備されたものは本番の分析段階である一瞬時脇役(反応が展開される場所の提供)として使用されるにすぎない.この単なる脇役に本命に費す以上の時間と労力を投入するというナンセンスは,昔は当然とも考えられていた,それはこの前後の処置も検査の重要な一過程と考えられていたからである,そういっても,この前後の処理はほとんど分業的に,検査を行なう人と別の人が機械的に行なっており,その人件費は生活水準の向上とともに上昇し,検査技師とあまり変わらない給料でかつ得がたい存在ともなったのである.

ディスポーザプル器具の問題点

林 康之

pp.762-764

まえおき

 使い捨て器具の問題点は大別して(1)利用者側の問題,(2)メーカー側の問題と2つになる.このうち前者についててできるだけ明らかにしようというのが本文に与えられた課題であろう.すでに,検査器具についての現状や使用上の注意などは各著者から部門別に示されたものと思われるので,中検全体としてみた場合の問題を述べることにする.

 まず,なぜディスポーザブル器具が要求され普及しつつあるかという点についての考え方を述べておくと,(1)中検内の作業量の増加,(2)検体増に伴う実質検査作業時間の捻出,(3)器具再生のための作業内容は器具化(自動化)されにくいことなどが主要なものであろう.したがって,ディスポーザブル器具の利用は検査業務の合理化・能率化が主目的であって,採用上の判断規準も至って明快なものである.

グラフ

ディスポーザブルを検討する

pp.725-732

 検査件数は日々上昇している.これを精度を下げず能率よくさばくのが本職の検査技師の腕の見せどころである.件数が増大したので増員すればそれが消化できる,というのはしろうとでも考えられる.検査の合理化に,最近流行のディスポーザブルを採用するのも1つの手段である.ずいぶんいろいろな物が市販されているが,非常に便利で,検査の能率と精度の向上に大きく貢献する物があるかと思うと,かえって出費ばかりかさんで不便な物もある.じゅうぶん検討して採用すべきであろう.

ディスポーザブル検査器具使用の現状

一般検査

右田 徹

pp.741-743

 尿,便の一般検査は,さまざまの臨床検査法の発達普及した今日でもなお最も取り扱い件数の多い検査であり,採血は血液化学,血清学的検査,臨床血液検査などのための試料を採取するという意味で,これまた取り扱い頻度がきわめて高い.したがって,これらの操作にディスポーザブルの器具を採用すれば,従来の器具と比べて,再生使用に要する時間と手間を省くことが可能となり,作業の能率化の効果がきわめて大である.最近は胃液,十二指腸液の採取にもディスポーザブルのゾンデが使われはじめているが,この場合は取り扱い頻度の点からは,能率化に対する効果はあまり高く評価できない.しかし,胃・十二指腸液採用ゾンデをくりかえし使用するには,その洗浄を入念にする必要があり,さらに煮沸消毒による損粍も激しいので,ディスポーザブルのゾンデの存在意義はじゅうぶん認めることができる.本稿では東大病院中央診療部で尿便検査,採血,採液に使用しているディスポーザブル器具を中心に,個々の器具の紹介と評価を試みてみた.

臨床化学検査

佐々木 禎一

pp.744-746

はじめに

 普及のめざましい"ディスポーザブルDisposable(以下Dispoと略)検査器具"は,"自由に使用して処理できる"という意味のとおり,幾度も使用することなく1度使用したきりで使い捨てする検査器具のことである.したがって1度使用した後,滅菌したり,洗浄しなおして何回も使用してきた従来の検査器具に比べて,当初は何となく‘もったいない’という感じが念頭にあり,経費高になることを気にせざるをえないものである.

 しかし一方検査の種類も件数も著しく増加しつつある現在,信用できる品質の一定規格のDispo製品を利用することは,これらの労働過重を緩和するに役だつものであり,事実臨床検査の分野ではすでにかなりの普及をみせている.

血液検査

寺田 秀夫

pp.747-748

 血液関係のディスポーザブル器具としては,輸血関係のものを除けば,血液検査関係としては次のものがあげられるに過ぎない(表1).すなわちランセット,注射針,注射筒,ヘマトクリット管,真空採血器,採血ビン,スピッツなどをあげることができる.

血液銀行

安藤 清平

pp.749-751

はじめに

 血液銀行関係の検査としては血液型検査,交差適合試験,異常血球抗体の検査,梅毒血清反応,肝機能検査(主に血清GOTおよびGPT値測定)などがあるが,梅毒血清反応と肝機能検査は,それぞれ血清検査と生化学検査の部門に含まれるべきものであるから,ここではこの両者を除外した検査に関係のあるディスポーザブル器具について述べる。

微生物検査

徐 慶一郎

pp.752-755

はじめに

 第2次大戦後,おが国においても,臨床検査の中央化が,各病院で相次いで実施され,当院も,今から17年前,開院当初よりこれを採用し今日に至った.その間検査室の整備拡充が次々と行なわれ,器械器具の整備とこれに伴った要員の確保が行なわれてきた.

 この間,基礎ならびに臨床医学技術の水準は著しく向上し,それに伴い臨床検査技術の進歩もめざましいものがあり,診療各科から臨床検査科へ要求される検査の種類も加速度的に増加し,しかも,実施が必要と認められる検査の中には,高度の技術を要するものも数多く含まれるようになってきた.

病理検査

桔梗 辰三

pp.756-758

形態病理学の分野

 形態病理学的検査の過程では,仕事は比較的単純で,使用する器具の数も種類も少なく,ディスポーザブル器具のはいり込む余地は少ないようにみえる.実際あまり実用化されていない.その中で2,3のものを拾ってみると次のようなものがあげられる.

使い捨て電極

戸川 達男

pp.759-761

 心電や筋電の検査のための電極として,金属板にペーストを塗って,ゴムバンドなどで固定したものが普通に用いられているが,最近になって新しい形の電極がいろいくふうされるようになってきた,従来の電極は,しばしば記録時の雑音の原因となり,運動時の検査や長期間の使用に不便なことが多かったにもかかわらず,あまり改良されるところがなく,欧米でも電極の問題が注目されるようになったのは,わりあい最近のことである.

 新しい電極の1つは,生体起電力の精密な測定のため,特に分極電位の小さい電極で,Beckman社から発売されたものなどが代表的なものである.この種の電極は,運動時や長期の使用に際してもきわめて安定であるが,高価であり取り扱いがやや複雑なので,通常の心電や筋電の検査にはあまり適しているとはいえない.そこで,もう1つの方向として,安価で取り扱いも簡単で,しかも通常の検査では十分満足できる性能を持つ使い捨て電極が開発されてきた.

代謝経路と臨床検査・9

コレステロール生合成

松村 義寛

pp.734-735

 ビタミンD,ステロイドホルモン,胆汁酸など,生理機能を保持するために重要な役目をしている化合物の原料はコレステロールであるが,コレステロールは18分子のアセチルCoAから縮合生成される.この合成反応には多数の酵素が参与し,ATP, NADPH,CoAなどの助酵素を必要とする.

 原料となるアセチルCoAは糖,脂酸,アミノ酸から供給されることはすでに示したところである.

私のくふう

結核菌耐性検査間接法における比濁定量用混濁液について

鈴木 武雄

pp.748

 結核菌薬剤耐性検査問接法は,菌を培地に接種するに先だち,被検菌の均等浮遊液を作らねばならない.それは正確に1mg/mlの菌液を作るため菌を秤量する.これは危険だしめんどうでもある.そこで,硫酸バリウム液により比濁法で,それと同程度の濁度を有する菌液を作ったほうが危険を伴わず便利である.硫酸バリウム液は沈降速度が大きいため,比濁のたびごとに十分に振って均等にしけなればならない.多数の検体を短時間で消化するにはめんどうである.また,溶液のBacl2−2H2OとH2SO4との反応条件を厳密にしなければならない.

 私は,ポリスチレンラテックス微粒子の混濁液を考案し,現在実施しその効果をあげている.ポリスチレンラテックスは,スチレンモノマー,乳化剤,重合開始剤,触媒により合成し,さらにその粒子をシード重合により約0.2μの粒子径のラテックスを,50%メタノール水溶液で200倍に稀釈し,660mμの波長で水を対照としてその吸光度を測定し,あらかじめ測定しておいた硫酸バリウム液の吸光度と,ほとんど同一になるように50%メタノール水溶液で補正して,硫酸バリウム0.1mg/ml,0.15 mg/ml,0,2mg/mlに対応する濁度標準液を作成した.このラテックス混濁液は表に示すとおりで,一度振っておけば数カ月以上静置しても懸濁粒子は沈降しない.硫酸バリウム混濁液とラテックス混濁液は全く性質は違うが,肉眼的外見には差異は認められない.

ひろば

おもしろいこと あなたもやってみませんか

大林 弘幸

pp.758

 自然科学に関する偉大な発見は,ちょっとした現象がヒントとなり発見される場合が多いと聞きます.たとえば,ニュートンのリンゴの逸話など小学生から知らされていることです.

 われわれの検査室のなかでは,ニュートンやガリレオのような偉大な発見とまでいかなくとも,ひょっとして,新しい事実にぶつかることが多いと思います.臨床検査に関しては,検査法に関しても,測定法に関しても,多くの先駆者が研究し,開拓した道ですが,まだまだいろいろなことがかくされております.

1ページの知識 生化学

酸化還元法

永井 諄爾

pp.765

 前号で血清カルシウムの定量に関連して,キレート滴定法の原理を説明した.血清カルシウム定量の標準法として,現在なおClark-Collip法が生命をもっている.この方法はカルシウムをシュウ酸カルシウムとして沈殿させ,このカルシウム塩のシュウ酸を過マンガン酸カリウムで滴定し,酸化に清費された過マンガン酸カリウムの量からシュウ酸の量,したがってカルシウムの量を求めるのである.このように酸化剤を使って滴定する方法は,同じ滴定であるにしても中和法とは反応様式が違う.中和法では分子,イオンまたは原子団の原子価に変化が起こらないが,酸化剤で滴定するときは,原子の増減,すなわち原子価の変化が起こるのである.

 酸化剤の標準液を使って滴定する方法を酸化滴定法と名づけるのに対し,還元剤の標準液を使って滴定する方法を還元滴定法という.しかし,原理は同じであるから,両者を合わせて酸化還元法と名づける.

1ページの知識 血液

血球鑑別のコツ(2)

大橋 辰哉

pp.766

核の構造

 核の構造の特徴をよく理解していることは血球鑑別にあたって重要である.核の構造とは,染色質(Chromatin)の性状や分布状態であるが,その模型図を図1に示しておく。

1ページの知識 血清

沈降反応以外のゲル内血清反応

安田 純一

pp.767

 昔の血清学では,主として血清を抗原として異種動物を免疫し,得られた抗血清との間に沈降反応(重層法または混合法)を試みることにより,抗原抗体反応の特異性が研究されていた,このような在来の沈降反応の限界を破った動きに2方向があった.1つは赤血球などの粒子に抗原を吸着させ,元来沈降反応であるものを凝集反応の形に移して観察しようとするいき方である,Middlebrook-Dubosの反応,梅毒凝集法などがその例であり,Waaler-Rose試験も,現象面からみれば,この系列に属する.いま1つは,ゲル内沈降反応(免疫拡散法)の開発によって,沈降反応そのものの鋭敏度・特異度を向上させようという,正攻法であって,免疫化学のはなばなしい展開はおもにこの第2の突破口から出発したのであるが,実際の血清検査では,こうした術式はなじみのうすいものでしかなかった.しかし,Milgromらによって,沈降反応以外の種々の血清反応がゲル内で実施できることが明らかにされるに及んで,血清学の全領域に免疫拡散法の応用範囲が開けた.以下,代表的な術式を紹介する.

1ページの知識 細菌

血液寒天に生える菌(2)

木村 貞夫

pp.768

b)肺炎球菌

 染色所見でランセット状の2個の菌が向かいあって双球菌様をなすので,肺炎双球菌と呼ばれたこともある.血液寒天上でα溶血(緑色溶血環)を示すので,緑色レンサ球菌との鑑別が必要になることがある.胆汁に対する溶解性(前号),オプトヒン感受性(肺炎球菌+),きよう膜の有無などを調べれば区別できる.本菌は,マウスに対する病原性がきわめて高いから,マウスの腹腔内に菌を少最注射すれば,その心血などから菌を純培養のようにとることができ,この菌をついてきよう膜染色をするときよう膜がよく見える.

1ページの知識 病理

染色標本の封入と完成

川井 一男

pp.769

 染色操作によって組織成分はいろいろと染め分けられるが,そのままでは透明度がわるく,また組織表面の反射屈折などのために,光学顕微鏡での観察には適しない.一般には,組織標本は脱水透明化の後に適当な屈折率をもつ封入剤を用いて,カバーグラスで封入してから観察する.

1ページの知識 生理

加算器

宇都宮 敏男

pp.770

 論理回路につき前2回解説したので,その応用として計算機用の加算回路の原理を説明しよう.電子回路で足し算を行なうには,普通,数を2進数(binary number)として取り扱う.これは表1に示すとおり,10進数に比べて桁数が多くなるが,数字は0と1しかないので,回路として取り扱うには便利である.

1ページの知識 一般

ドライバーとナット回し(2)

高原 喜八郎

pp.771

ドライバー取り扱い上の注意

(1)ネジの大きさに適合した寸法のドライバーを選ぶこと.小さいドライバーで無理して大きいネジを回そうとすると刃先や捻子頭の溝がかけたりする.

(2)過大な力で回し入れないこと.ネジ軸をねじり切ったり,ネジ山を痛めたりする.

論壇

化学検査室の安全対策

渡辺 健一

pp.774-775

 化学検査室は,間接的に患者の生命をになうところであると同時に,その仕事に化学試薬,科学機器を扱うことが多いから,常に化学的事故も潜在する,したがって,仕事にあやまちがあってはならない,万一事故があっても,その被害を最小にして防ぐ心構えと対策が講ぜられていなければならない.

 安全管理の根本は,人間尊重の思想と総合的,合理的な対策運営にある.また,これを実現するための予算の裏づけが必要なことはいうまでもない.それはちょうど人間の健康管理のようなもので,どこかが1つでも狂ってくると全体がうまくいかなくなる.このためには,管理者あるいは指導者は安全のための責任者であるとともに,室員の教育者であり保護者であることをはっきり打ち出すことである.一方,全室員は安全に対する十分な理解と協力に努めることである.しかしこの基盤として,検査室の適正な設計(位置を含めて),安全のための基本運用方針,十分かつ流動性ある安全対策予算がなくてはならない.

臨床検査の問題点・9

固定法の実際—手術材料と解剖材料

畠山 茂 , 萩島 寿子 , 高田 多津男

pp.776-782

 良い染色標本を得るには,しっかりとした固定法が第1条件となる.最も使われているホルマリン固定を中心に,プアン,ヘリーなど各種固定液の使い方,その長所・短所を再検討する.

(本誌第11巻4号"固定の理論"参照)

主要疾患と臨床検査・9

神経疾患と臨床検査

塚越 広

pp.783-789

 神経疾患に罹患した患者に対し,いかなる検査をいかに行なうべきかを述べるのが本文の目的である.神経疾患の種類は多く,その検査法も多岐にわたっている.一般に神経疾患患者には,まず,内科的検査が行なわれ,さらにこれに神経疾患に特有な検査が加えられるというのが実状である.

 今回は,これらの検査のすべてを述べる余裕はないので,神経疾患患者をみた場合,われわれが行なうべき検査法のうち,神経疾患に特有な検査を主として順序をおって述べてゆくことにしたい.

座談会

第18回日本衛生検査学会を顧みて

稲生 富三 , 山岡 邦夫 , 佐々木 四郎 , 須々木 英一 , 寺田 勝美 , 佐藤 乙一

pp.790-796

 本年の学会(会長・稲生富三)は,名古屋,愛知文化講堂など6会場に分かれて,約3500人の参会者が,熱心に研究発表に聞き入った.本誌では,この機会を利用して,特に"学会運営の問題"と"地方の検査室の実情"に焦点をしぼってお話し合いいただくことにした.

研究

ヘモチーム-Lの使用成績

浅野 紀子 , 正路 喜代美 , 茂手木 皓喜

pp.797-799

 Leucineaminopeptidase(LAP)の測定法で現在主に行なわれているのは,基質にL-leucyl-β-naphthylamineを用いる方法である.これはLAPによって遊離したβ-naphthylamineを呈色させる方法である.原法としてのGoldbargの方法1)は,Bratton-Marshall試薬との反応によるアゾ色素を比色するものであるが,その他ジアゾニウム塩カップリングによる方法2),P-dimethylaminobenzaldehydeによる比色法3),P-dimethylaminocinnamaldehydeによる比色法4)などがある.そしてこれらの方法による試薬キットが市販されている.ここに報告するのはp-dimethylaminobenzaldehydeによる比色法をキットにした"ヘモチーム-L"(第一化学)の検討成績である.

塩化コバルト反応の簡易化に関する検討

塩田 敏雄

pp.800-802

はじめに

 肝機能検査の1つとしての塩化コバルト反応は,コバルトSolに対する血清タンパクの膠質不安定性を熱凝固によって検査しようとするもので,Weltman凝固体反応と似ているが,血清の熱凝析に及ぼす各種陽イオンの中でCa++に比し凝結力が3倍強く,変化域の移行がきわめて鮮明で判定容易なCo++を用いている,術式によれば,①濃度別に10本の試験管を用いる(0.1g/dlコバルト液と水の比12:38-3:47),②試薬量5ml,使用血清1ml (0.1ml×10),③沸騰水浴中で15分加温,に要約され,検査に要する時間約40分である.今般のように多数の検体を扱わなければならなくなると肝機能検査のルーチンの中に,コバルト反応を入れるには高田反応同様不便である.今回私は,コバルト反応を簡易化するため,①濃度別試験管の減本,②試薬の減量と使用血清の微量化,③沸騰水浴中での加温時間の短縮,について検討し,試験管法からアンプル法への可能性を試みた.

心電計ペン先温度の波形に及ぼす影響

松本 佶也

pp.803-807

はじめに

 現在臨床に広く用いられている心電計の型は熱ペン直記式であり,その製造基準としてJIS規格が設けられている.しかしながら,熱ペンと感熱記録紙との適合の良否は心電図を記録する場合,波形に大きな影響を及ぼす重要な因子であるにもかかわらず,JIS規格に明確な規程がなく,メーカーも使用者もあんがいなおざりにしている.心電図記録時のペン先温度は校正用の矩形波の波形で吟味するとか,記録中の波形の黒化度やにじみ,かすれの程度で調節している.ペン先温度の測定法はクレヨンおよびペースト温度計や,加熱電流値の解析によるものである.

 ペン先温度と感熱紙の感度による波形の変化については上田ら,樫田らおよびLepeschkinも述べているが,これらは記録波形についての経験的記述である.

ニュース

血清トランスアミナーゼ測定標準操作法補遺—日本臨床病理学会・日本消化器病学会・肝機能研究班

pp.808-809

 8月号の本欄に掲載いたしました"血清トランスアミナーゼ測定標準操作法補遺"は,その後,一部に若干の改訂がありましたので,あらためて全文掲載いたします.

(編集部)

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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