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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査14巻1号

1970年01月発行

雑誌目次

カラーグラフ

腎臓移植

松倉 迪雄 , 黒沢 知徳

pp.6-7

臓器移植の中でも腎臓移植の歴史は最も古く,慢性腎不全の治療として人工腎臓とともに臨床上広く応用されている.移植後に起こる拒絶反応の対策としては,現在,組織適合性試験によるdonorの選択と,免疫抑制処置が日常行なわれているが,移植免疫の壁は依然として厚く,さらに基礎的研究が必要である.ここでは,イヌの腎同種グラフトの拒絶反応を正常腎,腎自家グラフトと対比して図示した.(総説参照)

グラフ

タイの検査室

高橋 昭三

pp.9-14

バンコックの大病院としては,タイ赤十字病院,ラマ・チボリ病院,シリラ病院の3つをあげることができる.臨床検査室としては,この3病院のほか,日本でいえば予研にあたる医学研究施設がある.これらの病院はアメリカ,日本,その他の国の援助により,近代的なラボを作っており,また作りつつあるといってよい.ラボを回ると各国の品評会の観がある.上にあげたほか,伝染病院(主としてコレラ),中央胸部病院(著者が滞在していた)なども,大きなまとまった施設であったが,臨床検査室は日本のものとあまり変わらない.これらの病院のラボの最大の悩みは,技術者,医師の不足であり,日本よりももっと深刻である.それはタイ語でなく,英語で教育を受けているため,どんどん英語国に流出してしまうためであろう.また,実験医学の経験が乏しいため,技術者,研究者の層が日本に比べて著しく薄いためではないかと思われる.今,これらの病院は,経験と技術の蓄積のために必死の努力をしている.私はそこを回ってくる機会にめぐまれた.このころ最低気温が30℃以下の日はなく,最高気温が40℃を越す日が数日あった.空中雑菌はおどろくほど少ないが,室温ということばは22℃でなく,33℃ぐらいを適用しなければならないラボが大部分である.

豊島区医師会臨床検査センターを訪ねて

編集室

pp.15-16

昨年8月,豊島区医師会館に"臨床検査センター"が開設された.この"豊島区医師会臨床検査センター"は,豊島区がすすめていた地区住民の消化器癌検診事業を,豊島区医師会が委託を受けて発足したものである.

地域医療を開発することは地区医師会の大きな役割の1つであり,同センターは,地域(豊島区)の集検(40歳以上の成人)ですでに高度の集検率(90%以上)をあげ,早期癌発見などに活躍をはじめている.

抗原抗体反応・1【新連載】

抗体の構造

松橋 直

pp.18-19

 血清学的検査法の基礎になるのは,いうまでもなく抗原抗体反応である。この抗原抗体反応は,抗原と抗体とが互いに適合しているときに,抗原と抗体の間で選択的に起こる反応であり,この選択性を血清学的特異性と呼んでいる.この特異性をもつ抗体が,どのような機序で作られるれるのかは現在なお明らかでなく,医学生物学領域における大きな研究テーマになっている.また抗原と抗体とが,どのような力関係で,互いに特異的に結合するかも興味ある問題とされている.しかし,本シリーズでは,はじめに,現在知られている抗体の構造を述べ,次いで,抗原抗体反応のいろいろの形式を図解し,読者の血清学の理解を深める道筋にしたいと思う.

 抗体の構造を,卵白アルブミンで免疫したウサギのγ—グロブリンを用いて研究していたPorter(1959)により,画期的な発見がなされた.抗体分子はパパインの酵素作用により分解され,できた分解産物は卵白アルブミンと沈降しない.この混合液に酵素作用を受けていない抗卵白アルブミン抗体を加えても,もはや沈降物ができないから,その分解産物は抗原である卵白アルブミンと結合していることがわかる.さらに,分解産物の一部は不溶性になって,しかも,結晶状になることがわかった.

ノモグラム・1【新連載】

アルブミン・グロブリン比の求め方

斎藤 正行

pp.21

求め方

タンパク計またはビュレット法による総タンパク量(g/dl)を右側軸上に,HABAなどの色素によるアルブミン量(g/dl)を左側軸にとり,その両点を定規で結ぶとき,中央軸との交点が求めるア/グ比である.

 例:タンパク6.0g/dl,アルブミン2.5g/dl,ア/グ比は0.7となる.

検査室の便利表・1【新連載】

透過率(T%)と吸光度(E)との換算表

松村 義寛

pp.23

 光電比色計では%透過率と吸光度の2つの目盛りがついていて,吸光度目盛りを読むのが普通行なわれるが,正確さの点からは透過率目盛りを読んで,その数値から吸光度を求めるほうがよい.ことに吸光度が1.00以上の部分では,目盛りが荒いのと,等間隔でないことからも,透過率から換算すべきものである.

 この換算表は透過率(T%)を小数点以下1けたまで読んで,その値を吸光度の小数点以下3けたまでの数値に直すのに用いられる.

総説

移植免疫

松倉 迪雄

pp.25-28

南アフリカやわが国の心臓移植を契機として,臓器移植に対する一般の関心がにわかに高まり,‘拒絶反応’ということばが日常的に使われるようになってきた.この拒絶反応がどのように起こり,またどんな方法でこれを防止しているか,さらに移植の将来の見通しなどについて述べてみよう(カラーグラフ参照).

技術解説

血中および呼気中アルコールの検査法

及川 智正

pp.29-33

 今日,交通事故は世人の強い関心を集め,種々の対策が考えられているが,なお衰えることなく,日常生活に恐怖を与えている.これらの交通事故のうちでも,飲酒運転によるものは被害が重大化する傾向があり,強く取り締まられている.

 しかし,飲酒による影響を直接測定することはきわめて因難なことで,一般には,血中アルコール(以下A)濃度を指標として用いることが行なわれている.

2進法とディジタル技術

池田 研二

pp.34-40

 電子計算機や処理システムなどに関連して,最近"2進法による演算"とか"バイナリー・コード"などということばを耳にすることが多い.またこれらがいわゆる"ディジタル技術"と切り離せない関係にあることも,すでに周知のことと思われるが,ではなぜ2進法などという使いなれない数学が登場するのだろう,と疑問をいだかれる方もあることであろう.われわれが数をかぞえるときに,0から9までの10個を順々に用い,次に10と,けた上げする10進法をふつう使うのは,たまたまわれわれの指が左右あわせて10本あったからにすぎないのではないだろうか.生まれてこのかた10進法になれてきたために,10を何か特別な数のように感じがちであり,また数学そのものが10進法と切り離せないもののように考えてしまいそうであるが,実は10進法と全く同様な数学が,2またはそれ以上の進法のすべてで組み立てられるのである.

 一方,数に限らずわれわれが受けとったり,与えたりする情報は,すべて2元的なものの組み合わせで表わせることが知られている.たとえば,電信のモールス符号では,一の2つの符号の組み合わせでカナ,アルファベット,数字などをすべて表わすことができる,さらにわれわれの脳細胞や神経細胞では,興奮と静止の2つの状態しかとれず(all or none),その組み合わせで情報の伝送や処理がなされているものと考えられるが,人間の知能活動自体がすでに2元的なものから構成されていることは,まことに驚くべきことである.

臨床検査の問題点・13

尿沈渣

折田 義正 , 垣内 カオル

pp.42-48

 検査室の大小を問わず"尿"は最もポピュラーで,かつ基本的な検体である.その割りには,その検査手技や臨床的意義はあまり顧みられていない。ここでは,腎尿路系の疾患に欠かせない"尿沈渣"の初歩的なテクニックを検討する.

主要疾患と臨床検査・13

関節疾患と臨床検査

松本 淳

pp.49-53

 関節疾患と一口にいってもその範囲は広いので,その中で鑑別診断上臨床検査が重要な意味をもつ関節炎諸疾患をあげ,その臨床検査の種類と意義を簡単に説明する.

学会印象記

第7回世界臨床病理学会—自動化と簡易化カナダのモントリオールで40か国参加

蓮沼 進

pp.54-55

 カナダの入口バンクーバーに着いてみると,きのうまでの東京のむし暑さとはうってかわって,ちょうど夏の終わりの北海道を思わせるさわやかなはだざわりの風や色とりどりの花が咲きみだれている美しい庭の多いのに目をみはりました.ここからカナダロッキーを越えて5時間ほどで,小沢征爾のトロント交響楽団で有名なトロント市を経て,セントローレンス河にのぞむカナダ第1の大都市モントリオールに到着しました.ここは1967年,カナダ独立100年を記念して万国博が開かれたところです.

 ここのクインエリザベスホテルという一番大きなホテルで,7月14日から18日までの5日間にわたり,A,CRitchie会長のもとで,カナダ病理学会,カナダ臨床化学協会およびカナダ細菌学会共催の第7回臨床病理国際会議が開催されました.参加国は約40か国,参加会員数は1000名に達し,日本からは約30名参加し,アメリカ,カナダについてで3番めでした.

1ページの知識 生化学

よう素−131

松村 義寛

pp.57

 甲状腺機能検査のうち急速に利用度数の増加したのが,トリヨードサイロニン—レジンスポンジ摂取率の測定で,市販のトリオソルブ検査法である.また近年,ペプチド性ホルモンのラジオインムノアッセイも多く行なわれるようになり,血中インスリン,HCG (向性腺性絨毛ホルモン)などが定量されている.

 これらはよう素の放射性同位体である,よう素−131やよう素−125によって標識された化合物を用いて,その放射能を測定することで定量されるものである.

1ページの知識 血液

採血法と抗凝固剤について

糸賀 敬

pp.58

 血液検査用に採血する場合,血球成分は運動,入浴,食事などで生理的変動を起こしやすいため,一般に早朝空腹時を選ぶのが原則である.しかし外来患者などの場合には,昼食前の空腹時になれば,すでに病院内で1時間以上も安静を保っているので,採血してもさしつかえない.

 なお,赤血球数,血色素量,ヘマトクリット値,白血球数などの測定では,耳朶採血によるほうが,静脈血による測定値に比較してほぼ10%も高値を示すため,入院・外来患者ともに毛細管血(耳朶)採血か,静脈血採血かのいずれか一方に統一しなければ,測定の手順をいかに誤差を少なくしようと慎重に実施しても,意味をなさないこととなる.また血球算定用か凝固検査用か,その目的によって使用する抗凝固剤も,その種類を異にする.

1ページの知識 血清

ASLO検査再考

水谷 昭夫

pp.59

 ASLOは,Lancefieldの分類によるA群溶血性連鎖球菌およびC,G群の一部のものが産出する溶血毒素,ストレプトリジンOに対して生体が産生する抗体,抗ストレプトリジンOを定量的に検出するおなじみの検査である.この検査によってわれわれは上記溶連菌の感染の有無,または感染後のその活動状況を知ることができる.

 現在,最も一般的に行なわれている術式はRantz-Randall法(1945)である.その他Crawford-Robinsonの毛細管法(1954),Japlonによる微量法(1958)などもあるが,あまり普及していない.

1ページの知識 細菌

滅菌法と消毒法

土屋 俊夫

pp.60

 滅菌,殺菌,無菌,消毒の用語がとかく混同されている.滅菌は消毒の最も安全な特殊形といえるが,消毒は滅菌の簡易形とはいえない.

 滅菌および消毒には,その作用の内容から物理的方法と化学的方法とがあり,滅菌法としてはおもに前者が,消毒法としてはおもに後者が使われる.滅菌法には種々の器具が用いられるが,その器具の構造・操作を十分に習熟しなければならない.また滅菌材料は滅菌後の取り扱いに注意し,できるかぎりすみやかに使用すべきであることはいうまでもない.

1ページの知識 病理

ミクロトーム刀の研磨

和田 昭

pp.61

 美しい組織標本を作るためには,まずメスがよく切れとるいうことが先決であって,こと薄切に関しては,"弘法筆を選ばず"式のやり方が通用しないのはいうまでもない.

 メスのとぎ方には手とぎと機械とぎがある.最近は検査材料の増加に応じるため自動研磨機が普及しつつあるが,基本はあくまで手とぎであり,しかも真の切れ味を出すには何といっても手とぎのほうがまさる.

1ページの知識 寄生虫・原虫

寄生虫の検査法(1)

保阪 幸男

pp.62

直接塗抹法とセロファン厚層塗抹法

 寄生虫の検査法はこれを大別して,糞便の検査によるものとその他特殊の検査によるものとがある。糞便の検査も塗抹法,集卵法,培養法など種々の方法があり,その他の特殊検査には,皮内反応および各種免疫反応によるものなども含まれる.ここではまず,糞便の検査による直接塗抹法とセロファン厚層塗抹法について述べる.

1ページの知識 一般

ブルースライド

角尾 順三

pp.63

 最近,学会や研究発表会などで投影されるスライドが,製作者の努力によってたいへん進歩してきているが,中でも資料を最も効果的に見る人に印象づけるものとして,ブルーのスライドが多用されるようになってきた.

 そもそも理想的なスライドとは,少なくとも次の4つの条件を備えていなければならない.

論壇

病院のなかの検査室

守屋 博

pp.66-67

分業化のもたらしたもの

 戦後,急速に病院が大型化してきた.それは,医学の進歩と社会の福祉化が基礎にあるのであるが,一番の原因は組織が根本的に変わったことである.

 どうかわったかといえば,一言にしていえば分業化組織がとり入れられたことである.戦争前の大型病院は,大学病院であるが,それは独立した各科がたくさん集まって,大きくなったのであって,個々の診療科は,自己生産的に一貫作業をやっていたのである.1人の教授のもとで,看護婦も検査技師もX線技師も,個人的使用人として仕事をしていたのである.彼らの仕事はすべて教授の目のとどくところで,その責任のもとで行なわれたので,大きくなることもできないし独立性も得られなかった.

座談会

アルコールの生理と病理

保刈 成男 , 高橋 宏 , 大久保 柔彦 , 松村 義寛

pp.68-75

 人間とアルコールの歴史は古く,また密接である.しかし,"生命の水"とも"気違い水"ともいわれるアルコールは,昔から論議されているが要領をえない.では,それが人体にどう作用するのか,また飲酒の正常と異常の境界,自動車運転との関係はどうなのか.

海外だより

東南アジアの検査室(3)—マレーシアの検査室Institute for Medical Researchを訪ねて

佐々木 禎一

pp.76-80

首都クアラルンプールへ

 前号で紹介したシンガポールを離れて,12月4日早朝,私はMalaysia-Singapore Airlinesのコメット機で隣国のマレーシアの首都クアラルンプールに行った.この国は先年シンガポールと別れて独立し,その後お互いに新興国家としての進度を競い合っている,複雑な間柄にある.

 当地訪問は,マレーシアの熱帯医学はもちろん,広く医学研究全般にわたってボスであるDr.Ungku Omar-Ahmad (図1)をInstitute forMedical Research (I.M.R.)に訪ねて,"仮性結核菌症"についての討議をする目的があったからである.

研究

抗凝固剤EDTA−2Kの乾燥条件の血球成分に及ぼす影響

寺田 秀夫 , 根橋 武子 , 石井 玖枝

pp.81-84

はじめに

 臨床検査の中央化に伴い,臨床各科で採血びんに適当な抗凝固剤を添加して静脈血を採取し,中検で一斉に検査する方法がはるかに能率的であり,三輪らの昭和42年度の調査では,病床約280床以上の76病院のうち64.5%が,血液検査のために静脈採血を行なっていることが知られている.

 著者らは,血液検査のための最適の抗凝固剤としてEDTA塩,特にその2K塩が血球成分の形態に与える影響も少なく,また血小板算定にも適することをたびたび報告2,3)してきたが,使用に際しての乾燥条件としては,一般に60℃以下とされ,日常には37℃の孵卵器に一昼夜放置して,乾燥し使用しているのが普通である.しかしながらEDTAの融点は240℃4)であり,したがってEDTAのNa塩またはK塩のキレート力も当然熱に対して変化せず,急いで採血びんを乾燥させるためには,EDTA塩を100℃で短時間に乾燥させても,血球成分に対する影響は37℃で乾燥させた場合と同様変化ないことが想像される.この報告では,EDTA塩の乾燥温度と乾燥時間をいろいろ替えて,この塩のキレート力ならびに血球成分に与える影響について検討したので,その成績を報告する.

セルローズ・アセテート電気泳動による血清タンパク分画定量法の検討とキップ社製濃度計の使用経験

藤永 彦一

pp.85-89

はじめに

 日常の検査において1台しかない測定器が故障した場合,非常に迷惑するので,理想的には2台備えていることが望ましいが,血清タンパク分画測定に用いる濃度計はやっかいなことに,そのメーカーが違えば定量値もそれぞれ違うことが多く,さらにややもすると同一のメーカーの器械でもその製品によって異なった結果が得られることが多いといわれており,そのうえ濃度計を使用する直接法と,比色計を使用する抽出法との結果がまた互いに相違することが多いので苦慮していた.そこで超高感度記録計やガルバノメーターで定評のあるオランダ・キップ社の濃度計の入手を機会に種々検討の結果,キップ社ならびにすでに持っていた萱垣社の濃度計を使用した直接法と,日立101型分光光度計を使用した抽出法との3者の成績がそれぞれ非常によく一致したので,あわせて血清タンパク分画の正常値ならびにその成績管理に備えて,保存血清の経時変化についても観察したので報告する.

Michaelsson変法(schweizerhallキットによるビリルビン測定法の検討

宮仕 クニ子 , 蔵重 亮 , 伊藤 忠一

pp.90-92

 現在一般に用いられている血清ビリルビン(「ビ」)測定方法としては,Evelyn-Malloy法(E-M法)1)と,Jendrassik-Cleghorn法(J-C法)2)の2つがあるが,いずれも多量の検体を必要とするし,特にE-M法ではメタノールの純度によって発色が異なり,また検体と標準物との発色のピークにずれを生じたり,タンパクによる混濁を生するなどの欠点があげられている.これに対してMichaelsson変法3)(M-変法)は,J-C法に改良を加えたJendrassik-Grof-Nosslin法(J-G-N法)4)をさらに改良した方法で,検体量が0.3mlで十分であり,反応が鋭敏,再現性が良好,呈色が長時間安定,溶血血清でも正確な値が求められるなどの利点が唱えられている.以下,本法を応用したキット(Schweizerhall社)について,いくつかの検討を行ない,あわせてE-M法による「ビ」値との比較した結果を述べる.

私のくふう

携帯に便利な簡易恒温容器

磯川 実

pp.92

 Lee-Whith法による全血凝固時間の測定をベッドサイドで行なう場合,採血後,検査室に持ち帰って恒温漕に入れるまでの保温には,どこでも苦心されていることと思います.特に冬は気温が下がってなおさらですが,私どもはありあわせの材料を用いた,携帯に便利な簡易恒温槽を使用して,ほぼ満足できる結果を得ていますので,お知らせしてみましょう.

 まず,水槽には(病棟で使われているのを見て,たまたま思いつたのですが)ステンレス製の,市販の体温計入れを流用しました.水漏れがあればハンダ付けをして,これに医学書院機械KKで発売している,アミラーゼ測定セット用の試験管立を入れ,小型の棒状温度計を立て,37℃の温湯を満たします.

寄生虫卵永久標本作成方法

岩本 宏文

pp.96

 虫卵の永久標本は,成書によっても作れないとされています.私の病院には衛生検査学校の実習生が来ております.それで,ぜひ教材用にと考えついたもので,結果がよいので報告します.

 使用する器具は,病理組織学的検査に用いる一般的なものすべてと,寄生虫卵の集卵のために用いる試験管などです.

新しいキットの紹介

Waaler-Rose反応型のリウマチ因子,簡易検査法Polyar Test FK−1010(Fumouze)について

富田 仁 , 上尾 八郎 , 大田 美江子

pp.93-96

はしがき

 慢性関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis以下RAと略す)患者血清中に存在するリウマチ因子(Rheumatoid Factor以下RFと略す)を証明せんとする血清反応は,非常にたくさんあるが大別して次の種類になる.

ヘモグロビン測定法の検討(第2報)—シアンメトヘモグロビン標準液の保存性ならびに市販の溶媒製品について

岡崎 公士朗

pp.97-99

はじめに

 1964年ストックホルムにおける第10回国際血液学会において,ヘモグロビン測定法の国際標準法案が提案され1),ついで,1966年シドニーにおける第11回国際血液学会では,これを若干改変した国際標準法が決定された2).以来,本法はすみやかに欧米諸国に普及し,最近ではわが国においても広く採用される機運にある.ところが,本法に使用すべきヘモグロビン標準液の手製はかなり困難であるため,市販品にたよらざるをえない.したがって,著者は1966年当時,わが国において入手しえた市販の標準液を吟味し,満足すべき成積を得てその結果を発表したが3),その後,さらに検討を続けたところ若干の不良品を見いだした.この原因として,おもに輸送や保管中の変質が疑われたので,今回は,国際標準法の規定に従って標準液を手製し,これを長期保存させるための条件を検討した.また,血液を溶解する反応液(溶媒)についても,現在入手しうる各種の製品につき比較吟味を行なったので,あわせてその成積も報告する.

質疑応答

TPHA検査法の定量法/血中ビリルビン検査法について

G 生 , 富沢 孝之 , K 生 , 石戸谷 豊

pp.100

 問 TPHA検査法において,定量法は臨床的所見と意味をもつのでしょうか.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

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今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

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今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

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60巻13号(2016年12月発行)

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今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

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今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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