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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻12号

1970年12月発行

文献概要

特集 日常検査法—基礎と要点 部門別の基礎技術 Ⅱ.臨床化学

電解質

著者: 井川幸雄1

所属機関: 1慈恵医大・中検

ページ範囲:P.1224 - P.1228

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NaとK4)
 血清ナトリウムとカリウムの測定は,ほとんどすべての施設が炎光光度計を用いていると思われる.炎光光度計の原理は,試料を霧吹きの作用で霧状にして,ガス炎に混合して元素に高エネルギーを与えたときに発生する輝線スペクトルの中から,定量したい元素のそれのみをフィルターで選び出し,そのスペクトルを受光部に与えてその強さを測定するものである.この際元素に特有な波長での炎光の強さは,この元素の炎光中の濃度に比例するので,測定の原理は一般の比色法のそれと同一である.アルカリ金属は炎光分析に適していて,分析精度もよくかつ測定の迅速さも臨床上の緊急の要求にも応じられるので,臨床にはうってつけの検査法で貢献も大きい.
 炎光分析の方法上の問題点の第1は,燃料ガスの変動などによる炎光の温度の高低や,試料を吸引して霧状にするatomizerという機構の安定性や試料の比重,粘度などが測定値を左右することで,臨床医の判断を誤らせる有害無益の結果を出す危険もきわめて大きい.この点を解決するため,内部標準法をくみこんだ測定器が登場してきた.これは標準液,検体双方に等量のリチウムを混合し,このスペクトルを標準として,炎のゆれ,検体の粘度などを補償することができる.IL社の製品はこの方法をとっており,プロパン,空気の炎を使用し,Naを589nm,Li671nm,K766nmとそれぞれの明るいスペクトルを相互に離れた波長でうまく捕えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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