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特集 日常検査法—基礎と要点
部門別の基礎技術 Ⅵ.病理学
文献概要
凍結切片法はもともと脂肪染色のようにアルコールや有機溶剤にとける物質を染めたり,神経組織の膠細胞あるいは髄鞘の染色に用いられているが,癌治療の発達に伴う術中組織診断の必要性が増したため,今ではこの方法による迅速標本の作製が,癌の外科的治療上はなはだ重要なものとなってきた.本来病理標本はきれいにでき上がり,それによって適確な診断が下せるということが要求されており,そのために時間をかけて丹念に作製することが最もたいせつなこととされてきている.しかるに術中組織診は短時間内に,しかもきれいな標本を作製するという相反した条件を満足させなければならないため,実際上なかなか困難な点が多いが,1つ1つの標本が患者の生命に重大な影響を与えることを常に考慮し,医師も衛生検査技師もともに日ごろからこの方法の理解と習熟に努め,少しでもよい標本を作るよう心がけることがたいせつと思われるので,以下,日常大阪府立成人病センターで行なっている方法を中心に思いついたことを書き進めてみたいと思う.
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