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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻5号

1970年05月発行

文献概要

抗原抗体反応・5

間接凝集反応(受身凝集反応)

著者: 松橋直1

所属機関: 1東大医科研アレルギー部

ページ範囲:P.432 - P.433

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 抗体がその反応部位で抗原の決定基と結合することによって,抗原抗体反応が起こり,沈降物を作ったり,凝集塊ができたりするので,沈降反応や凝集反応の間には,本質的な差異がないことは前回に述べたとおりである.しかし,溶液性の抗原と対応する抗体との間で起こる沈降反応も,抗原の大きさを大きくして赤血球ぐらいにすると,凝集反応の形で観察することができる.こうすることによって,抗原の決定基と給合はするけれども,凝集反応が起こらない特殊な抗体(これを不完全抗体とか,非定型抗体と呼んでいるが)検出できるようになったり,抗原抗体反応の感度を高めることができるので,血清学的検査法にはしばしぼ応用される.次に例をあげながら述べてみよう.
 抗グロブリン試験(クームズ試験)は,凝集能力をもたない不完全抗体(非定型抗体)と反応した赤血球は,1個1個ばらばらである.このような赤血球の浮遊液に,その抗体と反応して沈降反応を起こすことができるような抗グロブリン抗体を加えると,抗グロブリン抗体は,赤血球の表面に結合している不完全抗体(非定型抗体)と結びつきあうので,凝集反応が起こる.抗グロブリン試験の場合は,生体内で赤血球に抗体が結合している患者(自己免疫性溶血性貧血)があるので,このような例では,患者赤血球をとってただちに洗い,抗グロブリン抗体と反応させて検査するので,抗グロブリン試験直接法と呼ばれている(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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