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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻5号

1970年05月発行

文献概要

1ページの知識 病理

脱アルコールからパラフィン包埋へ

著者: 和田昭1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科

ページ範囲:P.479 - P.479

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1.脱アルコール
 パラフィン滲透に移る前に,脱水剤として用いたアルコールを除去してしまわなければならない.組織内にアルコールがあると,アルコールに溶けないパラフィンが滲透しないため,両者に溶けるクロロホルムやキシロールなどを用いてパラフィン滲透の媒介をする.これらの液を入れる容器は広口びんを用いるのがよく,3個ぐらい用意しI,II,IIIの番号をつけておき,脱水された組織片を順次に移していく.
 アルコールがぬけるにつれ,組織片は飴色を呈し透明度が増してくるが,脱水の不十分な組織の場合は組織片に白濁が残るので,再びアルコールに戻して脱水を十分にやりなおさねばならない.脱アルコールに要する時間は約30分から長くても2時間ほどで,それ以上要するものはきまって脱水不十分のものか,組織片の厚すぎるものである.長時間になると組織の硬化や縮少をきたすが,特にキシロールがクロロホルムよりこの作用が強い.クロロホルムは空気中の湿気を吸いやすい性質があるので二重ぶたのびんがよく,また無水アルコールびんと同様,無水硫酸銅粉末を底に敷いておくとよい.脱水から脱アルコールへ移す組織片は,濾紙でよくアルコールをきってから移すようにすると,クロロホルムやキシロールを経済的に使用することができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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