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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻8号

1970年08月発行

文献概要

主要疾患と臨床検査・20

鼻咽腔炎と臨床検査

著者: 堀口申作1

所属機関: 1東医歯大・耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.777 - P.782

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はじめに
 鼻咽腔炎ということばはどなたにも耳新しいことばであろうと思う,文字どおり鼻咽腔という場所の炎症には違いないが,この鼻咽腔という場所(それはあとに述べるようにきわめて平凡な場所である)の炎症は,耳鼻咽喉科領域のあらゆる部分にわたってきわめて重要な意味をもっているのである,たとえば,扁桃が悪いというときにこの鼻咽腔をみると,そこにはより激しい炎症が先行しており,また,中耳炎の場合にも急性中耳炎ないしは慢性中耳炎などのいずれの場合でも,病根がこの鼻咽腔の炎症にあることが少なくない.鼻炎や喉頭炎などの場合にも,この部分の炎症が主導性をもっていることが少なくないし,第一,いわゆる風邪の場合に炎症の最も中心となるのは急性鼻咽腔炎であるということは,多くの人が風邪の始めに上あごの奥(軟口蓋背面)に異常感を訴えることでもわかる.
 耳鼻咽喉科学の領域における臨床検査については,これをいろいろあげれば限りないことであるが,この鼻咽腔炎についてはその重要さにもかかわらず,一般の耳鼻咽喉科の書物にもほとんど記載されていないのである.その理由は,鼻咽腔炎という疾患が,従来は必ずしも一般に深い認識を得ていなかったことにあるのである.しかしながら最近はその重要性が次第に一般の認識を得つつある今日,これを記すことはきわめて意義の深いことと考えて,あえて筆をとった次第である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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