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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査14巻9号

1970年09月発行

雑誌目次

カラーグラフ

Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)—その臨床細菌学的同定法

藪内 英子

pp.832-833

発育に伴って水およびchloroformに可溶性の青色色素pyocyaninを産生する菌をPseudomonas aeruginosaと同定することはきわめて容易である.けれども実際にはpyocyanin産生能が種々の程度に弱いPaeruginosaの同定および,このよらな菌株とP. aeruginosa以外のpseudomonasとの鑑別が問題になる.ここには6株のP. aeruginosaを用いて,日常の臨床細菌検査の最初の段階を占める血液カンテン平板とTSIの培養所見,色素産生の種々相,ならびに定型的な色素産生の有無に関係なくこの菌種を同定するのに役だつ基本的な性状を掲げた.使用菌株は次ページのとおりである.

グラフ

新しい検査室 中央鉄道病院中央検査室—空調設計に最大の力を

高橋 正宜 , 谷中 誠 , 鈴木 亮而 , 河原塚 金造

pp.835-838

中央検査室の近代化は,自動機器の導入と電算機処理システムとの結合という機械化に向けられているが,他方,病院の機能の重要なユニットとしての中検の設計には,構造的な能率化が考慮されるべきで,管理面と技師の作業面との2面から十分な配慮が必要である.ここに紹介する中央鉄道病院で構造上最も配慮したのは,院内感染防止策と作業環境対策としての空調設計である.供給空気は再循環を避け,全外気を使い,空気清浄化のために高性能フィルターを使用している.たとえば病理検査室の汚染勾配を考えると,最も清浄度の高い組織培養室から鏡検室,標本作製室を経て,汚染度の高い切り出し室へ気流が流れるように気圧調整を行ない,汚染最極端の所から強制排気を行なっている.

組織と病変の見方 肉眼像と組織像の対比—中枢神経とその病変(2)

金子 仁

pp.839-842

アストロサイトーマは脳腫瘍の代表的なものである,良性のものも悪性のものもあり,後者はグリオブラストーマ・ムルチフォルメともいう.一般に1度から4度まで分け,3度,4度は悪性である.本例は2度の良性である.

結核性脳膜炎は小児に多いもので,昔はすぐに死んでしまったが,現在は抗結核剤が発達して,割合長く生きるようになった.特徴は,脳底部脳膜を侵すので脳脊髄液の循環障害が起こり,内水頭症を起こすのである.結核性肉芽の中に,チールネルゼン染色でみると結核菌が無数にみつかる.

組織細胞化学・3

酵素組織化学(2)

三友 善夫

pp.844-845

酵素組織化学各論

 生化学的にとり扱われている約1000種の酵素の中で,組織化学的にin situで検出できる酵素の数はそのほぼ1/5に限られたものである.

 生化学的に証明される酵素と組織化学的に検出される酵素とは,その検出法が原理的に同一の場合には,酵素活性の強弱や局在性にわずかの差異が認められることがあっても,ほぼ同一の酵素活性を示しているとみなされるが,色素などの組織化学的に特有の方法を用いなければ検出されないときには,生化学的な研究結果と組織化学的所見の比較には注意を要する.

ノモグラム・9

基礎代謝の簡易測定

斎藤 正行

pp.847

求め方 患者を十分安静状態に保ったのち,1分間脈拍数と血圧を測定し,脈拍数をA軸に,最高血圧と最低血圧(Swanの第4点)の差をB軸にプロットすると,この両点との交点が求める基礎代謝率(%)となる.この簡易測定法の絶対値そのものは,O2消費から測定する方法に比し比較的誤差が大きいが,同一患者の治療経過の評価には有用である.

注 意(1)心・血管系の患者には適用不可.

検査室の便利表・9

電気泳動用緩衝液

松村 義寛

pp.849

総説

螢光分析と臨床化学

松村 義寛

pp.851-856

病態生化学の進歩に伴って,分光分析法は臨床検査に欠くことのできない定性・定量分析の手段になってきた.ここでは,その代表的なものの1つとして‘螢光分析’の初歩的事項をまとめ,特に臨床化学検査への応用について述べることにする.

技術解説

血漿11-OHCS(Cortisol)の簡易測定法とその応用

倉田 晉

pp.857-864

はじめに

 ホルモン測定法の進歩により,多くの血中ホルモンが研究の域を脱し,日常の臨床検査に応用されるようになりつつある.副腎皮質ホルモンいわゆる11-OHCS(Cortisol)も,1960年のDe Moor法1)以来,簡易な螢光法として検討・修飾が加えられてきた.

 測定には,操作は繁雑でも特異性の高いものを求める方向と,簡単な方法によりすみやかに臨床に応用する方向とがあるが,Cortisolについては,後者の立場が非常に有用なことが多い.最近,天然ACTHに比し副作用の少ない合成ACTHが,本邦でも入手が容易になり37),治療および臨床検査に広く応用されることとなり,副腎皮質機能検査の面からみて,Cortisolの簡易測定法の意義は大きい.

薄層免疫ゲル濾過法による血清タンパク分画

河合 忠 , 青木 紀生 , 山岸 安子

pp.865-874

はじめに

 血清タンパクを分子の重さから分ける方法として,古くから超遠心沈殿法が使用されている.これは高価な装置を必要とし,分析に長時間を費し,しかも熟達した技術者がその操作をしなければならないことから,タンパクの研究には欠くことのできない分析法ではあるが,日常の臨床検査に応用することはまず不可能である.近年これに替わって分子の大きさから血清タンパクを分けるゲル濾過法,特にSephadex G−200を用いる薄層ゲル濾過法が,日常検査として取り入れられるようになった.

 本法は超遠心沈殿法とほぼ同様に血清タンパクをA分画(4.5S),G分画(7S),M分画(19S)の3分画に分けることができ,その操作は簡単で,特殊な装置を必要とせず,短時間のうちに各分画の定性および定量分析が可能である1,2)

ひろば

コツを学ぶ

村田 徳治郎

pp.874

 初めて就職し,現場の先輩のたまの仕事ぶりを見たとき,仕事の手早さ,処理のうまさと,学校で神経質すぎるほどの時間をかけた技術のABC……を比較すると,ずいぶんおどろかされたものである.6-7年隔たった今日,学校と現場の見方,考え方というものを,どのように一致させるか,いい替えれば実習生や新たに卒業して現場にはいる人にどのように理解させるか,考えてみたい.

 まず学校と現場の相違は,‘基礎代謝と肺活量’の差ではないだろうか.前者は一定の必要量を意味し,後者は個々の運動量において量的差違が生じるように,学校と現場を比較してどちらを正どちらを誤とすることはできまい.

臨床検査の問題点・20

嫌気性菌検査—その基礎とポイント

上野 一恵 , 小栗 豊子

pp.876-883

近年,臨床細菌学の領域で嫌気性菌(特に無芽胞)が重要視されつつある.しかし,臨床材料からの嫌気性菌培養は,好気性菌のそれと比較して,術式が困難なことなどで細菌検査室への普及はまだまだの観がある.そこで嫌気性菌検査の実際について話していただくと……

主要疾患と臨床検査・21

小児疾患と臨床検査

小林 昭夫

pp.884-890

はじめに

 小児科で扱う疾患はきわめて多彩である.その臨床検査もおびただしく,そのすべてを述べることは紙面のつごうで不可能である.ここでは小児科のみにみられる疾患に限って,その臨床検査の概説を試みたい.

 本論にはいる前に‘小児科での臨床検査の特質’についてふれておく.まず,(1)患児への負担が大きい検査は好ましくないばかりか,不可能である.たとえば乳児を長期間空腹にして検査を行なうことはできない.(2)サンプルの採取技術が困難であり,検査に制限が生ずる場合が少なくない.たとえば,新生児や乳児の採血はむずかしく,また採尿,特に24時間採尿を必要とする検査ではしばしば‘採尿もれ’が生じる.(3)採取できるサンプル量は,学童を除いては少量であり,したがって微量定量法が強く要求されてくる.(4)小児科領域での臨床検査は診断のための検査も多いが,検査成績により治療方針をすみやかに決定しなければ,患児の生命にかかわる種類の検査が少なくない.たとえば,新生児重症黄疸では血清ビリルビン値を測定し,もし高値を示す場合には交換輸血を行なわなければならない.もしこれを怠たれば核黄疸となり死亡するか,あるいは重篤な後遺症(脳性麻痺)を残すことになる.

私のくふう

血液型判定用ホールつきガラス板のバックシート

伊藤 義治

pp.890

 Rh, ABO式血液型,交差試験などに用いられているホールスライドグスラの判定時には,バックを白にするか,下からの透視によって判定するのが常である.そのために通常白バックになるような所へスライドをそのつど移動したり,検体番号を印したりするのが多いように見うけられる.

 このようなわずらわしいなかでは,特に不慣れな者の緊急に行なった場合,初歩的なまちがいを起こす原因にもなりかねないし,また器具の整理などの意味もかねて,下記のようなホールつきガラス板セットを作り,判定時をスムーズに処理している.

1ページの知識 生化学

血清の定容採取について

降矢 熒

pp.891

 定容採液は化学検査室の作業のうち,かなりの部分を占めている.これを効果的に行なうことは精度および能率の向上にきわめて有用である.本稿では採作の第1段である血清の分配について述べる.

1ページの知識 血液

部分的トロンボプラスチン時間—Partialthromboplastintime

糸賀 敬

pp.892

 組織トロンボプラスチンは正常の血漿も,血友病患者の血漿でも同じ早さで凝固させうる.一方,その替わりにセファリンやリン脂質製剤を用いると,正常血漿は早く凝固するが,血友病患者血漿の凝固は遅延する.前者を完全トロンボプラスチン,後者を部分的トロンボプラスチンと名づけて,後者を測定することにより,簡便に血友病を診断することに利用している.

 リン脂質製剤としてはトロスチン(注射用のものを蒸留水で50倍に稀釈して使用する),Platelin(使用時に蒸留水2.5mlを加え,37℃に約30分間加温後使用する),Thrombofax(溶液をそのまま使用する),Cephaloplatin(溶液をそのまま使用する)などがある.これら部分的トロンボプラスチンは血小板第3因子と同様の作用がある.

1ページの知識 血清

補体の生理学と病理学

水谷 昭夫

pp.893

1.補体系の個体発生

 補体(complement)といえば,梅毒補体結合反応に用いる試薬の一種ぐらいに思っている人があるかもしれない.実は,補体はある種の免疫グロブリンがその生理的機能をまっとうするために必要なものであり,また,場合によっては,その逆に生体に有害な抗体が病理的に作用する際の重要なエフェクターでもある.

 ブタの補体系の個体発生が,抗体産生機能の展開よりも早期に始まる(N.K.B.Day, R.T.Pickering, H.Gewarz, R.A.Good,1964)のは,上述のことを裏書きするひとつの事実であると考えられないことはない.

1ページの知識 細菌

ブドウ球菌とレンサ球菌

土屋 俊夫

pp.894

1.ブドウ球菌

 ブドウ球菌のブドウという語源はギリシア語の"Staphyle(ブドウの房)"という意味に由来しており,グラム染色標本ではグラム陽性のブドウの房状の配列を示す.しかし検体を直接染色した場合は双球状または短い連鎖で,レンサ球菌との見分けが困難なことがある.ブドウ球菌の分類は以前は色素産生能による分類がなされ,黄色ブドウ球菌,白色ブドウ球菌,レモン色ブドウ球菌のごとく区分されたが,今日ではコアグラーゼ産生能とマンニット分解性による分類がなされて,黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌の2者に分けられる.

1ページの知識 病理

包埋法のいろいろ

和田 昭

pp.895

1.迅速パラフィン包埋法

 術中迅速診断には凍結切片法が使われるが,この方法で確診できなかったとき迅速パラフィン切片の作製を迫られることがある.煮沸固定された組織をただちに加温された純アルコールあるいはアセトンで脱水,キシロールで透徹後パラフィンで包埋するもので,全過程を2-3時間で終了する.しかし組織は急速に脱水され,しかも加温という悪条件が加わるため障害が大きい.

1ページの知識 生理

逆説睡眠とポリグラフィー(2)

神保 真也

pp.896

 図はひとりのナルコレプシー患者の夜間睡眠のポリグラフをまとめたものである.横軸は終夜記録の時間を示す.この患者は悪夢にうなされねごとを言うので,これを最上段に点で示してある.睡眠深度図は黒い部分が逆説睡眠で,白い部分がAからDまでの睡眠深度(オーソ睡眠)である(前回の図参照).ねごとは逆説睡眠時にだけ出現している.

 脈拍や呼吸数は1分間値をプロットしてあるが,逆説睡眠で変動が大きい.この患者はねごとを言うので特に変動が大きくなっている.体動のうち大きいのは主として手足の動きやねがえりであるが,覚醒時や入眠時に多いのは当然である.逆説睡眠時には大きい体動は少なく,小さい体動すなわち主として首や顔面の動き,手足のれん縮などが多い.なお就寝時から逆説睡眠にはいるのはナルコレプシーの特徴的な症状であり,このとき入眠幻覚がある.これは昼間の脳波検査でもよく見られるので,ナルコレプシー患者にはあらかじめ眼球運動記録用電極をつけて,横臥位にしたらすぐ記録を開始することをおすすめする.

1ページの知識 一般

化学用体積計の常識

穂坂 光司

pp.897

 機器分析の発展普及のめざましい今日でも,分析用ガラス製量器(計量法では化学用体積計)は,全国で60人を越える人が年間約500万個ほどの検定を行なっている.これは,機器分析の精度維持が化学的分析法に依存することが多く,またこの化学的分析法の精度維持には,さらに化学用体積計などの精度維持が関連しているからであろう.

論壇

検査技師と倫理

柴田 進

pp.899-901

衛生検査技師と私

 検査技師と倫理——正直にいってこのような題目をかかげて,衛生検査技師に語りかける資格のある人は少ないだろう.現在衛生検査技師が自分の職業が十分世間に認められていないこと(たとえば医科大学,歯科大学,薬科大学,農科大学の獣医科の卒業者は,望めば自動的に衛生検査技師の免状が下付されることになっている事実は,臨床検査の専門教育をほどこす学校を卒業し,むずかしい国家試験に合格することによりはじめて衛生検査技師の身分を与えられた人々から見れば,果たして自分の職業を医療における重要な部門として,正当に認識しているかと当局に反問したくなるだろう),その報酬が激しい労働にふさわしくないほど低いこと(この点では,とかく病院内で働いている事務職員の給料に対する均衡を云々し,衛生検査技師の仕事が本質的には医師と同じ性格のものであることが理解されていない)を不平に思い,他面では,自分の技術が時勢に遅れず日々伸長しつつあることを意識せずには働いていけない,悩ましい気持で煩悶していることを私はよく知っている.

 これを承知のうえで倫理を云々するのは一見残酷なしうちではあるまいか.もしそれをなしうる資格が多少でも私にあるとすれば,それは私が数十年にわたって臨床検査室で衛生検査技師と一緒に働きつづけ,衛生検査技師と悩みを分かちあう医師であったということであろう.

学会印象記

第19回日本衛生検査学会に出席して

堀越 晃 , 吉田 陞 , 猪子 恵司 , 堀越 晃 , 田原 順子 , 山本 玲子 , 難波 昭善 , 北野 敬

pp.902-909

新しい学会への脱皮の息吹

 マンモス学会といわれるようになった日本衛生検査学会も今年で19回を終了した.演題数,参加者数ともこの学会に並ぶものは少ない.しかし,問題は学会の内容である.臨床検査が近代医療に果たす役割はますます大きくなり,その内容も年々高度化,専門化している今日,われわれ全国の技師が一堂に会して研究発表し,意見を交換し,互いに学術技能の向上,研讃にはげむ姿は医療のにない手としてその意義は深く尊いものである.

よりよい臨床検査を目ざして—東北の勉強会に出席して……

藤沢 武吉

pp.910-912

 今回(1969.11)山形市と秋田県横手市で開かれた検査技師関係の勉強会に出席し,技師の訴え(悩み)を聞く機会を得たので,共通性のあった2,3の問題について所感を述べる.

研究

正常人白血球像の日内変動について

説田 武 , 野手 信哉 , 祖父江 鮮 , 岩橋 嘉明

pp.913-916

緒言

 健康人の白血球像が同一日内においても測定時間により差異のあること,すなわち日間変動があるということについては,1891年Reinert1)の報告以来多くの研究があり,特に1925年Sabin2)により日内変動の主体が好中球であることが報告されてより,さらに多くの発表が行なわれるようになった,わが国でも草間3),勝沼4)などの報告があるが,このように日常の臨床検査法のうち,最も頻繁に用いられる白血球像の値が測定する時間により変動するということは,測定成績の判定と臨床的意義を考究するうえにきわめて注意すべき事項と思われる.

 上述のように,この問題に関して多くの報告が行なわれてきたとはいえ,この一見簡単にみえる事項に関する一致した所見は得られていない.したがって著者らはこの問題をとり上げて,臨床検査上の助けにいたしたいと思うしだいである.

オキシタラン(Oxytalan)線維染色法の検討

清野 和夫

pp.917-921

はじめに

 1958年にFullmerおよびLillieは結合組織の中に膠原線維,弾性線維,細網線維とは異質の線維が存在することを見いだし,オキシタラン(Oxytalan)線維と名づけた.Oxytalanはギリシア語由来で,この線維が酸に抗抵性を示すことを意味している.

 オキシタラン線維はヒトの歯根膜,歯肉に著明に見られ,腱,膝蓋靱帯,血管外膜,皮膚付属装置周囲,真皮にも存在する.ヒト以外でもサル,ブタ,イヌ,ヒツジ,ウサギ,モルモット,ラット,マウスなどの歯根膜その他に見いだされている.

血小板算定法の検討

平井 博子 , 木下 敬代 , 佐藤 伸江

pp.922-924

 血小板数算定を中央検査室で行なうに当たり,抗凝固剤の選択,算定法について,最近数多くの基礎的な研究がみられるが2-4,6),われわれは抗凝固剤にアンチクロット-ETを用い,算定法はQuick-Shanberge and Stefanini変法1,11,12)を用いて,算定板上の各部における測定値のバラツキ,採血容器についての吟味,温度差による時間的経過による算定値の誤差について吟味を行なったので報告する.

血色素測定法の検討—Van Kampen法の検討を中心に

黒川 一郎 , 田中 系子 , 小林 登茂子 , 鈴木 五穂 , 木村 寿之 , 植野 佳子 , 永井 龍夫

pp.925-929

緒言

 近年,血色素の臨床的測定法としてCyanmethemoglobin(HiCN)法が採用され,本邦でも三輪らによれば昭和40年に65%であったものが,同42年には88%に達し,測定方法についても従来のDrabkin法2)(以下D法)に比べ,Van Kampenらの方法3)(以下V法)が推奨すべきものとする指摘がある4,5).V法の試薬組成はpH・界面活性剤(Sterox SE)の添加があるなど,D法と若干異なっている(V法のキット試薬であるSchweizerhallへモキット処方を参照.表1).

 近年V法について,本邦でも2,3の検討成績があるが5-8),著者らはD法とV法を比較するとともに,最近Mickelsen9),Weatherburn10)らがHiCN測定試薬の凍結時の不安定性について論及しているので,V法についてこの点も検討した.またさらに凍結防止の目的で,D法試薬にEthylene Glycolを混和させることの有意性を論じたRiceら11)の報告に着目し,これをV法に応用したので,あわせて一括報告する.

質疑応答

CRPテストの陰性化の原因

松橋 直 , S生

pp.931

 問1当院検査室でCRP, RAテストを実施しますが,陽性に出た検体を冷蔵庫に入れておきまして,3週間後に再び検査をしたところ陰性化いたしましたので,いろいろ調べてみたのですがいまだに原因がつかめない状態なのですが,いかなることが考えられるか,また血清中の免疫的な要素があるのかお教えください.それから血清を56℃30分あるいは60℃3分非働化したとき,血清が凝固した場合は骨髄腫としてもまちがいないでしょうか.

 問2Rh式血液型の場合は陰性のとき,Duの因子を検出するわけですが,Duuはどんな意味があるのでしょうか.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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64巻12号(2020年12月発行)

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今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

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今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
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64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
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今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

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今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

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今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

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59巻10号(2015年10月発行)

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今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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