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文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻2号

1971年02月発行

文献概要

特集 臨床生理検査と採血 II.採血

血清の分離

著者: 西風脩1 市田篤郎1

所属機関: 1北大・生化学

ページ範囲:P.168 - P.170

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 検査室において血清を分離採取する目的は,いうまでもなく血清成分の変化を検索するためである.血清は体細胞に環境を与えるものであり,体内では何段にもなった調節機構によって,病気の際にもそれなりの調節により一定の値を保っている.しかしいったん体外にとり出されると,身体の調節機構は力が及ばず,まだ生活を営んでいる赤白血球の代謝による物質の出入り,血小板の破壊を含めた血液凝固機転による変化,あるいは血清成分自体の変質などが次々に起こって,疾患などによる‘環境成分’の変化との区別が困難となり,病的変化を追及することができなくなる.血球という細胞成分と,細胞外にある血清とでは元来構成分に大きな差異のあるものである.血清を分離する目的は,このような細胞の周囲にある環境の変化をとらえようとする点にあることを,まず念頭におくべきである.
 注射器を用いて採血された血液検体は,注射器の針をはずし,化学的に清浄で乾燥したスピッツグラス(ウィダール試験管でもよい.遠心機の外套管に無理なく納められ,分離した血清の採取が容易であることが必要である)の管壁に沿って静かに注入する.この際針をつけたまま注入したり,泡を立てたり,あるいは勢いよく注入することは,溶血などの好ましくない影響の原因となる1,2).スピッツグラスなどの器具に洗剤が洗い落とされずに付着していたり,水滴が残っているような場合も同様である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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