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総説
癌とは何か—吉田富三氏に聞く
著者: 天木一太1 吉田富三2345
所属機関: 1日大・第1内科 2癌研究会癌研究所 3佐々木研究所 4日本病理学会 5日本癌学会
ページ範囲:P.256 - P.261
文献購入ページに移動—まず,癌あるいは癌細胞の特徴というようなものについて,お話しいただけませんか.
吉田 癌細胞というのは正常の細胞が癌化したものです.正常の細胞は,ある一定の組織構造をもっている場所に存在するということが1つの特徴です.たとえば,社会は一定の組織構造をもったものですね,オルガニゼイション(organization)という.人はその構造の中で生活している.細胞も同じように構造の中に生活している.そういうものから形式の上でいうと,離脱するということが,細胞が癌細胞になって増殖する場合の1つの特徴ですね.正常の細胞だと,その生活にとって,一定の定まった場所があるわけです.その定められた場所,つまり組織構造の中で生きているんだけれども,そこから離れて1個ずつになっても生活する能力を獲得することが,細胞が癌化するということの大きな1つの特徴ですね.1個ずつ離れたといってもそれは,2-3個が集団を作ったりなんかしていることもあるが,その集団として離れているわけです.こういうことが癌化ということの形の上での特徴,つまり形態学的な特徴ですね.
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