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Senior Course 病理
悪性腫瘍の電顕による検索
著者: 三杉和章1
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター検査科
ページ範囲:P.335 - P.335
文献購入ページに移動 1950年代にはいって超薄切片による病理組織材料の検索が可能になった時,電顕のもつ高分解能によって癌細胞に何か特有な形態的な変化が発見されるのでないかと期待され,多くの研究が行なわれた.しかし,この期待は裏切られ,電顕によっても癌細胞に特有な変化,すなわち正常細胞から明らかに区別される異質な形態を発見することはできなかった.
しかしこれらの研究によって,悪性細胞の生物学的性状がより深く理解されるようになった.また,光顕では見いだしえない微細な形態的特徴,たとえば分泌顆粒,小胞体,糸粒体の性状や分布の程度,あるいは細胞膜の分化の方向や程度などを観察できるので,その腫瘍の発生母組織(Histogenesis)をより適確に推論することができることも明らかとなった.すなわち,電顕による検索が分類(診断)困難な症例の鑑別診断に有用であることが示された.本稿ではこのような実例を紹介し,実用的な診断面への電顕の応用について記したい.
しかしこれらの研究によって,悪性細胞の生物学的性状がより深く理解されるようになった.また,光顕では見いだしえない微細な形態的特徴,たとえば分泌顆粒,小胞体,糸粒体の性状や分布の程度,あるいは細胞膜の分化の方向や程度などを観察できるので,その腫瘍の発生母組織(Histogenesis)をより適確に推論することができることも明らかとなった.すなわち,電顕による検索が分類(診断)困難な症例の鑑別診断に有用であることが示された.本稿ではこのような実例を紹介し,実用的な診断面への電顕の応用について記したい.
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