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文献詳細

雑誌文献

臨床検査17巻11号

1973年11月発行

文献概要

特集 自動化臨床検査法 化学

血清T4とPBI—サイロキシンとタンパク結合ヨウ素

著者: 玄番昭夫1

所属機関: 1群大・中検

ページ範囲:P.1259 - P.1262

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A.PBIとT4
 血清中におけるタンパク結合ヨウ素(PBI)とサイロキシン(T4)との関係を大ざっぱに考えてみると,PBIは血清タンパク(主としてサイロキシン結合グロブリン)に結合したT4(ならびに微量のトリヨードサイロニン,T3)を測定しているのに対し,T4とはこの結合T4(ならびにT3)に加え,遊離のT4(ならびにT3)を合わせて測定している.したがって理論的には,PBI<T4という関係になるが,実際はこの逆であることが多い.
 正常値を見てもわかるように,血清PBIの正常値は4.0-8.0μg/dlであるが,T4では2.4-7.6μg/dlである.この理論と実際との矛盾の説明はいろいろあると思われるが,第1にあげられるのは汚染(contamina-tion)度の関与の大きさにあると考えられる.すなわちPBIは有機ヨウ素製剤によって干渉されるばかりではなく,無機ヨウ素によっても著しく影響を受ける.一方T4のほうはあらかじめカラムで分離・溶出させるので,これらヨウ素製剤の影響(汚染)度が比較的小さく,特に無機ヨウ素による正誤差が極力除去されるような配慮がなされている.しかし一方では,T4のカラム法では分離・溶出の間に起こるT4の損失の可能性があるため,PBI>T4という結果が出現してくることも考えられ,必ずしも汚染ということだけでは説明できない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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