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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査17巻4号

1973年04月発行

雑誌目次

カラーグラフ

妊娠細胞診—付妊娠反応(Friedman反応)

蜂屋 祥一 , 村上 昇 , 杉田 元

pp.358-359

妊娠という環境におけるホルモン反応として,膣スメアは特徴的な変化を示すが,特に妊娠第14週以後は安定した像を示し,妊娠の経過の重要な指標となる.すなわち,妊娠時の細胞診は妊娠経過中の内分泌障害に起因する異常の診断,ならびに治療効果の判定,あるいは分娩開始時期の推定などに用いられている.ここでは妊娠時細胞診における特有な所見を示す(標本はすべてパパニコロウ法により染色).(技術解説欄参照)

技術解説

妊娠細胞診と新しい妊娠反応

蜂屋 祥一 , 村上 昇 , 杉田 元

pp.361-369

妊娠細胞診

 近年内分泌細胞診の進歩に伴い,妊娠時の細胞診も無害,簡易で連続的検索が容易であることから,内分泌障害に基づく妊娠経過中の異常,あるいは分娩開始時期の判定に広く用いられている.本稿においては,標本作製手技および正常妊娠経過中の細胞診所見について述べる.

接写の技術

金上 貞夫

pp.370-379

 一般に被写体にカメラを接近させて細かい部分まで鮮明に撮影する方法を接写という.どの程度の距離から近接すれば接写と呼べるかという明確な定義はないが,常識的には,カメラと被写体の距離が1m以内で撮影することと考えてよいと思う.

 現代の医学においては,写真の持つ役割は重要なものとなっている.それは単に記録や伝達の手段にとどまらず,写真を用いた診断法が広く行なわれるようになっている.これらの写真は特殊な装置を用いることもあるが,医学写真では接写や拡大撮影を行なうことが多いので,その最も利用率の多い接写と複写の基本的な知識と実際について解説する.

家兎血小板減少因子の検査—特発性血小板減少性紫斑病の一診断法

寺田 秀夫 , 鈴木 笙子 , 佐野 欣一

pp.380-383

 自己免疫血液病の1つである特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic pur-pura,以下ITP)は,日常しばしば経験する病気であるが,その診断法の1つとして患者血清の家兎血小板減少因子の検査法がある.

総説

抗核抗体

奥田 正治

pp.384-389

 今日,全身性エリテマトーデス(SystemicLupus Erythematosus;SLE)の診断には,随伴せる多種多様な臨床病像からまず本疾患を推察し,次に本症に最も特徴ある免疫血清学的異常所見,あるいは生検による病理組織学的異常像をもって確定させる方法がとられている.

 SLE症例の血清中にのみ必須に認められ,かつ本症に最も特異的な免疫血清学的異常所見とは,抗核抗体の陽性と血清補体価(C'H50)の著しい低下の2点があげられると考える.

臨床検査の問題点・50

調律異常の心電図

土肥 一郎 , 吉田 幸子

pp.390-395

 不整脈を心電図検査で見逃してしまう要因にどんなものがあるのか,どうしたら見逃しを防げるか,ルーチン検査の実際と限界,負荷試験の場合の考え方,また検査中に不整脈をみつけたり,患者に頻脈発作が起こった場合,どう処置すればいいのか.医師とのコンタクトの問題を中心に心電図検査について具体的にお話いただく.

異常値の出た時・4

ヘモグロビンの高い時,低い時

只野 寿太郎

pp.396-401

 ヘモグロビン(以下Hb)は一種の色素タンパク質で血液中で酸素の運搬にあずかる.構造的には鉄ポルフィリン化合物とグロビンから成る複合タンパク質で分子量はアミノ酸組成から計算すると64,458である.Hb中の鉄はすべてヘム鉄として存在するのでHb1分子には4個の鉄を含むことになり,鉄量はHbの0.347%を占めている.機能の点から見ればHb(還元Hb)は分子状の酸素と可逆的に結合して酸素Hbとなるが,ヘム鉄1原子に酸素1分子が結合できるので1gのHbが結合しうる酸素の最大量は1.39ml/gとなる.Hbは本質的な機能としての酸素運搬能のほかにオキシダーゼ,ペルオキシダーゼ,カタラーゼなどの作用も微弱ではあるが持っており,血液検出の際のベンチジンやグアヤック反応に広く利用されている.

 血液中のHbの減少は貧血とよばれ造血力の低下,疾病の重症度,栄養状態の低下の指標として,また増加は多血症とよばれ慢性酸素欠乏状態や血液濃縮の指標として日常臨床検査室で最も頻繁に行なわれる検査の1つである.

論壇

診療側と血液検査室の連絡

天木 一太

pp.402-403

 検査を依頼する診療側と中央検査室の各部門との間には,検体の出し方,検査項目,検査方法,データの解釈の仕方などについて,常に密接な連絡がとられていなければなりませんが,このことは特に血液検査室の場合に重要です.血液検査は生化学検査などに比較して,さらにベッドサイドに近い検査ですし,その検査結果はしばしば直接に診断そのものを意味することが多いからです.ところがへたに臨床側と検査室側が集まって話し合いをすると,互に要求と不満だけが強調されまとまりがつかなくなることも起こりえます.

座談会

血小板の自動算定

山本 美保子 , 岩田 弘 , 新谷 和夫 , 吉沢 藤平 , 天木 一太

pp.404-413

 白血球,赤血球の自動算定に比べて,血小板(栓球)は,凝集・粘着のはたらきや不安定な性質から,その算定には多くの問題点を残している.今月は,基礎技術となるPRPの採り方から各種算定器の使用経験まで,現場の技師を中心に検討していただく.

私のくふう

血糖検査用粉末解糖阻止剤の分注法

伊藤 義治

pp.413

 このところ当院では血糖検査が急激に増加し,解糖阻止剤入りの採血用試験管などを数多く用意しなければならなくなった.そこで一度に一定量の粉末解糖阻止剤(フッ化ナトリウムとEDTA 2Kの混合)を72検体分分注する方法を,排品の試験管立と日常使っている下敷を利用して作製したので,参考までに供します.

化学検査のうつりかわり・4

総タンパク定量

井川 幸雄

pp.414-419

はじめに

 タンパク質は非常に複雑で大きな分子なので,測定に利用しうる化学的あるいは物理化学的性質を多数もっている.たとえば,タンパク質は多種類のアミノ酸からできているので,それぞれのアミノ酸の示す呈色反応はタンパク質についてもみられることになるし,高分子物質のもつ種々の物理化学的性質の中には定量に使用できるものも多い.したがって多くの定量法があるが,まず最初に臨床検査として実用化された代表的な方法を列挙してみよう.

検査ノート

位相差顕微鏡で血小板を算定する場合の計算盤の厚さとカバーグラスの厚さ

天木 一太 , 岩田 弘

pp.420-421

 ある血液検査室の技師から,‘Brecher-Cronkite法などで血小板算定を位相差顕微鏡を用いて行なう場合,通常の血球計算盤は厚すぎるので不可である.厚さは1mm程度である必要があるので,そのような厚さの計算盤を作製させて(N社),実際にすでに発売されている.このほうが血小板の所見がよい’と報告を受けた.

 10年以上前のことになるが,われわれが位相差顕微鏡で細胞のよい写真を撮ろうと努力していたころ,どのようにすれば性能を最高にできるか,顕微鏡を作っている会社の人と相談したことがある.顕微鏡ののせガラスは1mmが設計の規準になっており,通常の鏡検の場合にはこの厚さの相違は大した影響はないが,位相差顕微鏡を使用する場合には,これを厳格に守る必要があるといわれた.それでわれわれもふつうは安価な通常ののせガラス(1.4mm)を使用していたが,位相差用には特に約1mmの上等のものを用いることにした.このようなことからすれば,厚さが約5mmもある計算盤を位相差顕微鏡に用いることは著しく不合理である.

視覚誘発電位(VEP)記録の検討

江部 充 , 遠藤 和彦 , 石山 陽事 , 本間 伊佐子

pp.422-423

 視覚誘発電位(Visual Evoked Potential;VEP)についてはまだ生理学的意味のわからない点も多々残されているが,臨床へのアプローチが多くの研究者によってなされ,すでに日常の検査に移行しようとしている1,2)

 ヒトのVEPを記録する場合,加算法が一般に行なわれており,それにはコンピューターが用いられている.VEPの波形はいろいろな記録条件によって変化を示すので,日常検査として記録を行なう場合にはその点の考慮がたいせつである.刺激光を頻回に一定間隔で与えてゆくと,いわゆる‘慣れ’の現象によって波形が変わってゆくので3),一般には閉眼状態で不規則に刺激を与える方法が行なわれている.

新しいキットの紹介

患者尿についての‘Uricult’ dip-slideの使用経験とその評価

小沢 敦 , 紺野 新吉

pp.424-427

 尿路感染症における起炎菌の検索にあたって検体採取後可及的すみやかに検査を実施し,検査を実施するまでの時間の遅滞による尿中細菌の増殖を防ぐことが尿中細菌数の定量的評価の成績を正しく評価する上に,重要な要素の1つであることは言うまでもないことである.このような視点をふまえてGuttmannら1),Zollerら2)によって検討されている‘Uricult’のdip-slide systemを用いる尿中細菌の半定量法を,われわれが日常用いている尿定量培養法と比較検討したのでそれらの成績について考察を加えたい.

Pre-Stained Slideの使用経験

秋山 淑子 , 折田 登志子 , 成田 征子 , 田代 喜代子 , 横山 アキ子 , 石井 美伎子 , 溝口 秀昭 , 山中 学 , 服部 理男

pp.428-432

はじめに

 白血球百分比の算定を行なう場合,標本の作製に血液の塗抹,固定,染色の過程を経なければならない.この点,現在慣用されているライト染色の手技は決して繁雑というほどではないが,多量の検体を処理するにはきわめて簡便とはいいがたい.

 このたび,われわれは簡易で実用的な血液標本を作る試みとして,G-E社から提供されたPre-Stained Slide(以下PS法)を使用する機会を得たので2,3の検討を行なった.

霞が関だより・11

試験等担当部局の4月

pp.434

 4月は新しい事業年度の始まりである.それは職場にも学校にも新しい人たちがはいってくる時期でもある.医療機関では,医師をはじめ医療関係の業務に従事しようとする人たちも多く就職したであろうし,また今後も同じようなことを目指した人たちが資格を得るために学校へ入ったという例も多いであろうと思われる.そこで医療関係者の資格に関する事項を定めたり,試験を実施したりする厚生省医事課のこれらの業務に対する断面を紹介して読者の参考としてみることとした.

質疑応答

血餅退縮試験の残留血球について

S生 , 鈴木 弘文

pp.435

 問 血餅退縮試験の際,一定時間温置後に凝固塊をとり除くと,血清と少しの血球が残りますが,残った血球は血清量として計算するのでしょうか.検体によっては,血球が半分以上残る場合がありますが,その場合に臨床的意義があるのでしょうか.

 たとえば,前血液量5ml,凝固塊ををとり除いた後の血液量4ml,それを2000rpm 5分間遠心した後の血球量が,2.5mlという場合の計算法と結果の解釈についてお教えください.

走査電顕の目・4

球状赤血球(Spherocyte)

小川 哲平

pp.437-438

 遺伝性球状赤血球症(hereditary Spherocytosis)は,(1)溶血性貧血で黄疸があり,(2)末梢血に球状赤血球を認め,(3)浸透圧脆弱性が亢進し,(3)脾の腫大があり,摘脾によって臨床症状の改善をみる疾患で,常染色体優性遺伝により伝えられる.

 貧血の程度は症例により種々であるが,正球性で高色素性を呈し,MCHCは高くなるがMCVは正常である,網赤血球増多症がみられる.末梢塗抹標本で赤血球の大小不同がみられ,球状赤血球(Spherocyte)が認められるのが特徴である.球状赤血球はmicrosphero-cyteとも呼ばれ,直径が小さく厚みを増し,正常赤血球にみられる中央の淡染部がみられず,濃く染まってみえる.球状赤血球の出現率は患者によりさまざまである.

シリーズ・一般検査 寄生虫卵検査・4

条虫のいろいろ

鈴木 黎児 , 三瓶 孝明 , 鈴木 了司

pp.439-440

私たちの検査室

新しい検査システムのスタート—日本医学研究所(JML JAPAN MEDICAL LABORATORIES)

pp.441-444

この研究所の理念は,──

 ‘広域医療システムの一環として,検体を集中化して,まず臨床生化学的にルーチンの多項目分析をコンピューターによる厳しい精度管理のもとに実施する.これにより,病院間での統一したデータをもち,またそのデータを迅速にかつ安価に,オンライン(またはオフライン)方式でユーザーに報告する.

検査と主要疾患・4

糖尿病

畠山 茂

pp.446-447

 糖尿病の発生機序については,現在不十分な知識しか得られていない.しかし大別して次の二とおりが考えられよう.

(1)直接膵島細胞が破壊された結果起こってくるインスリン不足によるもので,慢性膵炎とかヘモクロマトージスなどで,炎症とか鉄の沈着による膵島細胞の消失が広汎に起こった場合.

検査機器のメカニズム・16

直示天秤—定感量直示はかり

鹿島 哲

pp.448-449

 試料の重量を測るのに,さおの両ひじの長さが等しい,いわゆる天秤を昔から長らく使ってきたが,世界大戦後両ひじの長さは等しくないが,いつも一定の重量が両ひじにかかっている状態で秤量する形式の天秤が現われた.前者では試料の重さが変わると,1mgの差によって生じるさおの傾き(感量)が異なるのに対して,後者ではいつでも同じ傾きを示すので,その程度を光のてこ(⑱ランプと⑲反射鏡)で測定することができる.傾きの角度が少ないときは,角度と重量が比例する.そのうえ内部の分銅の加除を天秤の外側のツマミで行なう装置を活用したので,試料の重さを数字で直接読みとることができるようになった.つまり‘定感量直示はかり’というべき天秤が生まれたわけで,その便利さのため昔ながらの天秤は放逐されることになった.

検査室の用語事典

自動化学分析

北村 元仕

pp.451

18) Debubbler;デバッブラー,気泡除去装置

 continuous flow systemによる分析では液流を気泡で分劃することが多い(→air segmentation)が,比色のさいなどに邪魔になる気泡を除去する装置.重力を利用した簡単なものが多いが,フローセルに内蔵されたものもある.

細菌学的検査

坂崎 利一

pp.452

19) Copsule;莢膜

 ある種の菌種(たとえば肺炎球菌,Klebsiellaのなど)では,細胞の周囲に,かなり柔らかい無構造のゼリー様膜状物質を形成する.これを莢膜という.多くの莢膜は多糖質からなるが,タンパク性のものもある.莢膜の機能は細胞の保護,残余物の貯蔵および老廃物の蓄積などで,病原菌ではしばしば菌力に関与する.ある種の菌では莢膜の抗原性によって,莢膜型に分けられる.

Senior Course 生化学

自動分析の利用

正路 喜代美

pp.453

 10余年以前,私が就職した頃,Continuuos flow Sys-temのAA-I (Basic AutoAnalyzer)が購入され,尿素や血糖の測定に利用されようとしていた.以来AA-IやFlame Photometerを並列して2-3種目同時分析なども行ない,現在なお活躍している.

 AutoAnalyzerはMembraneにより簡単に除タンパク操作されるので,繁雑な測定の省力化に有効である.AA-Iの経験を支えに最近Continuous flow Sys-temの多種目同時測定装置SMA 12/60を入手し,さらに省力化をはかった.AA-Iの短所を改善したこの装置は,基本的な分析精度の向上がみられ,機能的で取り扱いやすくなっていた.しかし,分析処理能力は,1時間に60本なので,1日の件数が300-400に及びオーバーワークを余儀なくされる.しかも,サンプルの準備や結果の補正,照合,報告のための転記などの雑務が山積しデータの報告ミスが発見されるようになった.ミスに気付かず利用されているものが,どれ程あるのか……精度向上と省力化のかたわらこの対策が必要である.

Senior Course 血液

骨髄像の見かた考えかた(4)

桑島 実

pp.454

骨髄検査の手段

 比較的一般的な細胞学,細胞化学,細胞機能的検査所見を成書から引用して下表にまとめた.前回の検査法を含め最近集大成された参考書もあり,個々の検査法についてはこれら成書にゆずる.そこで実際,問題になるのは,少量の骨髄穿刺液に加えて血液検査室の限られた人員と時間で,どのような症例に対し,どの検査を選択するかということであろう.ライト・ギムザ染色,有核細胞数,巨核球数,ペルオキシダーゼ染色はすでに常識化している.ミエロクリットと,病理検査室に依頼する切片標本も検体量があれば常時可能である.白血病の疑いがある初回例には個々の検査の意義を理解し可能な限り多くの検査を組み合わせ総合的に観察することが理想的である.下表で決められた固定または前処理をしておけば,その後の操作にある程度時間差をつけることができ手技の難易を除けば,それほど困難ではない.そこで,PAS,ズダンブラックB,超生体染色,貪食能を加え,人員と時間に余裕があれば位相差顕微鏡による観察,電顕用の包埋過程も行なえるとよい.赤芽球の異常には鉄染色とPAS染色を加える.なお,骨髄穿刺と同時に耳朶採血を行ない,末梢血液塗抹標本の作製などの必要な検査を並行して行なうことがたいせつであり,骨髄像と対比し大いに参考になる.

Senior Course 血清

Lymphocyte Mediators (1)—細胞性免疫に関与すると考えられている体液性因子

伊藤 忠一

pp.455

 体液性免疫の担い手である抗体が特異抗原に遭遇すると,抗原と抗体は反応しin vitroでは沈降反応や凝集反応が起こる.また生体内では補体の関与をまってあるいはそれなしにいろいろなアレルギー現象を起こすことは衆知のことである.それでは細胞性免疫の担い手である感作リンパ球が特異抗原と遭遇する時,具体的にどんな現象が起こるのだろうか.最近,in vitroで感作リンパ球と特異抗原とを一諸に培養すると8時間-48時間で各種の活性をもった可溶性物質がリンパ球で産生され,培養濾液中に放出されることが次々に明らかにされてきた.しかし,この際の感作リンパ球は細胞性免疫の担い手であることが必要で,体液性免疫に関与するリンパ球ではこのような物質の放出を起こさないばかりか,体液性抗体はときにこのような現象を阻害することすらあることも知られている.これら活性物質は総合して,lymphokines (Dummondeら),lymphocyte media-tors (吉田)などとよばれている.

Senior Course 細菌

緑膿菌の同定(3)

五島 瑳智子

pp.456

アルギニン水解(arginine dihydrolase)

 緑膿菌はアルギニン水解陽性で,この性質は緑膿菌をはじめ,Pseudomonas属の中のいくつかの菌種,およびAeromonas,Salmonella,の大部分,Cloacaの1部が陽性を示すが,他のグラム陰性杆菌ではほとんどが陰性である.

 試験法:表にまとめた.このほかアルギニン水解試験としてFalkowの方法があるが,これは適当ではない.

Senior Course 病理

細胞化学に含まれる分野と固定法,凍結法の実際(1)

堀 浩

pp.457

細胞化学に含まれる分野

 まず目的とする物質の検出に用いる手段によって,物理的分野と化学的分野に分けることができる.

 物理的分野には,(1)X線顕微鏡を用いる方法 (2)干渉顕微鏡を用いる方法 (3)紫外線顕微鏡を用いる方法が属する.

Senior Course 生理

血流量の測定(2)—超音波血流計

奥村 禎造

pp.458

 超音波による血流(速度,量)の測定法はドプラー法とパルス法が代表的である.前者は血球など血液中の粒子から得られる反射がドプラー効果を受けることを利用するものであり,後者は上流から下流および下流から上流への超音波パルスの伝幡速度の差が血流速度に比例することを利用するものである.これらのうち前者がより一般的であり,現在市販の装置はすべてこのドプラー法によっているので以下はドプラー式血流計について述べる.

Senior Course My Planning

検査技師とはどうあるべきか

小島 けい子

pp.459

 最近検査をしながらよく考えることは,検査技師とはどうあるべきか,検査室のあり方はということである.このテーマについては,①現場の技師として,②臨床から,③教育面,④医学制度から,など多角的な取り上げ方が必要と思われる.したがって本欄に取り上げるにしては範囲が広すぎるかとも思うのだが,自分なりに接近してみたいと考えてあえて問題提起を試み,それに対する考えを少々のべてみたい.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

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64巻1号(2020年1月発行)

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今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

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今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

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63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

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今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

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今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

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今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

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今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

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62巻9号(2018年9月発行)

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今月の特集2 現場を変える!効果的な感染症検査報告

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今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

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今月の特集2 成人先天性心疾患

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今月の特集1 知っておきたい感染症関連診療ガイドラインのエッセンス
今月の特集2 心腎連関を理解する

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今月の特集2 がん分子標的治療にかかわる臨床検査・遺伝子検査

60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
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60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

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今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

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今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

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今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

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59巻10号(2015年10月発行)

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今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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