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文献詳細

雑誌文献

臨床検査17巻7号

1973年07月発行

文献概要

化学検査のうつりかわり・7

脂肪酸

著者: 松村義寛1

所属機関: 1東京女医大・生化学

ページ範囲:P.774 - P.778

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 生体を構成している物質を大きく分けてタンパク,脂質,糖質,ミネラルとされてきた.この4群にはそれぞれは大きな特徴のある性質があるためで,脂質についていえば,水に溶けないかあるいははなはだ溶け難いものであり,そして有機溶媒と呼ばれる一連の液体には溶解しやすいという性質がある.
 典型的な脂質は油脂と称せられるもので植物の種子,動物の皮下脂肪などに多く含まれ,これらを圧搾すると得られることは古くから知られ,水と混ざらないで,水面に浮かび比重が1より小さいことも人目をひきつけたものである.ナタネ油,ゴマ油,牛脂,豚脂など,あるいは食用に,あるいは灯火用の燃料とするなど,広く愛用せられてきている.油脂は物理化学的に無極性の炭化水素の骨格をその分子内に多く含んでおり,それに対して極性を発揮する官能基群は比較的乏しいので,分子全体としては無極性の性質が優勢であるために,極性溶媒である水には不溶,無極性である有機溶媒には易溶である独特の性質を現わすものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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