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文献詳細

雑誌文献

臨床検査17巻7号

1973年07月発行

文献概要

Senior Course 細菌

細菌の名は学名で記載しよう

著者: 藪内英子1

所属機関: 1関西医大・微生物

ページ範囲:P.816 - P.816

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 戸籍簿に記載されている私たちの本名は1つしかない.しかも本名を外国語に翻訳することはできない.細菌の名についても同じことがいえる.亜種subspecies以上の分類学的群taxon(複数はtaxa)すなわち目order,科family,族tribe,属genus,種species,および亜種はそれぞれただ1つの正しい名,学名をもっている.正しい名とはそのtaxonに対してつけられた最初のラテン語名でしかも国際細菌命名規約に適合しているものをいう.細菌の種名specific nameは属名genericname,たとえばPseudomonas,とそれに続く単一の種形容語specific epithet,たとえばaeruginosa,の組み合わせで成りたっている.そして属名または種形容語のどちらか一方で種名を代用することはできない.P.aeruginosaに対して古くから用いられてきたいろいろな翻訳名,たとえば緑膿菌,green-pus organism,Pyocyaneusbazillen,bacille de pyocyaniqueなどはもはや学名ではなく通俗名である.genus Pseudo-monasにはP.aeruginosa以外に多数の菌種が含まれており,family PseudomonadaceaeにはPseudo-monasの他XanthomonasやAeromonasなど全部で12の属がおかれている.このように複雑なfamily Pseudomonadaceaeを緑膿菌科と翻訳することはいろいろな誤解を生むもとになる.同様なことは各種のtaxaについていうことができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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