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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻1号

1974年01月発行

文献概要

研究

癌患者の体腔液の一般的性状と癌細胞の有無との関係について

著者: 岩谷靖央1 山岸紀美江1 田嶋基男1 黒木須雅子2

所属機関: 1国立がんセンター細胞診 2愛知県対がん協会

ページ範囲:P.60 - P.63

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はじめに
 癌患者においては,肋膜や腹膜に癌の侵襲がなくても貯留液を認めることが相当にあり,そのことに関してはSaphir1),Koss2)の論文に詳しい.理由として考えられていることは,腫瘍による静脈やリンパ管の圧迫,腸間膜の巻縮,ある種の化学物質の産放,血液成分の変化など記載されているが,そのほかに心機能,肺機能,肝機能,腎機能の不全も加わることであろうし,立場を変えて考えると,癌と別個の疾患の合併は,癌年齢においては日常茶飯事と言わなければならない.したがって,胸腹水の細胞診は,癌患者に関しては,個体における癌腫の存否を問うものではなく,漿膜侵襲の有無を知ることに第1のポイントがある.漿膜侵襲の有無は"手術の価値""予後の測定"に重大な情報となる.ところで,胸腹水の性状に関しては,一般に3-5)"血性である""浸出液である"などの記載があるが,実はそのような記載の中に,漿膜侵襲の有無を区別した立場から,厳密な分類を行ったものはなく単に"癌患者の胸膜水は"というばく然とした視点で捕えたものが多かった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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