icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻10号

1974年10月発行

文献概要

Senior Course 血液

線溶能の亢進

著者: 中島弘二1

所属機関: 1山口大・第3内科

ページ範囲:P.1144 - P.1145

文献購入ページに移動
 フィブリン形成は止血,血栓および破損した組織の修復に必要である.フィブリンは止血時血小板血栓をさらに補強し,また線維芽細胞の増殖と毛細血管の増成を伴った結合織の修復のための細胞間質として役だつ.出血時血小板血栓(一次止血)に続くフィブリン形成(二次止血)により止血した後,けっきょくフィブリンは線維素溶解現象(線溶)により取り除かれ,その後に結合織の増成による瘢痕形成または組織の再生により永久止血および組織修復が完了する.また線溶系は血流障害または血管障害によってできた血栓またはフィブリンの沈着を取り除くことによって血管を血液輸送路として健全な状態に保つ重要な役割をになっており,図のごとく生体内では凝固系と線溶系がバランスをとって生体の正常な動的平衡を保っている.
 このバランスの破綻はフィブリン形成障害または過形成の状態を引き起こし,止血機序または組織修復機序を障害し,出血傾向の出現または血栓症として病的状態となっていく.線溶は血液中の非特異的タンパク分解酵素であるプラスミンによってなされるが,プラスミンは血液中に十分に存在する前駆物質であるプラスミノゲンによって作られる.プラスミノゲンは種々のアクチベーターによる特異的酵素反応によりプラスミンに変えられタンパク分解酵素として活性を持つようになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?