ラジオイムノアッセイによる血漿アルドステロン濃度測定法の二,三の改良
中牟田 澄子
,
隈本 健司
,
川崎 晃一
,
田中 謙次郎
,
尾前 照雄
pp.386-389
はじめに
従来我々の教室では川崎1)が吉見2)の方法に準じてアルドステロン分泌量を測定していた.しかし臨床検査としては多量の3H-aldosteroneの静注を必要とすること,アルドステロンの精製に頻回の炉紙クロマトグラフィーを行う必要があるために労力および日数を要するなどの難点があった.BersonとYalow3)によって開発されたラジオイムノアッセイ法を応用して,Mayesら4,Bayardら5,6)が血漿アルドステロン濃度および分泌量の測定に成功し,更に最近,古山7),伊東ら8),福地ら9)などによって測定精度の改善あるいは手技の簡便化のための努力が払われつつある.我々もNIHの好意により,抗アルドステロン抗体(NIH,#088,100倍液)を入手し,若干の検討を加えた結果,従来の分泌量測定法よりも簡便で,かつ臨床検査に十分用いうることを確認したので報告する.
K-カンテンを用いた血清β-リポタンパクの比濁定量法—2.黄疸血清および溶血血清の測定成績
種村 邦子
,
佐々木 禎一
pp.390-392
はじめに
K-カンテンを用いた血清β-リポタンパク(以下β-Lpと略記)の比濁定量法1,2)について,反応の至適条件などを臨床検査の立場から検討評価して第1報3に報告した.
その結果,濁度の安定性,標準物質による試薬や使用測定機器のチェックが困難である点,また測定結果を△K-カンテン(吸光度の差)で表現する不便さなど,今後解決すべき二,三の課題も指摘できるが,簡易性,特異性,再現性などの諸点からみて適切な測定法であることを確認することができた.
切迫流産の予後判定—HCG判定量とE3
佐藤 仁
,
小菅 哲夫
,
長島 宏
,
中村 慎次
,
荒木 康久
,
堀口 玉枝
,
青柳 智恵子
pp.393-395
はじめに
従来,妊娠反応のホルモン測定は生物学的測定法を用いてきたが今日では,ほとんど免疫学的測定に取ってかわり操作も簡単な免疫学的妊娠診断試薬の出現によって妊婦尿中のHCGの検出は非常に容易になった.妊娠初期のHCGの動態をみることにより切迫流産の予後判定も比較的明らかになってきた.一方,妊娠後期の妊婦尿中に高まってくるエストリオール(E3)の測定キット1)も既に開発され,臨床検査に供されている.E3測定の目的は大部分が予定日超過,後期における児の生存有無,胞状奇胎などをチェックするいわゆる妊娠後半の胎児一胎盤機能検査である.しかし妊娠4か月の時期で既にE3はこのキットにより検出される.ところで妊娠4か月の初期に児の心音はドプラーで100%検出されてくるわけではない.したがってHCG半定量とE3測定値を併用することでより効果的な切迫流産予後判定の補助診断となりうると考え,臨床検査上必要と思われる基礎的検討を行ったので報告する.
入院時における血中HBs抗原および抗体検査の必要性について
白井 美江子
,
堀 況子
,
中野 和子
,
嬉野 るみ子
,
佐藤 蓉子
,
瀬戸 幸子
,
塚田 理康
,
真弓 忠
pp.396-397
はじめに
オーストラリア抗原(以下HBs抗原)とB型肝炎ウイルスとの関係はいわれてから久しいが,病院入院患者のHBs抗原・抗体陽性率と分布,それに伴う感染予防に関してはまだデータが少ないように思われる.
今回,入院時におけるHBs抗原・抗体の保有率・陽性者の分布などについて調べたところ興味ある結果を得,入院時にHBs抗原およびHBs抗体検査を行うことが必要と考えられたので報告する.
当院職員の血中HBs抗原抗体の検査成績
堀 況子
,
白井 美江子
,
中野 和子
,
嬉野 るみ子
,
佐藤 蓉子
,
瀬戸 幸子
,
塚田 理康
,
真弓 忠
pp.398-399
はじめに
従来,医療機関従事者に血清肝炎感染の機会が多いと言われていたが,HBs抗原・HBs抗体の検査が行われるようになって,その実態が一部明らかになりつつある.今回,虎の門病院の職員,一部につきHBs抗原・HBs抗体検査を行い,結果を集計したところ,二,三の注日すべき点があったので報告する.