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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻6号

1975年06月発行

文献概要

Senior Course 一般検査

膵液

著者: 竹本忠良1 高崎健1

所属機関: 1東京女子医大・消化器病センター

ページ範囲:P.686 - P.687

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 膵液分泌のメカニズムは,最近まで実のところよく分からなかった.エチオニン,アロキサンとかコバルト塩のような膵実質細胞の特殊な部分を選択的に破壊するものを使った形態学的な実験から,膵の消化酵素(digestiveenzymes)は腺胞細胞(acinar cell)から,液体と重炭酸塩は腺胞中心細胞と小葉問細管から分泌されることが分かった.膵酵素の分泌が腺胞細胞(細葉基底細胞ともいう)に由来することは電顕学的にも証明された.一名zymogen-producing acinar cellともいわれるこの腺胞細胞は腺腔を囲んで配列する三角錐状の細胞であるが,膵細葉には腺腔を囲む一部の細胞が特殊な腺腔中心細胞で占められていることが,他の外分泌腺と異なるところである.
 1902年BaylissとStarlingによって消化管ホルモンとして最初に発見されたセクレチンも,1959年にはガストリン,パンクレオザイミンとともに作用が明らかになり,1966年にはスウェーデンのMuttらによって構造も決定された.今日では膵分泌のメカニズムに関する研究はすばらしい進歩をとげている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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