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研究
Modifying gene yの作用によって発現したと考えられるAm型の一家系について
著者: 河瀬正晴1 原功1 東郷久弘2 土肥勝美2 上月嘉恭2 亀野都2 姿幸子2
所属機関: 1姫路赤十字血液センター 2高砂市民病院検査科
ページ範囲:P.867 - P.869
文献購入ページに移動1956年,Wienerら1)は僧帽弁狭窄症と慢性骨髄性白血病の1患者の血液が一見O型のような反応を呈するが,血清中には抗B凝集素が認められず,唾液中にはA型物質が存在する例を発見した.このように,抗原が分泌液中には存在するが,血球上には欠如している例が低級な猿に認められることから,この患者の血液型をMonkeyの"m"をとりAm型と名付けて報告した.
1957年,Weinerら2)は父がB型,母がA1B型で,子供がAmB型である家系を発見した.Weinerらはこの遺伝形式を説明するために,A geneに作用してA抗原の発現をmodifyするrecessive gene yの存在を考え,これがhomozygous state (yy)の時に血球上のA型抗原の発現がmodifyされるが,唾液中のそれはわずかしか影響されず,BやH抗原の発現には全く影響を与えないとし,普通の人のmodifying geneは大抵,YYかYyであるので血球のA抗原には異常がないと説明した.そして,Wienerらが報告した例が,monkeyの血球に似ていることからAm型と命名されているのに対して,Weinerらは,"m"をmodify-ing geneの存在を意味する記号としての"m"のほうが適切であると述べている.
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