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臨床検査での放射性同位元素の取り扱い
著者: 松村義寛1 栗原慎一郎1
所属機関: 1東京女子医大総合研RI室
ページ範囲:P.915 - P.923
文献購入ページに移動 世界で唯一つの原子爆弾被災国としてわが国民が原子核に対して抱く恐怖心によって,国内における原子力の平和利用に対してもみ異常なまでの規制,すなわち原子力基本法の制定,非核三原則──持たず,作らず,持ら込まず(持ら込主せず)──などが政策として行われてきた.それによってH−3,U−238などの原子爆弾の材料となるものはもとより,すべての放射性物質は厳重に登録され,追跡されている.しかもこれらの物質は国内にての生産量は極めて少量であるので,その管理は比較的容易に行われてきた.
分子の行動すなわち化学変化の探究に対して安定および放射性同位元素(以下,RI)を用いる標識法によって初めて,分子レベルにおける実証的解析が行われ,化学の進歩に一代を画したのであるが,生化学についてもHahnらによるリン−32標識リン酸の植物での行動の追跡,Schön-heimerらの窒素−15,標識グリシンを用いるネズミ体内でのアミノ酸の動的平衡の研究に始まり,近代生化学の成果はトレーサーとしての同位元素の使用が極めて大きな部分を占めてきた.
分子の行動すなわち化学変化の探究に対して安定および放射性同位元素(以下,RI)を用いる標識法によって初めて,分子レベルにおける実証的解析が行われ,化学の進歩に一代を画したのであるが,生化学についてもHahnらによるリン−32標識リン酸の植物での行動の追跡,Schön-heimerらの窒素−15,標識グリシンを用いるネズミ体内でのアミノ酸の動的平衡の研究に始まり,近代生化学の成果はトレーサーとしての同位元素の使用が極めて大きな部分を占めてきた.
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