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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査2巻2号

1958年02月発行

雑誌目次

グラフ

病理組織標本のつくり方のこつ—I.受付からブロツクまで

著者: 太田邦夫 ,   望月孝規

ページ範囲:P.67 - P.74

① 申込みの受付け
 病理組織検査材料は,手術室から生のままで,あるいは一定の固定液に浸けて検査室にとどけられる。患者の姓名,年令,性,提出者,材料をとつた臓器の部分,切除月日,臨床診断は必らず間違いの起らぬように紙片に記入して附けてあるべきであり,また申込用箋には上記の他臨床病歴の要点,検査希望の重点を記入して添える。検査室では,先ず,以上を照合してから,検査番号記入し,台帳に登録する。
 図の中段右のような広口瓶は都合がよい。検査室で一定規格のものを用意すると,材料が瓶の口から出ないで困るようなことがない。貼りつけてある紙片も検査案で用意して配布して置く。

高級技術講義

濾紙電気泳動法(1)—実験装置,実験材料について

著者: 小林茂三郎

ページ範囲:P.75 - P.85

緒言
 濾紙電気泳動法は簡単な装置で,容易に実験できる上,試料が微量で足りるため広く各方面に応用されているが,実際に行つてみるといろいろの疑問が生ずることが多い。細かい問題は別としても,例えぽ試料はどの位つけるのがよいか,泳動条件(電流,電圧,泳動時間)はどうか,定量法はどの方法がよいかなど,いろいろの問題があり,文献などをしらべてみても研究者によりかなりバラバラの方法で行われているため,どれが最もよい方法か見当もつかないことが屡々ある。
 一般にどんな実験法でもそうであるが,簡単な方法いいかえれぽ定性的な実験法ほど一寸した手かげんで成績が著しく相異し,そのために「実験のコツ」というようなものが必要になつて来る。濾紙電気泳動法も全くその通りで,実験上これといつて難しい点は一つもないが,例えば「血清蛋白などを実験してみたが,定量成績の再現性(Reproducibility)が低く,その原因がどこにあるか分らない」という質問を屡々聞いている。

質疑応答

〔血液凝固防止剤としてのEDTA〕

著者: 高橋信生 ,   松村義寛

ページ範囲:P.85 - P.85

 本誌1巻5号の座談会「臨床検査に必要な採血法」は大変役に立ちました。その中にEDTAのことが書いてありましたが,もう少し詳しく御説明下さい。

座談会

臨床検査に必要な電気の知識

著者: 樫田良精 ,   宇都宮敏男 ,   塚原進 ,   高木末夫 ,   本田正節 ,   安藤文次 ,   津村康之助

ページ範囲:P.88 - P.101

本誌1巻3号(32年6月号)では電気の知識のうち,電源とかヒユーズなどの問題を取扱つていただき,読者の方々から大変好評をいただきました。心電計や脳波装置を取扱うにはどの位の知識が必要なのか?など御質問が多かつたのでそのことを販上げていただきました。(編集部)

〈検査室メモ〉

ハートインフユージヨン培地

ページ範囲:P.101 - P.101

 普通のブイヨン,寒天の,肉エキス又は肉水を,牛心浸出液でおきかえたものです。私が好んで使う処方は下の通りです。
  牛心ひき肉  約100匁

技術解説

ABO式血液型判定の実際

著者: 遠山博 ,   衣笠惠士 ,   中西敬

ページ範囲:P.103 - P.110

 1900年より1901年にかけて,Karl Landsteinerによつて輸血学史上最大不滅の業績とも申せるABO式血液型発見の発表があつて以来,輸血に特に関係の深い血液型の血清学的研究はRh式血液型,その他のものを次第に明かとし来り,輸血の安全性を次第に確立し来つたが,現在となつてもその中で最も必要なるものがABO式血液型である事は勿論言を俟たない所である。しかるに我が国に於ける血液型に関係した輸血の事故を見てみるに,一般に誰にも容易に出来る手技と考えられているABO式血液型の誤判が案外多い事が松橋によつて1)も先に述べられた。目を国外に転ずるにデンマークに於けるEldon2)の統計によればABO式の誤判は熟練者の場合で0.5〜1.0%,未熟練者では実に4〜10%に達するという。
 これは我が国のそれより高いかも知れないが,反応の弱いA2型やA2B型が我が国よりも遙かに多いとされているので,全く同一に比較する事は当を得て居らない様にも考えられる。しかし何れにせよABO式の間違が案外多い事は事実であつて,医業にたずさわる者は常に心せねばならぬ事であろう。不幸にして間違いを起す場合は次の三つの点に大別される様である。①判定用抗A,抗B各血清に欠陥のある場合。

研究

梅毒反応知見補遺

著者: 小林真 ,   高平等 ,   笹原冨士枝 ,   及川軍七

ページ範囲:P.113 - P.114

I.緒言
 我々の病院に於ける梅毒反応はワツセルマン氏反応(以下「WaR」と略す)村田氏反応(以下「村田」と略す)並びに北研法(以下「北研」と記す)の3方法を実施して居つたのであるが,今般カルヂオライピンスライド法(以下「カ」法と略す)を加え実施する段となつたので,それらの成績並びに二,三の統計的観察事項を報告する。
 秋元1)によれば梅毒血清診断の不一致率を指摘し,このことはゆるがせにし難い問題であると述べて居るが,我々の結果に於ても勿論不一致のものはあつたがそれらが果して推計学的にどれ程の過誤があるかをも併せ検討してみた。

検査室管理

地方衛生研究所の現況について

著者: 辺野喜正夫

ページ範囲:P.117 - P.121

 保健所は衛生行政の第一線で,地方衛生研究所は,いわば,衛生行政への科学的動力供給源である。衛生担当部局が自動車なら衛生研究所はエンヂンであると関係者は信じている。ところが一般の人は自動車には注目するが,エンヂンには注意をむけようとしない。それはエンヂンが,かくれていて,外からみられないからだろう。無論自動車は,運転手だけで動かないように,エンヂンだけでは走らない。運転手・車体・エンヂン・車輪・ブレーキその他の機械の調和のとれた協同作用によつてはじめて順調に動くのである。
 地方衛生研究所が全国に設立されはじめてからすでに9年の歳月が経過し,その業績は関係者の間では高く評価されているが,一般にはその実情が知られてない面もあるので,紹介をかねて,その内容について考えてみたい。

私の検査室

国立立川病院

著者: 佐藤乙一 ,   荒垣恒政 ,   小俣喜久子

ページ範囲:P.123 - P.127

はじめに
 私が今動務している病院は入院約170床,外来約370名という国立綜合病院の中級の下に属する病院である。しかも結核病棟と外来棟を除く一般病棟は大正7年に時の陸軍が鉄筋コンクリートで建築したものであるため,今まで本誌上でたびたび紹介されて来たような近代的大病院をお目にかけ,当院にはこんなすぐれた器械があり,こんなすぐれた検査を行つているという現状を御紹介することはでぎない。又それをする意志もない。しかし全国をおしなべてながめてみると,近代的大病院というのはほんの僅かであつて,殆どが当院若くは当院以下の病院であるというのが現実の姿であろうと思う。(この場合病院という言葉を使つているが,療養所の検査室も含めて考えている。)従つて私はその様な小さい施設で働く方々に当検査室の現状をそのまま紹介し,窮屈ではあつてもお互が工夫をこらしながら業務を遂行している有様と,組織化している体系の中で,特に"人の和"が保たれ,兎角耳にするような医師,薬剤師,看護婦対抜術者との対立というものが全くなく,お互に人格を尊重しあいながら協力しあつて本務を全うしている姿をお目にかけたいと思う。又"人の和"は設備とか器具等の問題とは異り,根本的な重要条件でもあるので,この点は大,中,小いずれの病院の方々にも或は御参考になる所が多いのではないかと考えられる。しかし,中にはまだまだ改善しなければならない点が決して少くない。そのような具体例もここに卒直に出して,然るべき皆様方の御指導と御批判,御叱正を得たいと考えている次第である。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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