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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査20巻11号

1976年11月発行

雑誌目次

特集 臨床検査室マニュアル

創刊20周年記念号を出すにあたって

樫田 良精

pp.1113-1114

 臨床検査関係の唯一の専門誌として本誌「臨床検査」が誕生したのは20年前の1957年4月である.今回20周年を記念して特別増大号を発行することになった.記念号の企画は昨年秋から既に練られていたが,検査関係者にとって有用な,しかも記念として後に残るようなものを作りたいとの希望が出たので,本年1月末の編集会議で平常号に比しかなり大部な特集"臨床検査室マニュアル"を出すことになった.

 この特集には,臨床検査室のあるべき姿として建築と設備マンパワー,現時点で採用すべき標準検査項目,正常値,検査データからみた主要疾患の特徴,臨床検査センターの一覧表,我が国の臨床検査の歩みをたどった年表,臨床検査室に必要な検査関係の主要図書目録などを盛り込むことになった.

Ⅰ.検査室の設計

検査部の建築計画

伊藤 誠

pp.1116-1126

検査部門の占めるべき建築的位置

 病院の中で,検査部が中央化され,病棟・外来部をはじめとする各部門の要請にこたえていくことが前提となる以上,それを院内のどこに置くかは,建築設計上まず取り上げなければならない第一の課題となろう.その位置が適切でなければ,他部門との連係が円滑にいかず,患者にむだな移動を強い,ひいては検査部自体の作業能率を著しく低下させることにもなりかねない.

 ところで,この問題の解決は,検査部の機能,特に他部門とのかかわり合いを的確に把握することから出発する.具体的に言えば,患者の動きや検体・情報(検査依頼,結果報告)さらには各種物品の流れなどを正しく捕らえるところから始めなければならない.

設備A 電気設備

河窪 登志夫

pp.1127-1129

 一般に電気設備には,照明や情報伝送設備などもあるが,ここでは主として検査機器などに必要なエネルギーを,いかにして安定した状態で供給するかについて述べる.

 ところで現状は竣工して間もない病院でも,電源コードを10mくらい先の柱から床面に露出させているものや,検査室全体の電源容量が大幅に不足して変圧器を増設しなければならないが,スペースがなくて困っているなどの苦情を聞くことが多い.

設備B 病院電気設備の接地工事

粟根 克己

pp.1130-1138

1.概念

 病院設備の接地方式について,(社)日本電設工業協会が指針(51年改定版)を発表した.この指針の審議には日本ME学会が参画し,IEC(国際電気標準会議)の勧告案,NEC(米国電気工事規定)の病院接地条項を参考として審議決定された.

 医療の高度化と電子技術の急速な進歩により,医療の中で医用電気機器に期待される役割も日ごとに高まり,その機能も多岐にわたっている.これら医用電気機器(ME機器)に対する電撃防止対策については機器製作面の安全対策の他,電気設備の面から接地方式を完全なものとすることが最重要な基本条件とされている.ちなみに米国における患者電撃死は過去2千件に達すると報ぜられている.IECにおいても安全対策として国際的に勧告案を発表したのも時宜を得たものと考えられる.接地方式は保護用接地と等電位接地の2種類に大別できる.

設備C 空調

大場 則夫

pp.1139-1144

空調設計に求められる諸条件

1.病院空調の特性

 病院の検査部門の空調設計を考えるに先立って,病院建築の空調が他の一般ビルなどと異なった特性があることについて触れてみたい.というのは,検査部門といえども,病院という全体の一部であることは自明であって,建築の設計もそうであるように,空調の設計も病院全体のシステムの中の一環という絆から離れることはできないからである.

設備D 物品搬送の自動化

中野 明

pp.1145-1149

 最近,我が国においても,病院への搬送設備導入についての関心が高くなりつつある.といっても欧米のそれと比べて,まだまだ立ち後れの感があるのはいなめないであろう.搬送の自動化問題を単なる"設備"の問題として扱ってきた従来の方向からはそろそろ脱却してもよいのではないだろうか.搬送設備導入の目的が,人件費の節減にあったり,看護婦不足を背景とした人手の節減にある間は,まだまだ本格的な搬送の自動化時代はやってきそうにない.搬送の自動化問題は医療の高度化・システム化の一部をなすものであり,心電図自動解析システムなどのように,患者の病状などを迅速かつ正確に把握し,診療水準を直接向上させることを目的とする医療実施システムや,検査部・薬局などの各部門において,機能の能率向上と省力化を計ることを目的とする機械化システムや,コンピューターを中心とした総合予約システム・病歴管理システムなどの,患者の属性・病歴・診療記録などの掌握や病状の監視などを合理化し,患者サービスを向上させるのを目的とする病院情報システムとともに,病院医療システム(ホスピタルオートメーション)を構成する一つのサブシステムなのである.またそれは,物品の管理・供給システムとも関連し,最終的には建築の基本計画の構成にも大きくかかわってくる性質の問題である.

設備E 廃液

白戸 四郎

pp.1150-1155

病院内における検査室廃液処理の考え方

 1975年12月18日中央公害対策審議会は300床以上の病院を水質汚濁防止法の規制対象事業場に加えるべきである旨答申した.将来この枠は更に厳しいものになり,病床数の少ない病院もいずれ規制対象事業場に指定されるものと思われる.これは病院から排出される廃液の中に環境汚染物質が多量に含まれているからである.既に1972年環境庁の行った実態調査で何らかの条項で不適当とされた病院が46病院中41,89%に及んだことが報告されている1).上記の答申案は3年間の猶予期間をおいているが,その後には直罰規制が行われるため早急な対策が必要とされ,多数の業者が検査室廃液処理装置を販売するに至ったが,これらの一,二を購入すれば良いというほど,事は簡単ではないのが実情である.現在市販されている装置はほとんどのものが重金属かシアンを対象としている.しかし病院廃液の規制はこれらだけについて行われているのではなく,前記の環境庁の調査で不適当とされたものの中にはBODによるもの39%,大腸菌によるもの76%が含まれている.規制はまた検査室廃液だけに対してなされているものではなく,病院からのすべての廃液に対するものである.病院では検査室以外からも多量の化学廃液が排出されている2)

設備F 検査用家具

佐藤 實

pp.1156-1167

 臨床検査室における作業の機能上重要な要素といわれるものに検査用家具がある.この検査用家具の選定を誤れば,作業員の疲労が増すばかりか,日常の検査活動に重大な影響を及ぼすことが必至である.

 ここに述べる検査用象具とは,検査室内部に配置する作業用設備のことであって,何らかの形で建物側に接続されているか,関連をもつものであって,検査台,流し台,顕微鏡台,染色台,切り出し台,ミクロトーム作業台,天秤台,ドラフトチャンバーなどである.

機器A 自動化機器

高原 喜八郎

pp.1168-1173

 医療の分野に自動検査機が初めて登場したのは,約30年前ごろに米国において病理組織標本作りを自動化したオートテクニコンの誕生と,更にそれから約10年後に発明市販化された世界最初の自動化学分析機テクニコンオートアナライザー(AAI)であったことはよく知られている.これらの発明の動機は単に発明のための発明ではなく,多数の検体を限られた時間内と限られた人手で処理せねばならなかった必然的な現実のニーズからであったし,また当時既にBelkらによって精度管理の必要性が報告された1946年より約10年を経過した時点であったことからも,高精度の必要性も自動化を現実化せしめた大きな理由であったと思われる.このようなニーズと供給の関係は,今日でも当然形態こそ変わっても同様に受け継がれてきており,医療の今日的現状を反映した多数の自動化機種が往時に比して,より適正に使用されるようになってきているのは喜ばしい.

 ここで今日的視点から機器の選定を100床クラスおよび300床クラスの一般病院について解説することを命ぜられたが,100床クラス病院の対象としては約50〜200床の一般病院を包含するものとし,平均的には内科や外科が主体であって外来患者数は1日約300人前後であり,検査室に提出される検体数は入院・外来合計して1日平均50検体前後の規模とし,以下単に小病院と称することとした.

機器B 生理検査機器

江部 充 , 国司 健

pp.1174-1179

 生理検査は患者の身体からトランスジューサーによって直接にその機能状態の情報を得ようとする検査である.そのためには装置が必要であり,患者に向かって医師,検査技師,看護婦,更にX線技師やその他の専門的な技術者,例えば電子工学者,物理学者などいろいろな職域の人たちがチームを作って検査をしなければならない場合がある.これらの点が生理検査室と他の検査室との大きな違いとなっている.

 生理検査室の設計に当たってまず考えねばならないことは,

検査室のシステム化

諏訪 良明

pp.1180-1187

目的

 臨床検査業務は近年ますます重要なものとなり,検査室で扱う臨床検査の種類,検体の数は増加の一途をたどっている.

 これらの検査の多くは血液,尿などを検査材料とする,いわゆる検体検査で検査の実施に関しては自動分析装置の導入により,その分析能力は飛躍的に増加した.しかしそれに伴うペーパーワークが大きな負担となり,これを解決するためコンピューターによるシステム化がなされた.その結果,転記ミスがなくなり,検査時間が短縮され,精度の向上などの効果が付随して得られた.しかしその反面,簡単と思われていた各種端末からの入力が予想以上に大変であったり,システムを円滑に遂行させるために常に検査員は時間に追われたり,システムがダウンしたため夜遅くまで残ったりしたことは,システムを導入した所では一度は経験していると思われる.これらのことを避けるため,導入するときにはシステムを活用する目的,目標および規模を十分検討し,そのうえ経済性を考慮すべきである.今後検体検査システムの導入を計画している方々に比較検討の材料を提供し,種々の問題を提起して参考に供したいと思う.

検査室の設計

井上 宇市 , 河窪 登志夫 , 宮沢 正治 , 樫田 良精

pp.1188-1195

 病院設計,とりわけ中規模病院(300〜400床)の検査室の設計は従来より適切な指針が示されていない.それは,空調,搬送,電気などに特殊な設計が必要なことと,稼働量の変動を見通したスペースの配慮が望まれるからであろう.そこで本号では建築設備の専門家を招いて"検査室の設計基準のアプローチ"をしてみる.関連記事の本誌Vol. 5 No. 5"小検査室の設計と配置",Vol. 6 No. 6"検査室の建築設備",Vol. 15 No. 13"小規模検査室の設計"を参照ください.

Ⅱ.検査室の人員配置

人員配置—中小病院検査室の場合

大場 康寛

pp.1198-1203

はじめに

 現在,臨床検査部門の運用は病院の規模によって異なり,通常,大病院あるいは200床以上の中病院では臨床検査部を,そして100床前後の小病院では検査室を設置し,更に小規模な病院,診療所においては検査コーナーの設備あるいは臨床検査センターなどへの外注によって,日常臨床検査を行っているが,いずれにしても個々の診療業務体系の中で,どの程度の規模で臨床検査業務を実行していくか,そのためにはどのような運営をするか,また設備を施すか,そして人の配置をどうするかなどが,当事者にいつも大きな問題としてつきまとうのである.

 このうちで臨床検査部門の人の配置に関して指標となる,いわゆる"基準"については法的な規定もなく,通例的にもまだ確立されていない.したがって各々の病院の事情によって独自の方式で人員配置を行っているのが現状である.

〔便覧〕臨床検査技師の公的資格

松村 義寛

pp.1204-1205

 1958年4月23日法律第76号「衛生検査技師法」が公布された.これが国家として認めた最初の法的資格であった.この法律が1970年5月21日法律第83号によって一部が改正されて,臨床検査技師の資格が法律上も確立した.

法律の条文についてはご承知と思うので厚生省の担当官による解説を次に掲げる

Ⅲ.標準検査項目

A.生化学的検査

五味 邦英

pp.1210-1216

1)総タンパク

 タンパク濃度の高い溶液(血清,浸出液など)は屈折率とタンパク濃度との間に高い相関がある.この原理に基づいて屈折計によりタンパク量を測定する方法が一般に広く行われている.他の方法としてはビウレット法による比色分析を行っている.血清総タンパク測定では各種のタンパクを測定しているため,標準物質として純タンパク結晶を用いたとき,その特性により必ずしも測定渋ごとに同一結果を示さないことがある.

B.血液学的検査

新谷 和夫

pp.1217-1219

1)ヘモゲロビン(HB)

 シアンメトヘモグロビン法,オキシヘモグロビン法,塩酸ヘマチン法(ザーリー法)など多くの方法が臨床検査に用いられるが,シアンメトヘモグロビン法が正確,簡便さを認められて国際標準法とされている.使用する光電光度計の管理,特にフィルターの状態に注意する必要があり市販の標準ヘモグロビン液で検量線を書くことを定期的に実施してみるとよい.多項目型自動血球計数器(多項目型カウンター)に組み込まれたヘモグロビン測定は独特な点が多く特別な注意が必要となるが詳細は省略する.シアンの毒性に注意すること.

C.血清学的検査

松橋 直

pp.1220

D.細菌学的検査—細菌検査の日常レベル

土屋 俊夫

pp.1221-1225

 臨床細菌学的検査は細菌感染症の診断と治療方針の確立ならびに予後の判定など医療の中での特殊な一部門を受けもっている検査であり,近年我が国での(国際的にも同様であるが)感染形態が極めて複雑となり,従来さして問題となっていなかった菌種による感染症も一,二にとどまらず,検査を行う者にとって困難きわまりなしといった状況であろう.

 さて日常の細菌検査を行うに当たり,特に大切なことは迅速かつ正確ということであろう.そのためには臨床医師の検査に対する理解が必要であり,同時に検査担当者の積極的なアプローチがなくてはならない.これらのことは常時心掛けておかなくてはならず,また特殊な菌の同定などについても地域の大施設とか専門的な研究所への連係のルートの設定も重要な課題である.

E.生理学的検査

江部 充

pp.1226

 病院での検査項目は,その病院で掲げている専門科別,医師の専門化の質と量の要素,来院する患者の疾患別に依存しているので病床数で簡単に割り切ることはできない.しかし,一般内科,一般外科と多少のその他の科のある100床程度の病院では全科に共通な必要検査として,

Ⅳ.正常値

A.正常値の考え方

入 久巳

pp.1228-1229

 生体情報の一部として臨床検査は近代医療において重要な役割を果たしている.数多くの臨床検査が診断,治療,予後判定,健康管理などに利用されている.しかしこれら検査成績の判断基準である正常値(標準値)についての正しい認識がなければ,何のための検査か分からなくなってしまう.

 今回,4つの異なった検査施設において日常行われている臨床検査項目の正常域(標準域)を各施設の協力を得て比較してみた.この際1施設でしか行われていない項目は除いた.この表で分かるように,同一検査方法で行っている項目でも各施設問の正常域に差がみられる.そこでまず正常域はどのようにして決められ,またどの程度よりどころになるのだろうか.この表にみられるように各施設間の正常域の差はどうして起こるのであろうか.この程度の差はあってもよいのであろうか.あるいはこの差をなくすことはどの程度可能なのであろうか.可能とすればどのようにしたらよいのであろうか,などまだまだいくつかの疑問が生じてくる.このような疑問を中心にして正常域について北村元仕先生(虎の門病院生化学科部長)にお聞きしてみる.

C.臨床検査測定値のSI単位への換算

松村 義寛

pp.1241-1242

 我が国では既に明治18年より国際メートル法条約に参加し,旧来の尺貫法はメートル原器を標準として規定されており,昭和36年には計量法が改正されて,すべてSIに準拠している。国際的にもSI表示は通用するわけで,学術雑誌の投稿は漸次SI方式のみになるであろう.

 臨床検査の結果もSIに従うのが自然の成り行きであるから主な単位についての換算法を表示する.

D.実験動物の正常値に関して

長瀬 すみ

pp.1243-1248

 ヒトの臨床検査に関するこのような特集号に,ほんの一端とは言え,実験動物の正常値についての問題が取り上げられるのは異例のことと思う.しかし,医学の進歩の過程や未来を考えるとき,実験動物の果たした,また今後も果たすであろう役割は大きく,ヒトと同時に実験動物の問題にも関心が寄せられるのは当然の成りゆきと言えよう.しかし,現時点においてこのタイトルについて述べることは至難の業と思われる.それにもかかわらず,あえてペンをとったのは,現状では主としてヒトを対象としておられる本誌の読者たちに,この方面の問題点を認識していただき,今後ますます増加するであろう動物実験のデータを,より効果的に臨床に活かすために皆で努力し続けたいと念じたからである.

 ヒトの正常値については,多くの人々によって論じられ,関係者の協力によって数々の問題を残しながらもしだいに整理されてきた.しかし,いったん実験動物の分野に目を転じると,疾患モデル,毒性テストなどで臨床検査が必須とされ,多く実施されているにもかかわらず正常値の設定は困難な現状である.

Ⅴ.検査データからみた疾患の特徴

浮腫(むくみ)

橘 敏也

pp.1250-1251

1.浮腫とは

 浮腫(edema)とは,細胞外液,ことに細胞間液が皮下組織に異常にたまった状態をいう.それと同じ仕組みで細胞外液が腹腔に異常にたまったものが腹水(ascites),胸腔内に異常にたまったものが胸水(pleural effusion)である.腹水,胸水は著しい浮腫が全身に及んだとき,その一部として認める場合と,全身性の浮腫とは別に,それ単独で起こる場合とがある.

急性肝炎

上野 幸久 , 遠藤 了一

pp.1252-1253

1.概念

 肝炎ウイルスによる全身感染症で,特に肝が著しく侵される.肝炎ウイルスには少なくともA,Bの2種の存在が知られており,A型肝炎は流行性肝炎,B型肝炎は血清肝炎に相当し,B型肝炎ではHBs抗原あるいはHBs抗体が検出される.薬剤性肝障害の一部はウイルス肝炎と同じ病像,検査成績のパターンを示すが,通常単に急性肝炎といえばウイルス性のものを指す.

慢性肝炎,肝硬変

上野 幸久 , 遠藤 了一

pp.1254-1255

1.概念

 急性肝炎の経過が遷延し,形態学的ならびに機能的異常が6か月以上(学者によっては1年以上)持続して,しかもまだ肝硬変にはなっていない状態を慢性肝炎という.急性肝炎のときとは異なり,肝細胞障害は急性再燃のときを除き一般に軽度となり,間質の反応,つまり炎症および線維化が主な病変である.原因は主として肝炎ウイルスであり,つまり慢性ウイルス肝炎が,我が国の慢性肝炎のほとんどを占めている.しかし,まれに薬物性あるいは自己免疫的機序によるもの(ルポイド肝炎と呼ばれる)の存在も知られている.

 慢性肝炎は比較的軽い肝実質の障害と再生修復とを繰り返しながらも,一応肝小葉構造はほぼ正常の構造を保った状態である.これに対し肝硬変はかなり強い肝実質障害が反復した結果,肝小葉が原形に復することができず,正常とは著しく異なった構造に改築されてしまった状態である.線維化も高度になり,輪状に再生した肝実質を厚い線維が取り囲んでいるのが特徴的で,肉眼的にも,慢性肝炎がおおむね平滑であるのに対し,肝硬変では大小の結節状隆起を認め,硬度が著しく増加している,肝硬変は慢性肝炎から進行したものが多く,原因は我が国ではやはりウイルス性のものが大半を占めているものの,アルコール性のものもかなり増加している.ヘモクロマトージス,ウイルソン病,原発性胆汁性肝硬変などの特殊な肝硬変は一応ここでは除外したい.

痛風

西沢 常男

pp.1256-1257

1.概念

 本症の経過は急性発作期,高尿酸血症を特徴として症状を欠く間歇期,慢性痛風性関節炎の3つの病期に分けられる.治療法ばかりでなく,臨床検査データも各病期によりそれぞれ特徴がある.急性発作期は一般の急性炎症と同じで,赤沈亢進,白血球増加,CRP陽性の所見を呈する.発作時に特徴的なのは,罹患関節の関節液の性状である.間歇期に最も特徴的なのは,本症診断の重要な根拠となる高尿酸血症である.血液中の尿酸値は必ず高値を示すが,尿中尿酸排泄量は必ずしも多くない.尿酸排泄量は食事中のプリン含有量の影響を強く受け,正確には無プリン食下での排泄量を測定しなければならない.アメリカでは無プリン食のもと,628mg/日,あるいは600mg/日を正常値上限としている.1,500mg/日もの排泄量を示す痛風患者もあるが,腎機能の低下した患者の尿酸排泄量は200mg/日前後である,21〜28%の患者が正常値以上の排泄量を示す.尿所見では酸性尿が比較的特徴的で,加賀美の報告によると患者の67%が尿pH5.5以下であった.腎機能障害は痛風患者の約30%にみられるが,各種腎機能検査中,尿濃縮力試験,あるいは尿浸透圧値で示される遠位尿細管機能が初期よりかなり高率に侵される(46〜64%).

甲状腺機能亢進症と低下症

伊藤 国彦 , 伴 良雄

pp.1258-1259

甲状腺機能亢進症

1.概念

 甲状腺機能亢進症では甲状腺は肥大し,ヨードを活発に取り込み,甲状腺ホルモンを多量に産生し,血中に放出している.甲状腺ホルモンにはThyroxine(T4)とTriiodothyronine(T3)の2種類があり,T3はT4の数倍の生物学的活性をもっているために,微量でも甲状腺ホルモン作用は強い.

下垂体機能異常症

屋形 稔

pp.1260-1261

1.概念

 一口に下垂体機能異常といっても,単一の疾患ではなく,表1のごとくいくつかの異なる下垂体ホルモン異常による機能的または形態学の種々の異常を含めて呼称するものである.しかも最近は下垂体の更に上位にある視床下部ホルモン(下垂体ホルモン放出ホルモン)の研究の進歩から,これの測定(ラジオイムノアッセイ)や負荷テストが可能となり,視床下部異常もこの中に包含されている.したがって下垂体ホルモン単独欠損症などが,逐次新しく発見され加えられてきている.しかし,疾患の多くはその成因が決して明らかとなったとはいえず,難病といえるものがあるが,臨床的に早期に発見して治療をすることが,その後の患者の予後を左右するものもあり,厚生省の特定疾患調査研究の対象疾患として,下垂体機能異常も選ばれている状態である.

 また,汎下垂体機能低下症のごとく大半が確実に診断が下されるまでに他の疾患として治療されているものもあり,確実に診断されて補充療法を行えば正常の社会生活を営めることからも,疑わしい場合に決め手となるホルモン検査の施行が是非とも望まれる.これらの診断には症状を参考とすることがもちろん不可欠となるが,必要な検査の施行とデータの分析が重要なことになる.

副甲状腺機能異常症

折茂 肇

pp.1262-1263

 副甲状腺機能異常症は大別して副甲状腺機能亢進症と機能低下症に分けられる.

急性腹症

坂部 孝

pp.1264-1265

1.概念

 急性腹症とは,腹痛を主訴として早急に開腹手術を必要とする急性腹部疾患群の総括的名称であるが,このうち術前に診断しえたものを除いて手術開始までに診断を確定しえない場合にのみ用いるのが狭義の急性腹症であって,これには,術前の鑑別診断が全く不可能であるという意味と,時間をかけて種々の検査をすれば診断は不可能ではないが,その時間的余裕がなく手術の時期を逸してしまうという意味とを含めた便宜上の呼称である.

 したがって,検査に要する時間と患者の病状の推移とを考慮しながら,術前の短時間内に限られた検査成績で診断を確定し,適切な治療方針の決定が要求されるので,どのような病態がこの疾患群に含まれるかを整理して把握しておくことが必要で,次のように分類して理解しておくとよい.

悪性貧血,巨赤芽球性貧血—〔類〕アジソン貧血

天木 一太

pp.1266-1267

1.概念

 細胞が正常の増殖,分化をし,成熟していくためは,ビタミンB12および葉酸が必要である.これらのいずれかが欠乏すると,細胞のDNA合成が障害され,増殖の盛んな血球,粘膜や神経の細胞に異常が起こる.特に変化の著しいのは血球で,赤血球造血は巨赤芽球性造血となり,高度の貧血がみられるようになるが,また顆粒球や血小板造血にもほぼ同様な変化がみられる.その代表的疾患が悪性貧血であり,この場合,胃の内因子分泌欠如のためB12の吸収が障害されるのである.すなわち本症では胃粘膜の萎縮のために胃液分泌が低下するが,胃の傍細胞から分泌されるCastleの内因子分泌も欠除する.食物中のB12は内因子と結合して,初めて腸で吸収されるため,内因子欠乏によりB12は吸収されず,体内に欠乏する.

 巨赤芽球性貧血では血液所見の他,粘膜が萎縮して舌はHunterの舌炎になり,また神経症状としては,知覚障害や歩行障害が起こる.胃の全摘出をされた患者でも,内因子は欠如し,B12は吸収されなくなり,数年後(主として肝)に貯蔵されているB12が消耗してしまうと,B12欠乏状態になり,無胃性巨赤芽球性貧血になる.

溶血性貧血

東海 俊英

pp.1268-1269

1.概念

 溶血性貧血とは何らかの機転により赤血球崩壊が亢進した,すなわち赤血球寿命が短縮した結果生じた貧血の総称であり,単一疾患ではなく,種々の原因によるものが含まれている.主要な溶血性貧血の分類は表1のようで,赤血球自体に欠陥があるために生ずるものは主に先天性で,例外的なのはPNHである.本症は赤血球膜の欠陥により溶血するが後天性疾患である.赤血球外の因子によるものは,免疫学的機序によるものとよらないものがあるが,すべて後天性疾患である.

 溶血性貧血の一般的所見は,赤血球崩壊の亢進に基づくものと,その結果として起こる赤血球産生の代償性亢進によるものとの両方がある.

骨髄腫とマクログロブリネミア

河野 均也

pp.1270-1271

1.概念

 骨髄腫(MM)もマクログロブリネミア(WM)も,免疫グロブリン(Ig)産生細胞であるリンパ形質細胞系細胞が腫瘍性に増殖する病態である.したがって,本症では腫瘍性に増殖したIg産生系細胞より多量のIgが産生される結果,通常,電気泳動上α2位からγ位にかけて幅狭い異常タンパク帯として観察されるM-タンパクが検出される.現在,Igにはheavy chainの相違からIgG,IgA,IgM,IgDおよびIgEの5つのクラスがあることが知られているが,IgM型のM-タンパクの出現を認めるWMはWaldenströmの報告以来,比較的良好な経過をたどり,骨の打ち抜き像を認めず,肝脾腫やリンパ節腫脹を伴い,増殖した細胞も形質細胞ではなく,リンパ形質細胞様細胞であるとされていることなどが他のIgクラスのM-タンパクの出現を認めるMMと異なるところから,WMはMMと区別して取り扱われてきた.ところが最近では,WMでも骨破壊性病変と形質細胞を主とする増殖を認める症例が相次いで報告され,必ずしもWMをMMと区別して考える必要はないという意見もある.

 M-タンパクはMMやWM以外にも慢性炎症や悪性腫瘍,あるいは老齢者などでしばしば検出され,Ig産生系細胞の腫瘍性増殖によるMMやWMと区別して良性,あるいは本態性M-タンパク血症(BMG or EMG)と呼ばれている.

血小板減少性紫斑病—特発性血小板減少性紫斑病

寺田 秀夫

pp.1272-1273

1.概念

 血球の中で最も小さく,その容積は赤血球の約1/8といわれる血小板は,種々の凝血に関する因子を含み,特に血小板血栓を作って止血の第一歩に大切な役目を果たしている.また血小板は毛細血管機能の維持にも関係している.したがって血小板が減少すると皮膚や粘膜に点状,虫ピン大の出血点(紫斑)や,これよりやや大きな出血斑(溢血斑)を生ずる.このような病気を総称して血小板減少性紫斑病と呼ぶ.

 さて血小板減少を来す主な原因は表1のごとくいろいろあるが,大きく分けて血小板の母細胞である骨髄巨核球の減少の結果,血小板が減少する群(amegakaryocytic type)と,骨髄巨核球は減少しないのに,免疫異常や脾の働きの亢進によって血小板の破壊が異常に高まるために,血小板が減少する群(megakaryocytic type)の2つになる.表1の中の2,3,10などは前者に,1,4,5〜9,11〜13,15,16は後者に属する.これらの中で,日常血小板減少性紫斑病と呼ばれるものは1の本態性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenicpurpura:ITP)である.以下この病気を簡単に説明する.

血友病と凝固異常症—von Willebrand病DIC

三間屋 純一

pp.1274-1275

1.概念

 先天性凝固障害症の約90%は血友病である.うち,その頻度の最も高い血友病Aは,第Ⅷ因子関連抗原は正常に存在するが,第Ⅷ因子活性の低下または欠損した分子病であり,X染色体遺伝子欠陥によるものと考えられている.血友病Bは第Ⅸ因子活性の低下または欠損したもので,血友病Aの約1/4の頻度である.その他,まれではあるが,第ⅩⅠ因子欠乏症である血友病C,第Ⅴ因子欠乏症であるパラ血友病などがある.

 血友病Aの類縁疾患としてvon Willebrand病があるが,これは比較的頻度が高い.血友病Aと同様,第Ⅷ因子活性の低下をみることが多い。本症は血友病と異なり,第Ⅷ因子関連抗原が低下または欠損しているもので,優性遺伝形式をとる.

リウマチ熱

大国 真彦

pp.1276-1277

1.概念

 リウマチ熱は溶レン菌感染によって起こる疾患であるが,化膿性炎症のような感染症そのものではなく,アレルギー性,自己免疫性プロセスが本症の発症に関係していると考えられている.この関係は図1のごとくであり,溶レン菌の侵入部として多いのは扁桃で,まずアンギーナを起こす.そのまま治癒するものが多いが,一部は猩紅熱または丹毒になる.アレルギー性過程が加わったものは急性糸球体腎炎,またはリウマチ熱になるが,溶レン菌のうちで12型は起腎炎型として知られ,その代わりにリウマチ熱を起こすことはまずない.

 リウマチ熱の症状としては中心的症状である5つの大症状と5つの小症状および診断確定のための検査がある.いろいろの臨床検査はこの大症状,小症状の有無をみるためのものであるが,大切なことは臨床検査のもつ意義がそれぞれ異なることである.

全身性エリテマトーデス(SLE)

東条 毅

pp.1278-1279

1.概念

 全身性エリテマトーデスは,Systemic Lupus Erythematodesを略してSLEと呼ばれる.多くの異なった臓器を侵す非感染性で,全身性の炎症疾患である.抗核抗体やLE細胞現象などの多彩な免疫異常が疾患の特徴となっているため,自己免疫疾患の一つと考えられているが,真の病因は分かっていない.一度発症すると自己永続性を示し,寛解と再燃を繰り返しながら慢性に経過することが多い.全国で1万人以上の患者が推測され,1対9で女性に多く,特に妊娠可能女性に好発する.

 臨床症状は疾患の特徴である多臓器の障害症状を反映して,非常に多彩である.主な症状は,バタフライ疹と呼ばれる顔面の蝶形紅斑と,多発性関節炎,および腎炎(ループス腎炎)である.

慢性関節リウマチ

蕨 治言

pp.1280-1281

1.概念

 慢性関節リウマチ(RA)の概念をクリアカットにつかむためにはリウマチ性疾患について理解しておかなければならない.なぜならば,RAはリウマチ性疾患のなかの一構成疾患であり,このリウマチ性疾患の種類が極めて広範囲であるからである.すなわち,広い意味での結合織の病気を総称してリウマチ性疾患と呼び,これは症候群の中ではいちばん広範囲である.その中で関節を中心として,全身の結合織も系統的に侵される炎症性の代表的リウマチ性疾患としてRAは把握されねばならない.それだけに臨床家がRAと診断をつけることは安易に考えれば簡単であるが,厳密に言うと極めて難しいと言わざるを得ない.現在,RAの診断のためにはアメリカリウマチ協会(ARA)の診断基準が世界的に使用されている.このARAの診断基準そのものが,RAの概念といえるが,除外項目も含めて非常に複雑である.典型的,あるいは確定的RAの症状を呈していても,除外疾患との鑑別が必要でおり,ProbableあるいはPossible RA的な条件しかない症例においては,その診断は更に慎重でなければならないことが分かる.RAの概念を考えるときにもう一つ重要なことは,RAは現在,膠原病と称されている全身性エリテマトーデス,強皮症,リウマチ熱,皮膚筋炎,結節性動脈周囲炎と同様の疾患群に属していることである.

敗血症

富岡 一 , 小林 芳夫

pp.1282-1283

1.概念

 敗血症は体内における一つあるいは多数の細菌性病巣から原因菌が持続的または間歇的に血行に入って,それによって重篤な全身症状を自,他覚的に起こしたものである.血液中で原因菌は増殖しないものと考えられ,純然たる局所的疾患を起こす細菌を原因菌としている.本症の発症にはアレルギーの影響も加味した理解がもたれている.

 診断は,①急激に高熱を発するか,急激に解熱をみたとき,②悪感戦標,悪心,嘔吐を認めたとき,③頻脈,呼吸促進,④血圧降下,⑤血小板数の増加ないしは減少,⑥白血球数の増加,といった所見に加え,⑦顔貌がなんとなく重篤な印象を受け,⑧関節痛,筋肉痛を訴えたときに,まず敗血症を疑うことから始まる.血液中から持続的または反覆的に原因菌を検出すれば確実になる.

小児髄膜炎

中沢 進 , 新納 憲司

pp.1284-1285

1.概念

 髄膜炎を大別すると細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎(漿液性髄膜炎)になるが,前者は一般に経過が急激で至適治療法を十分に行わない限り,死亡率は高く,治癒後も後遺症を残すことが少なくない.細菌性ではあるが,結核菌や真菌,スピロヘータによる髄膜炎では,亜急性に経過する.

 化膿性髄膜炎の原因菌としては,髄膜炎菌,レンサ球菌,ブドウ球菌,肺炎菌,インフルエンザ菌,サルモネラ菌,大腸菌,緑膿菌,肺炎杆菌,リステリアなどであるが,新生児期では,ブドウ球菌の他,グラム陰性杆菌類(大腸菌属,緑膿菌,変形菌,肺炎杆菌など)が主体であり,更に最近では,B群レンサ球菌の増加が世界的な傾向として注目されてきている.一方,乳幼児期では,インフルエンザ菌,肺炎菌,髄膜炎菌などが主体となっている.

肺炎—〔同〕急性肺炎

岡安 大仁

pp.1286-1287

1.概念

 肺炎は,かつては細菌性肺炎の代名詞とされていたが,最近ではウイルス性肺炎およびマイコプラスマ肺炎などが目立ってきたために,肺炎すなわち細菌性肺炎という考えは過去のものとなった.肺炎の診断は,主として胸部X線写真における浸潤陰影の確認によるが,発熱,赤沈促進あるいは白血球数増多などの炎症所見と,検痰ないし,経気管支痰検査,または血清学的検査などによる病原の確認によって更に強固なものとなる.病原的診断は特に治療薬剤の選択および予後の判定上重要である.

 細菌性肺炎は,一般に上気道から吸引された細菌の増殖によって肺胞壁毛細管の浮腫を生じ,その後肺胞腔内への好中球を主とした浸出性病変がみられるものである.肺の一葉にほぼ均等に病変を生ずるか,細葉性に散在するかで大葉性肺炎と気管支肺炎に区別される.ウイルス性肺炎は,主として間質内に単核球を主体とした病変を生じ,肺胞腔が狭くなるが,肺胞腔内への好中球の浸出はほとんどみられない.しかし,多くのウイルス性肺炎では,二次的細菌感染を否定しえない.またマイコプラスマ肺炎は,細菌性肺炎とウイルス性肺炎の中間的病像を呈する.

細菌性心内膜炎—〔類〕亜急性心内膜炎

藤森 一平

pp.1288-1289

1.概念

 細菌性心内膜炎とは心弁膜ならびに心室壁の内膜の細菌感染症をいう.心弁膜,特に僧帽弁が最もしばしば侵される.病巣の組織学的所見は心内膜の内皮剥脱,弾力線維破壊を伴う潰瘍面上に,基底の広い血小板血栓の付着があり,その線維素と血球から成る血栓の表層と深部に細菌集族が多数みられる.

 細菌性心内膜炎の発症には通常血栓性の非細菌性増殖のあったところに,たまたま血中に入った菌が定着,感染を起こすと考えられている.

腎盂腎炎

松本 文夫

pp.1290-1291

1.概念

 腎盂腎炎は日常最も多く遭遇する感染症の一つである.本症は腎実質および腎盂・腎杯系の一般細菌感染症と定義され,急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎とに分類される.前者の多くは発熱,腰痛,側腹痛など典形的な上部尿路感染症状を呈するが,後者は微熱,易疲労性,全身倦怠,食思不振,腰痛など不定の症状を呈するもののほうが多い.

 本症の主な感染経路は上行感染であるが,膀胱内細菌(細菌尿・膀胱炎)とendotoxinのvesicoureteralvalveに対する機能障害,endotoxinの尿管蠕動抑制,更に腎髄質における低血流量,白血球の遊走・負食能の減退,血清補体(第4因子)の抑制などによって腎感染が成立する.しかし,本症の発症誘因として特に重要なものは尿流障害であり,腎・尿路系の奇形,結石,腫瘍,前立腺肥大,性器腫瘍,妊娠,神経因性膀胱,膀胱尿管逆流現象など多くのものがある.その他,糖尿病,痛風,低カリウム血症なども腎盂腎炎の発症因子として知られている.

心筋硬塞

桜井 秀彦 , 岡田 了三

pp.1292-1293

1.概念

 心筋硬塞とは,心筋を養う冠状動脈が動脈硬化症などにより内腔が狭窄や閉塞を起こし血流の減少や途絶を来し,ひいては心筋細胞は血液の供給不足から酸素不足となり,壊死を生じた状態をいう.最近本邦でも食生活の欧米化,人口の老齢化とともにその発生頻度は年々増加し,また季節変動もなく発生する傾向にある.本症の危険因子としては高血圧,高脂血症,肥満,喫煙,糖尿病,ストレスなどがあり,これらの治療,改善が本症の予防に必要である.臨床的には胸痛が主徴で,突然胸骨裏面に絞拒感,灼熱感を訴え死の恐怖を伴う激烈な痛みである.この胸痛は時に左肩,背中,左腕,心窩部へ放散し,疹痛の持続時間は長く安静やニトログリセリンでは寛解せず麻薬が必要となる.その他,発熱,白血球増加,血沈充進,血清中酵素活性値の増加,心電図の進行性変化など検査のうえからも心筋壊死を示唆する所見が得られるが,冠状動脈の変化を表すものではない.ここでは臨床検査を中心に心筋硬塞を概説する.

糸球体腎炎

吉沢 信行

pp.1294-1295

1.概念

 糸球体腎炎とは,両側性の腎糸球体の炎症性変化を主体とした疾患で腎原発性のものである.すなわち,2次的に起こった糖尿病性腎症,膠原病に基づく腎障害,代謝性腎疾患などは除外して考える.そしてその発症および進展には免疫機序の関与が考えられているが詳細はなお不明である.現在,糸球体腎炎に属するものとしては次のような疾患がある.①急性糸球体腎炎および急速進行性糸球体腎炎,②慢匪糸球体腎炎,③膜性腎症,④リポイドネフローゼ,⑤その他,である.

腎不全

吉沢 信行

pp.1296-1297

1.概念と分類

 腎不全には急性腎不全と慢性腎不全とがあり,両者とも腎不全症状を呈する点では同一であるが,一般に前者は可逆的であり,後者は非可逆的であって経過,予後の点で著しく異なる.

 急性腎不全は両側腎に特有の尿細管壊死を惹起し,腎のもつ生理機能の急激な低下ないし廃絶を来すもので,臨床的には急激な乏尿ないし無尿状態(1日の尿量が400ml以下)となって気づかれるものである.原因的には腎前性,腎性および腎後性の3群に分けられる.

糖尿病

平田 幸正

pp.1298-1299

1.概念

 今日,糖尿病の概念はむしろ複雑なものとなっているようにみえる.その理由は,かつてのように尿に糖が出ていればすなわち糖尿病と考えていたことの誤りであることが反省されたからであり,更にまた血糖さえ高けれぼ糖尿病と考えられていたことにも批判が生まれたからである.他方では,血糖も高くなく尿糖も陰性の時期から,既にprediabetesという状態であると考えられる糖尿病の存在することが説かれている.また高血糖の存在と尿糖陽性ということで,糖尿病患者の糖尿病状態と全く変わりのない状態がもともと糖尿病者でないものにも惹起される.これは普通にいわれている糖尿病(一次性糖尿病)ではなく二次性糖尿病として区別されるべきであると説かれている.

 普通の糖尿病,すなわち狭義の糖尿病という疾患単位は次のような特徴をもつ.すなわち①先天性素因すなわち遺伝傾向がある,②糖尿,高血糖を生じやすい,③ブドウ糖負荷試験に際し,高血糖で反応し,かつ血糖の下降の遅延を来し,この際の血中インスリン(IRI)初期反応の著しい低下と遅延を示す.この高血糖は,やがて空腹時血糖の上昇へと進展する,④糖尿病性細小血管症や神経障害の合併を生ずる,などの特徴をもっているといえる.

Ⅵ.臨床検査センター一覧

1.衛生検査所一覧

pp.1301-1309

 都道府県欄の数字は登録衛生検査所数,( )内の数字は未登録衛生検査所数を示す.1975年11月1日現在全国の衛生検査所は497施設で,そのうち登録は292(58.8%),未登録は205(41.2%)となっている.印は昭和50年度(第9回)精度管理調査(日本医師会)参加施設を示す.

2.医師会臨床検査センター一覧

pp.1309-1313

 日本医師会の資料による1976年4月現在の施設.衛生検査所一覧と一部重複するところがある.

3.医師会病院一覧

pp.1313-1314

日本医師会の資料による1976年4月現在の施設

Ⅶ.臨床検査の年表

臨床検査のあゆみ

松橋 直

pp.1315-1320

 病原体の発見,疾病成立機序の解明,疾病の異常成分の分離同定などにより医学は進歩するが,それに伴って臨床に情報を提供するための臨床検査も進歩する。また,科学技術が進歩し新しい分析機器が発明されると,それを導入して臨床検査法も前進する.更に,システム化が進めば,そのアイデァを取り入れて,臨床検査の領域でも合理的な運営と情報提供により臨床検査の重要性が増大する.こんな立場から,臨床検査のあゆみを探り,作られたのが掲載の年表である.この年表を元にしながら,我が国における臨床検査のあゆみを,先輩の話などを頼りにたどってみよう.

 ところで,"臨床検査"という一つのジャンルができるには,検査のシステム化が第一条件である.この検査のシステム化の一つの現れは,検査の中央化であるが,戦前の我が国の医療体制は,これが非常に難しかった.その理由にはいろいろあろうが,新しく開発された検査法が研究対象であったということもある.また,それから得られるデータの解析もまた研究対象であったこともあろう.したがって,研究者としてみれば,その成績を独占したいという気持ちもごく自然にわくであろう.それから,なおやっかいなことには,戦前の体制では他の部門との間の交流が非常にやりにくかった.こうした,もろもろの原因が折り重なって,既に臨床検査のジャンルに入るものであっても,その門戸を開いて広く検体を受け付けることができなかったという.

Ⅷ.臨床検査室の文献

1.総論(含精度管理)

pp.1321-1322

 情報化時代といわれる今日,臨床検査関係の書籍,雑誌も数多く刊行されており,自分のニードを満たす文献を捜すことは容易でなくなってきている.そこで,最近の内外の文献約300余点を選択し,それを各専門別に分類し,かつその性格から入門書,専門書,アトラス,データ(便覧),事典・辞典に区分けするいわば"文献ガイダンス"を試みた.これが,臨床検査関連文献の活用の一助となれば幸いである.なお,必要に応じて絶版のものも掲載した.また定価は1976年6月現在の調査によるものを表示した.

2.臨床化学

pp.1323-1324

9.生理一般

pp.1330-1331

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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57巻9号(2013年9月発行)

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57巻7号(2013年7月発行)

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57巻6号(2013年6月発行)

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今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

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今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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