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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻2号

1976年02月発行

文献概要

Senior Course 病理

—病理検査の技術と知識—固定 Ⅱ

著者: 橋本敬祐1

所属機関: 1順大・病理

ページ範囲:P.230 - P.231

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固定液の浸透
 固定作用の本質は生の組織を硬化させ(薄切のため),かつ被染色性を与える(いうまでもなく染色の目的で)ことにあるのであるから,固定の良否判定や固定がどの程度まで進行したかなどの判定は,すべてこの基準に照らして判断されなければならない.初めの組織硬化のほうは,細胞と組織の構造を規定する主役であるタンパク質の凝固あるいは凝結という現象と密接な関係があって,前回に述べたごとくアルコール,アセトンなどの有機溶媒,硫酸アンモニウムなどの中性塩,トリクロール酢酸,スルフォサリチル酸などの有機酸,アルカロイド試薬,昇宏などの重金属塩を加えることによりタンパクが沈殿し凝固するために組織の硬化が起こることが基礎になっている.したがって,タンパク凝固作用が主となる固定液をJ. R. Bakerは凝固性固定液(coagulant fixative)とし,エチルアルコール,ピクリン酸,昇汞をあげている.これに対して非凝固性固定液(non coagulantfixative)としては,ホルマリン,オスミウム酸,酢酸,重クロム酸カリをあげているがこのグループは一般に組織に対する硬化力の弱いもので,このことは卵白アルブミンを用いた模型実験によっても確かめられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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