異常値・異常反応の出た時・39
補体価
著者:
田村昇1
中山秀英2
所属機関:
1国立がんセンター研究所ウイルス部
2順大内科
ページ範囲:P.279 - P.283
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補体(complement)は,1880年代に血清中に存在する易熱性(56℃加熱で破壊される)因子として,しかも抗体の殺菌作用を補うものとして見出されてきたものである.その補体は,現在では,全く異なる十数種の血清タンパクと数種の阻害因子(inactivator)とから成る一つの反応系であることは周知のごとくである。この補体系は,抗原抗体複合物に第1成分から順次に反応していく場合(classical pathway)と,プロパージンなどが反応し,第1,第4,第2成分をby-passし直接C3などが反応していく場合(alternati-ve pathway, classical pathwayに対して別径路という意味)が知られてきた.また,補体成分や阻害因子の欠損症例が報告されてくるなどして,補体価の異常が種々の疾患を招き,あるいは疾患の経過中に,その結果として補体系に様々な異常をもたらすことが明らかにされてきた.ここでは,血清の補体価を測定して異常値が得られたとき,どのように対処していくべきかという点についてまとめてみよう.