文献詳細
文献概要
検査と主要疾患・39
血管炎
著者: 細田泰弘1
所属機関: 1慶大・病理
ページ範囲:P.344 - P.345
文献購入ページに移動1.血管炎とは
"血管炎"という言葉はangiitisないしvas-culitisに対する訳語であるが,我が国ではしばしば"壊死性血管炎"(necrotizing angiitis)をより広く,より漠然と考えて用いられていることが多い.
壊死性血管炎という考えは,本来,膠原病諸疾患および類縁疾患群の血管病変を整理し,再分類するために提案されたものであって,Zeek (1952)は便宜的な統一的な名称として"血管の内・中・外膜3層を侵す炎症で,しばしばフィブリノイド壊死(類線維素変性)を伴うもの"と定義している.今日では,人によって"血管炎"という言葉の使い方がまちまちで混乱が生じているが,"血管壁そのものの炎症で,血管壁構成成分の変性,壊死を伴うもの"とわく付けるのが妥当であろう.このわく付けの中に含まれる疾患は表に示すとおり,膠原病ないし免疫異常を伴う全身性疾患が多数含まれている.しかし壊死性血管炎の存在は直ちに免疫異常を意味するものではなく,またフィブリノイド変性も,すべての壊死性血管炎に必発ではなく,フィブリノイド変性,即免疫異常でもない.ただ,このような病変が認められた場合には,膠原病の可能性や免疫異常の介在を吟味しておく必要がある.これら3者の関係は図1のように考えることができる.
"血管炎"という言葉はangiitisないしvas-culitisに対する訳語であるが,我が国ではしばしば"壊死性血管炎"(necrotizing angiitis)をより広く,より漠然と考えて用いられていることが多い.
壊死性血管炎という考えは,本来,膠原病諸疾患および類縁疾患群の血管病変を整理し,再分類するために提案されたものであって,Zeek (1952)は便宜的な統一的な名称として"血管の内・中・外膜3層を侵す炎症で,しばしばフィブリノイド壊死(類線維素変性)を伴うもの"と定義している.今日では,人によって"血管炎"という言葉の使い方がまちまちで混乱が生じているが,"血管壁そのものの炎症で,血管壁構成成分の変性,壊死を伴うもの"とわく付けるのが妥当であろう.このわく付けの中に含まれる疾患は表に示すとおり,膠原病ないし免疫異常を伴う全身性疾患が多数含まれている.しかし壊死性血管炎の存在は直ちに免疫異常を意味するものではなく,またフィブリノイド変性も,すべての壊死性血管炎に必発ではなく,フィブリノイド変性,即免疫異常でもない.ただ,このような病変が認められた場合には,膠原病の可能性や免疫異常の介在を吟味しておく必要がある.これら3者の関係は図1のように考えることができる.
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