Senior Course 細菌
腸内細菌の分類 Ⅰ
著者:
坂崎利一1
田村和満2
所属機関:
1国立予研細菌第1部第1室
2国立予研細菌第1部第2室
ページ範囲:P.456 - P.457
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19世紀以後の急速な医学の進歩とともに細菌分類学もめざましく進み,中でも腸内細菌の分類に実に多くの学者が様々な属や種を設け,この科の中をいろいろに分類してきた.今日,それらの分類の中でもっとも代表的な分類はBergey's Manual of Determinative Bacteriolo-gyによるもの,Kauffmannによるもの,Ewingによるものおよび国際腸内細菌小委員会によるものがある.しかし,KauffmannおよびEwingの分類には独善的なところが多いため,現状においては彼らの分類が正式なものと承認されることはありえない.また,国際腸内細菌小委員会(1963)による腸内細菌の分類は分類学にのっとったものではなく,ただ実用上のための分類にすぎない.たとえば,小委員会では属を設けないで,ただこれを群(group)としてまとめているが,群の名は単なる通俗分にすぎず,命名規約によったものではない.
以上のような点で,現状においてどの分類に従うべきかを結論することはきわめてむずかしいが,混乱を防ぐという意味からBergey's Manual第8版による分類が適当であろうと思われる.それは,いまのところBer-gey's Manualによる分類が国際腸内細菌小委員会の意向を大きくとり入れた分類を記載しており,また国際的にももっとも権威のある細菌分類学の著書であることからである.