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カラーグラフ
解説
著者: 赤木正志1
所属機関: 1八尾市立病院皮膚科
ページ範囲:P.242 - P.242
文献購入ページに移動 Pedosoが黒色真菌症を報告したのは1911年であるが,実は我が国でも1905年に桜根孝之進先生が組織中に褐色菌体を認める症例を報告している.その分離菌はPullularia sp.と推定される.しかし追加症例がないので結論は保留したほうが良い.したがって我が国において黒色真菌症が初めて報告されたのは1934年(昭和9年),名古屋の加納先生によるものである.この症例の分離菌は当時外国にも全く報告がなく,Hormisciumd erma-titidisと命名されたが,その後ConantによってHormodendrumに改められている.1菌種,1菌株しか知られていない時期が長く続いたが,今日では多くの分離例が知らねており,属名もPhialophoraを用いる人が多い.
症例1は加納菌による黒色真菌症である.発病は1957年であるが末期には顔全体に病巣が拡大し,口腔粘膜にも波及して1971年に死亡している.図2の組織標本は病変のかなり進んだ時期のものであり,真皮のみならず角層中にも多数の褐色菌要素が認められている.この時期の皮診は暗灰黒色調が増強し,確かに黒色という印象は強くなったが,黒色真菌症の病巣は黒色とは限らない.
症例1は加納菌による黒色真菌症である.発病は1957年であるが末期には顔全体に病巣が拡大し,口腔粘膜にも波及して1971年に死亡している.図2の組織標本は病変のかなり進んだ時期のものであり,真皮のみならず角層中にも多数の褐色菌要素が認められている.この時期の皮診は暗灰黒色調が増強し,確かに黒色という印象は強くなったが,黒色真菌症の病巣は黒色とは限らない.
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